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梵         鐘


 
   ぼんしょう

 

   重要文化財 (美術工芸品 −工芸品−       指定年月日 : 昭和31年 6月28日
                                  【 昭和29年 7月20日 :高知県保護有形文化財 】



   高知県土佐市宇佐町 正念寺(しょうねんじ)   ・  正念寺
         


   宿毛市延光寺の銅鐘とほぼ同大で、その様式も同じもので平安時代前期の鋳造とみてよかろう。
   口径17.1cm、鐘身(しょうしん)22.1cm、笠形の高さ0.6cm、龍頭の高さ6.9cmと小形の梵鐘である。
   撞座(つきざ)は2ヵ所で、法隆寺東院の磬(けい)に似て素朴である。 乳(にゅう)は3段3列に配列され、上帯、中帯、
  下帯とも無文である。
   池の間の1つに、左から右に2行にわたって「井手寺」と陽鋳(ようちゅう)の銘があり、その書体は古拙(こせつ)である。
   陽鋳の銘にみられる井手寺(いてじ)については、京都府綴喜(つづき)郡井手町大字井手にある廃寺がそうである。
   井手寺は井堤寺とも書き、円提寺とも称された。 そして橘諸兄(もろえ) が創建したもので、橘氏の氏寺である。
   その後、なにかの関係で鐘が土佐に移入されたのであろう。