戻る

 

 
木 造 如 来 形 立 像


 
   もくぞうにょらいぎょうりゅうぞう

 

    高知県保護有形文化財 (美術工芸品 −彫刻− )     指定年月日 : 昭和44年 8月 8日
 


   高知県高岡郡四万十町田野々 熊野神社   ・  熊野神社
         


   像高88.7cm。
   肉髻(にっけい)を半円形に高くつくり、螺髪(らはつ)は小粒の螺髪を切り付け、衲衣(のうえ)を偏袒右肩(へんたんうけん)
  つけ右肩に祇支(ぎし)をかけて直立する。 右手は前膞部(ぜんはくぶ)先を、左手は前膞部を失っているために像名は
  わからない。
   スギの一木造(いちぼくづくり)、彫眼(ちょうがん)の彩色像で、眉、目、ひげを墨描きとするほかほとんど剝落(はくらく)して
  いるものの、肉身部は肌色、衲衣は朱彩であったと思われる。 頭体を通して背面を割り矧(は)ぎ、頭部を三道下
  で割り離す。 小像ながら、丁寧なつくりといえよう。
   本地仏(ほんじぶつ)らしく簡潔なもので、衣文(えもん)も浅く類型化しているが、ひきしまった面相(めんそう)、ふくらみの
  ある体部の肉付けなど、なかなか巧みな彫技をみせている。
   建久3年(1192)に紀州熊野より勧請したものというが、制作もその頃であろう。