しほんちゃくしょくこうやだいしこうじょうずが

 

　　　高知県保護有形文化財 （美術工芸品　−絵画− ）　　　　　指定年月日 ： 昭和４４年 ８月 ８日



　　　高知県土佐清水市足摺岬　金剛福寺　　・　　金剛福寺
　　　　　　　　　


　　　弘法大師の一代を絵巻としたものにはおよそ5つの系統があるが、本図画は、元応元年(1319)成立の元応本10巻
　　を写したもので、10巻のうちの1､2､3､4､9巻が伝存する。
　　　錯簡（さっかん）や欠脱の箇所が多いが、大阪久保家所有の元応系本5､7､8､10巻と対をなすもので、第10巻の奥書
　　に高野山金剛手院（しゅいん）の権少僧都祐宝（ごんのしょうそうずゆうほう）が願主となって応永22年(1415)の秋からはじめて、
　　翌年3月に完成したこと、詞書（ことばがき）は心空院（しんくういん）の善澄（ぜんちょう）、絵は道周（どうしゅう）が担当したことが
　　わかる。　画僧道周の伝記などは不明だが当時60歳で、画技はすこぶる達者である。　元応本系の早朝の優品と
　　して詞絵の筆者、願主とその制作年代の明らかな基準作として注目すべきものである。
　　　金剛福寺は、四国八十八ヶ所霊場第三十八番札所である。