目  次

<個人研究>


(高知県教育センター研究生、高知県心の教育センター研究生・留学生)


 1 心の教育に関する研究「子どもたちの自己有用感を高める教育相談活動のあり方について 
     ―ピア・サポート活動、構成的グループ・エンカウンターを通しての支援―      

              高知県立高知若草養護学校 上村珠津子
 

 2 幼稚園・保育所における「育ち」を生かした生活科の授業の在り方
    〜子どもの生活・学習経験の差異に着目して〜

      南国市立日章小学校 小林祐美子
 

 3 国語科の基礎・基本の定着を図る少人数指導のあり方    
    −言語事項をふまえた言語活動に焦点を当てて−  

      高知市立神田小学校 岡崎 カナ
 

 4 地域素材を生かす社会科学習のあり方の研究
    〜地域で活動し、学び、地域をすきと言える子どもの育成を目指して〜

      土佐山田町立楠目小学校 岡崎 恵子
 

 5 小規模校における特別活動の展開
     〜主体的にいきいきと活動する子どもの育成を目指して〜

      吾川村立寺村小学校 金子 智枝
 

 6 簿記会計の効果的な学習指導に関する研究     
     −到達度学習からのアプローチ−        

      高知県立大方商業高等学校 吉村  聡
 

(大学等留学生、大学院生)


 7 体験活動を生かした総合単元的な道徳教育
      〜生命を尊重する心を育てるプログラム作り〜

       本川村立長沢小学校 野本 真理
 

 8 総合的な学習の時間のあり方
      ―真正の評価(authentic evaluation)を目指すポートフォリオ評価―

      高知市立昭和小学校 西森 智生
 

 9 情報教育に関する研究
       -コンピュータを活用した図画工作科における鑑賞教材の開発-

       高知市立横内小学校 槙山美也子
 

 10 高校生に興味・関心を持たせる古典授業の研究
       −意識調査、教科書、指導書の実態をふまえて−

       高知県立高知小津高等学校 村上 志保
 

 11 先端化学技術を応用した工業教育における新しい化学実験の方法および教具の開発

       高知県立高知工業高等学校 西谷 英和
 

 12  情報化時代における「伝え合う力」の育成に関する研究
         −絵本における視覚表現の分析を中心に−

       高知市立介良小学校 則  由紀
 

 13 中学入学時の生徒と教師の人間関係づくり
       〜「自主学習ノート」の活用をとおして〜

              伊野町立伊野南中学校  山崎 篤嗣


 14 中学校道徳の読み物資料に関する研究
       ―ジェンダーの視点から―

              本山町立本山中学校  川村 智香


 15 日本人英語学習者とアメリカ人母語話者のSpoken Outputに関する比較研究
                             
               高知県立山田高等学校  川原 盛也


 16  情報活用実践力を育む小学校体育科の実証的研究

               高知市立横浜新町小学校   山崎 功一
 


 17 音楽科教育におけるコンピュータ活用について

                室戸市立室戸小学校  山中  知佐乃
 


 18 中学校数学におけるコンピュータ利用の教育効果について
       ―学習意欲との関連―

               伊野町立伊野中学校  池田さゆり



 19  冒険教育による自己イメージの変容についての一考察
         ―中学校における実証的な検証から―

                高知市立愛宕中学校  下坂 美和


 20 構成的グループエンカウンターが生徒の相互依存関係に及ぼす影響
        
               高知県立高知東高等学校   山本 葉子


 21 光ファイバグレーティングカプラの全光スイッチへの応用

               高知県立高知東工業高等学校   前田 康彦

 


 22 実践的コミュニケーション能力の育成
       −タスク活動を通して文法知識の活性化を図る−

              土佐市立高岡中学校 今井 典子


 23 個別の指導計画における保護者との連携・協力
        -知的障害のある自閉症の児童のコミュニケーション支援に焦点をあてて-

             高知県立山田養護学校 小野 智子



 24  学校週5日制と開かれた学校づくり
        − 学校−地域関係論と「開かれた学校づくり推進委員会」に関する一考察 −

             伊野町立伊野中学校  野田 寿子
 


 25 不適応状態にある生徒への理解と支援のために
       〜Q−UとS−HTP、動的友達画によるアプローチ〜

             高知市立西部中学校  山本 葉子


 26 不登校の生徒・家族への支援について
 
            土佐山田町立鏡野中学校  福留 和世

 

 要旨

  1

研修課題

心の教育に関する研究「子どもたちの自己有用感を高める教育相談活動のあり方について」―ピア・サポート活動、構成的グループ・エンカウンターを通しての支援―

  氏  名

上村珠津子

 在籍校

高知県立高知若草養護学校

 

 

 

 肢体不自由養護学校における、学校間交流を生かしたピア・サポート活動及び構成的グループ・エンカウンターを取り入れた授業が個人におよぼす自己有用感について実践研究を行った。

 日常生活の中で、「支援」される場面が多くなりがちな子どもたちが、自分の得意分野を伝えることを通し、お互いの個性の違いを知り、よいところを認め合い、「役立つ自分」を実感させたい。その効果を高める教育活動について、ピア・サポート活動や構成的グループエンカウンターを取り上げ、その有効性について分析する。

キーワード:特別支援、ピア・サポート、自己有用感、人間関係、認め合う

 

  2

研修課題

幼稚園・保育所における「育ち」を生かした生活科の授業の在り方

〜子どもの生活・学習経験の差異に着目して〜

  氏  名

小林祐美子

 在籍校

南国市立日章小学校

 

 

 

 

 本研究では、幼児期から児童期への子どもたちの学びのつながりを考慮した生活科の授業の在り方を探ってきた。

 その結果、幼稚園・保育所での育ちや生活経験の違いを把握し、その差に応じた、個に応じた支援をすれば、新しい活動や挑戦への意欲につながること、その繰り返しが自信となり次の活動を生み出したり、活動を拡げたり深めたりするエネルギーとなることを見取ることができた。今後、子どもの生活や育ちを共有できるような互恵性のある保幼小の連携教育を構築し、授業づくりに生かしていけば、主体的に学ぶ子どもが育つであろうと考える。

キーワード:生活科、幼稚園・保育所、育ちをつなぐ、個に応じた支援、知的な気付き

 

  3

研修課題

国語科の基礎・基本の定着を図る少人数指導のあり方

−言語事項をふまえた言語活動に焦点を当てて−

  氏  名

岡崎 カナ

 在籍校

高知市立神田小学校

 

 

 

 

 国語科は、社会生活を営む上で必要な言語能力を育てる重要な教科であるが、日常的に通じることなどから学習内容が曖昧になりがちである。そのような曖昧な国語科の学習から脱却するために学習指導要領の読み直しやCRTの分析などから国語科の基礎・基本を捉え直した。

 その基礎・基本として捉えた学習内容を子どもたちに定着させていくために、個に応じる少人数習熟度別の学習形態と反復的・螺旋的な学習方法を取り上げて研究、検証授業を行った。

その結果、国語科の学習においても習熟度別の学習形態、反復的・螺旋的な学習方法が基礎・基本の定着を図る上で有効であることがはっきりした。

キーワード:国語科の基礎・基本、言語事項を踏まえた言語活動、少人数習熟度別学習、反復的・螺旋的な学習

 

  4

研修課題

地域素材を生かす社会科学習のあり方の研究

〜地域で活動し、学び、地域をすきと言える子どもの育成を目指して〜

  氏  名

岡崎 恵子

 在籍校

土佐山田町立楠目小学校

 

 

 

 

 社会科学習において、中学年社会科の目標実現と、地域で活動し、学び、地域をすきと言える子どもの育成のためには、子どもたちの生活舞台である地域社会を学習の対象とする、地域素材を生かした学習展開が必要であると考え、地域素材の発掘、教材化と子どもの学習意欲を高める学習展開の工夫に取り組んだ。                           

 その結果、子どもたちに、地域素材(人・もの・こと)を生かし、体験的活動を取り入れた学習をすることによって、地域への愛着をもち、地域に関わっていこうとする態度が見られるようになった。地域社会の一員としての芽生えになってくれることを願っている。

キーワード:中学年社会科、地域素材、体験的活動、ペーパーテスト、単元開発、年間指導計画

 

  5

研修課題

小規模校における特別活動の展開

〜主体的にいきいきと活動する子どもの育成を目指して〜

  氏  名

金子 智枝

 在籍校

吾川村立寺村小学校

 

 

 

 集団活動を特質とし、その基盤を学級活動に置く特別活動であるが、小規模校においては集団そのものが成立しにくく、話合いやそれにもとづく活動を充実させることが困難であった。

そこで、小規模校の特性を生かし、学級単位では広がりや深まりが十分ではなかった話合い活動を全校活動として取り組み、集会活動や学校行事へと発展させることによって自主的、実践的な態度を育て、それらの集団活動を通して豊かな社会性を培っていくことによって、主体的にいきいきと活動する子どもを育成できると考え、研究を行った。

キーワード:小規模校、特別活動、全校話合い活動、異年齢集団活動

 

  6

研修課題

簿記会計の効果的な学習指導に関する研究

−到達度学習からのアプローチ−

  氏  名

吉村 聡

 在籍校

高知県立大方商業高等学校

 

 

 

 

 簿記会計分野は教科「商業」の主要領域のひとつであるが、その学習指導は年々難しくなってきている。基礎学力の定着は教育活動上の最大の課題であるが、それが図れないままの生徒も少なくない。そこで簿記会計の効果的な学習指導のあり方を探求する中で、『学習指導に到達度学習を導入することにより、基礎学力の定着が図れ、前向きに学習に取り組む生徒の育成が望める』との観点から取り組んだのがこの研究である。なお本研究では、到達度学習の実施に必要な教材を作成し、ホームページへ掲載した。これは教材の共有化による「教員間での重複業務の解消」を目指したもので、本研究が商業担当教員の業務改善につながることをも狙いとしている。

キーワード:簿記会計、学習指導、基礎学力の定着、到達度学習、教材の共有化

 

  7

研修課題

体験活動を生かした総合単元的な道徳教育

〜生命を尊重する心を育てるプログラム作り〜

  氏  名

野本 真理

 在籍校

本川村立長沢小学校

 

 

 

 

 道徳教育を通して、生命の大切さについて知識や情報として得るだけではなく、自分なりの考えを深め、生命を尊重する心や態度を育てることが必要である。そこで、児童の感性を揺さぶる体験活動や資料を効果的に活用した総合単元的な道徳学習プログラムを作成し、千葉県内の小学校で検証授業を行った。「いのち」に対する記述内容の比較、ワークシートの内容分析、抽出児の意識の変化、担任・保護者の記述式のアンケート調査の結果から体験の特質を考えてプログラムを構成することが、児童の思考を深めるために有効であるということがわかった。また、生命について家庭で話し合う機会を生み出すきっかけを提供することもできた。

キーワード:感性を揺さぶる体験活動、総合単元的な道徳教育、生命尊重、感動資料

 

  8

研修課題

総合的な学習の時間のあり方

―真正の評価(authentic evaluation)を目指すポートフォリオ評価―

  氏  名

西森 智生

 在籍校

高知市立昭和小学校

 

 

 

 本研究では、「総合的な学習の時間」の創設の意義を再確認するとともに、それを支える学習観・評価観を明らかにする。そして、現在、「総合的な学習の時間」の評価として注目されているポートフォリオ評価について理論と実践例により考察し、新しい評価観に立った「総合的な学習の時間」の評価のあり方を明らかにする。研究の結果、構成主義と真正の評価観に支えられたポートフォリオ評価が、自ら学び、自ら考える等の「生きる力」を育成する「総合的な学習の時間」の評価として適切であることが明らかになった。

キーワード:総合的な学習の時間、評価、真正の評価、ポートフォリオ評価、構成主義

 

  9

研修課題

情報教育に関する研究

−コンピュータを活用した図画工作科における鑑賞教材の開発−

  氏  名

槙山 美也子

 在籍校

高知市立横内小学校

 

 

 

 図画工作科の中での鑑賞については、児童が制作した作品での鑑賞が中心であり、美術作品などの鑑賞はあまりされてきていなかった。子供たちを取りまく環境が大きく変化し高度情報社会といわれる中で、自分にとって必要なものの収集や選択が求められ、様々なものを「見る目」の育成が必要となってきている。図画工作科において、デジタルメディアの導入を取り入れていくことの必要性や、指導するときにすぐに活用できる鑑賞作品を取り出せるような枠組みを作り、道具としてのコンピュータを用いた鑑賞教材としての利用を考察する。

キーワード:図画工作科、鑑賞、情報活用能力

 

  10

研修課題

高校生に興味・関心を持たせる古典授業の研究

−意識調査、教科書、指導書の実態をふまえて−

  氏  名

村上 志保

 在籍校

高知県立高知小津高等学校

 

 

 

 

 古典授業を通じて生徒の意欲、意識、学習の定着度の低さを実感する。その原因究明のため意識調査を実施した結果、興味・関心のない理由が「文体、文法、意味」の難解さ、つまり作品全体の理解まで至っていない点に問題があるとわかった。また、中高の教科書教材に重複の多い実態から、中高連携を視野に入れた教科書および指導書の調査・比較をした結果、指導目標どおりの指導では、作品世界の理解は困難な教材があることが明らかになった。これらの結果から興味・関心づけには、「学ぶ意味の徹底」、「自分と接点のある身近な教材」による授業実践が効果的だと考え、郷土古典作品の教材開発を行い、それに基づいて検証授業を実施した。

キーワード:中高教材の重複、指導目標の比較、意識調査、郷土作品の教材化、小中高大の連携 

 

  11

研修課題

先端化学技術を応用した工業教育における新しい化学実験の方法および教具の開発

  氏  名

西谷 英和

 在籍校

高知県立高知工業高等学校

 

 

 

 先端化学技術を工業高等学校の工業化学教育に応用した教材開発に取り組んだ。先端研究に実際に取り組みそこから得た、知見や技術を高等学校で実践可能な形にフィードバックし、既存の実験実習と組み合わせて発展的応用可能なテキスト作成に心がけ、「パソコンソフトの利用」と「色素増感型太陽電池」をもとにテキストを作成した。パソコンソフトは分子構造の立体視可能な物を利用し、分子の構造や物性の理解の支援になるようテキストを作成した。また、「色素増感型太陽電池」は次世代型太陽電池として現在盛んに研究されている。太陽電池の組み立てと色素抽出、合成を中心に基礎実験技術も修得可能な実験としてテキストを作成した。

キーワード:先端化学技術、有機合成化学実験、色素増感太陽電池、分子構造

 

  12

研修課題

情報化時代における「伝え合う力」の育成に関する研究

−絵本における視覚表現の分析を中心に−

  氏  名

則 由紀

 在籍校

高知市立介良小学校

 

 

 

 

 第1章では、絵本の視覚表現の先行研究から、絵本モンタージュの成り立ちを概観し、先行先研究と絵本の分析から絵本モンタージュの効果を明らかにする。第2章では、まず、フロンタリティによる効果を、乳児の顔認知の発達に関する先行研究と絵本の分析から明らかにする。次に、構図・色・線・文字・枠・表現と技法などによる効果も先行研究と絵本の分析から明らかにする。第3章では、第1章、第2章の考察を踏まえた絵本モンタージュによる効果、フロンタリティによる効果、構図による効果を中心に、絵本『にゃーご』の視覚表現の特質を明らかにする。 以上の考察から、絵本の視覚表現による「伝え合う力」の可能性を探る。

キーワード:読み手の意識しない内面の動きを喚起し、想像力を全開させる絵本モンタージュによる効果、読み手の乳幼児期における幸福な顔体験を引き出すフロンタリティによる効果、            読み手の絵本への参加をうながす構図による効果、読み手の感性を揺さぶる色による効果、優れた視覚表現によって物語を伝える絵本『にゃーご』

 

  13

研修課題

中学入学時の生徒と教師の人間関係づくり

〜「自主学習ノート」の活用をとおして〜

  氏  名

山崎 篤嗣

 在籍校

伊野町立伊野南中学校

 

 

 

 教師と生徒の間に信頼関係を育てるためには、その基盤となる人間関係が必要である。特に、中学入学時の生徒にとっては、新しい環境への適応を支援する学級担任の教師との関係が大きく影響する。本研究は、学級担任と生徒が「自主学習ノート」の日記を交換し、それを継続していく中での、両者の意識の変容を考察する。取り組み期間は、中学1年時の1学期である。その間、教師は個々の生徒理解が促され、生徒は、日記をとおして教師に悩みの相談を行なう。そのことの継続が人間関係を深めていく。

キーワード:人間関係づくり、日記指導(自主学習ノート

 

  14

研修課題

中学校道徳の読み物資料に関する研究

―ジェンダーの視点から―

  氏  名

川村 智香

 在籍校

本山町立本山中学校

 

 

 

 

 学校は、社会のあらゆる領域の中で、最も男女平等であると思われている場であり、そうあることを期待されている場である。法令や教育課程など顕在的なカリキュラムの上からは、教育における男女平等は実現されているかにみえる。しかし、こうした理念や社会の期待は、実際の教育活動の中で実現されているのであろうか。本研究は、中学校道徳の読み物資料のジェンダーバイアスを明らかにすることを通して、学習指導要領に示された指導内容が、読み物資料の作成、道徳の授業という二つのフィルターによってどのように変容し伝達されるのかを明らかにしようとするものである。「人間として」の道徳が内包する理念との矛盾の構造と要因を検証する。

キーワード:中学校道徳、ジェンダー、隠れたカリキュラム、性別特性論

 

  15

研修課題

日本人英語学習者とアメリカ人母語話者のSpoken Outputに関する比較研究

  氏  名

川原 盛也

 在籍校

高知県立山田高等学校

 

 

 

 実践的コミュニケーション能力を育成することの重要性が叫ばれて以来、学習者のoutputへの関心が年々高まっている。しかしながら、従来の研究では、学習者のoutputそれ自体の分析に主眼がおかれ、英語母語話者との比較において分析する手法は、比較的少なかったといえる。そこで、本研究では、日本の高校生の発する英語と、同じ学年レベルの英語母語話者が発する英語を、量的・質的に分析し、比較することによって、実践的コミュニケーション能力を伸ばす英語指導法改善のヒントを得たい。

キーワード:実践的コミュニケーション能力、outputspeaking能力、発話分析

 

  16

研修課題

情報活用実践力を育む小学校体育科の実証的研究

  氏  名

山崎 功一

 在籍校

高知市立横浜新町小学校

 

 

 

 

 小学校体育科における情報活用実践力の在り方を探るために、「体育授業における情報活用調査票」を作成し、二年間に及ぶ縦断的な実践研究を行った。その結果、1)児童の情報活用の特徴として、児童は必要な情報を友だちや教師から獲得しており、それを支えるものとして学習資料等があり、情報はそれらのものが絡み合うことで成立しており、体育科では特に人間とのかかわりが大切になる。2)態度変容の特徴として、情報を中心とした学習では学び方を育むことができる。などが明らかになった。これらのことから、人とのかかわりを大切にし情報を活用し学び方を中心とした学習を繰り返すことによって、情報活用実践力を育み、「生きる力」を育むことができると考えられる。

キーワード:情報活用実践力、小学校体育科、情報活用調査票、情報活用実践力のモデル試案(小      学校体育科)、児童による授業評価

 

  17

研修課題

音楽科教育におけるコンピュータ活用について

  氏  名

山中 知佐乃

 在籍校

室戸市立室戸小学校

 

 

 

 コンピュータを用いた音楽づくりでは、つくって演奏して聴くことを子ども自ら主体的に取り組みながら行うことや、音楽の構成について考えたり、音ひとつひとつを吟味しながら、音楽にじっくり時間をかけて向き合うことができるという利点がある。現在の学校教育において、もはやコンピュータの存在を無視することはできない。コンピュータのよりよい活用法を研究し、子どもたちの「生きる力」を育成し、基礎・基本を徹底するなど学力の確かな習得にコンピュータなどのIT機器を効果的に活用していくことが大切である。

キーワード: コンピュータ、音楽教育、音楽づくり

 

  18

研修課題

中学校数学におけるコンピュータ利用の教育効果について

―学習意欲との関連―

  氏  名

池田さゆり

 在籍校

伊野町立伊野中学校

 

 

 コンピュータを活用した効果を学習動機をキー概念として検討してきた。内容関与的動機が高い者ほど、コンピュータ活用の効果が大きかった。また、学業成績の低群が、中群や高群よりもコンピュータ活用の効果が大きかった。学習意欲と学業成績は相関関係があるにもかかわらず矛盾した結果になった背景には、家庭環境、教授方法などが影響していると思われる。学業成績の低群の中には学習意欲が高い者がいるわけだから、コンピュータも活用することによって、学業成績も向上するのではないのかと思われる。

キーワード:数学への関心、学習動機、学習方法、学業成績、コンピュータ活用の効果

 

  19

研修課題

冒険教育による自己イメージの変容についての一考察

―中学校における実証的な検証から―

  氏  名

下坂 美和

 在籍校

高知市立愛宕中学校

 

 

 

 冒険教育を体験すると、他者との比較による恥(自己防衛の壁)が低くなり、学業に対しての自己イメージや友だちとの関係性、家族との関わり、身体に関する自己イメージがプラスの方向に高まることが明らかになった。また、自己の存在がより明確になり、抽象から具象性をもった自己イメージになることが示唆された。描画による中学生の自己イメージの傾向は、健康型が3割を占め、残りの7割の生徒の内面は健康ではない状態があることが推測された。これらの結果から、生徒の自己イメージそのものの育成が重要であり、自己概念の変容がプラスの方向に高まる冒険教育は中学生にとって非常に重要な教育活動であることが検証された。

キーワード:冒険教育、自己防衛の壁、自己イメージ、

 

  20

研修課題

構成的グループエンカウンターが生徒の相互依存関係に及ぼす影響

  氏  名

山本 葉子

 在籍校

高知県立高知東高等学校

 

 

 

 

 子どもたちの人間関係が表面的で希薄であることが指摘されているように、学校生活においてもこうした人間関係に起因しているであろう問題がたくさんみられる.高等学校では特に、ホームルーム活動において、ホームルームや学校生活への適応、好ましい人間関係の形成が主なねらいとして盛り込まれている.そこで本研究では、生徒の好ましい人間関係づくりを促進するために、ホームルーム活動において構成的グループエンカウンターを実施し、生徒の人間関係のなかでも、頼ったり頼られたりという相互的な人間関係であり、成熟した大人になるために必要な人間関係として相互依存関係に着目し、その効果について検討することを目的とした.

キーワード:構成的グループエンカウンター、相互依存、ホームルーム活動

 

  21

研修課題

光ファイバグレーティングカプラの全光スイッチへの応用

  氏  名

前田 康彦

 在籍校

高知県立高知東工業高等学校

 

 

 

将来の光通信システムにおいては、光信号の経路を光で切り替えることが可能な全光スイッチが必要とされている.そこで、本研究では、光ファイバ伝送路との親和性が良い波長選択デバイスである光ファイバグレーティングカプラ(FGC)の非線形性を利用した1.55μm帯光信号の全光スイッチ動作を解析し、実験をおこなった.その結果、FGCがピコ秒オーダの高速全光スイッチングデバイスとして動作する可能性を明らかにした.本研究の解析と実験結果は、高速な全光スイッチングデバイスの設計に役立つと考えられる.

キーワード:光通信、全光スイッチ、光ファイバグレーティングカプラ

 

  22

研修課題

実践的コミュニケーション能力の育成

−タスク活動を通して文法知識の活性化を図る−

  氏  名

今井 典子

 在籍校

土佐市立高岡中学校

 

 

 

 

 学習指導要領外国語科の目標にある「コミュニケーション能力」に「実践的」という語が付け加えられた背景には、教室外での言語使用が可能となることを強く意識したことが考えられる。つまり、生徒が授業で学習した文法規則や語彙などについての知識を、コミュニケーションの手段として実際に運用することができないという問題、‘inert knowledge problem’(Larsen-Freeman 2003) があるからである。この問題を解決するためには、特に、Useを考慮したコミュニケーション志向の文法説明(Larsen-Freeman 2001)が必要である。加えて、文法知識を活性化させる言語活動の機会が必須であると考える。そこで、獲得した言語知識を整理しながら活用することを目的とする「タスク活動」を提案する。

キーワード:コミュニケーション志向の文法説明、Use、タスク活動、タスク

 

  23

研修課題

個別の指導計画における保護者との連携・協力

−知的障害のある自閉症の児童のコミュニケーション支援に焦点をあてて−

  氏  名

小野 智子

 在籍校

高知県立山田養護学校

 

 

 

 

 『個別の指導計画における保護者、関係者との連携・協力』に関するアンケート調査、及び個別の指導計画を校内研究の対象としている実践校2校への『個別の指導計画における保護者との連携・協力の実際について』の聞き取り調査により、個別の指導計画を用いた保護者との連携・協力の現状について明らかにした。その上で、個別の指導計画におけるコミュニケーションに関する指導をとおして、一貫性と継続性を目指した保護者との連携・協力の在り方について、自閉症と診断された児童で構成されているK養護学校小学部低学年グループでの実践をとおして明らかにし、保護者との連携・協力に大事なことを捉えた。

キーワード:個別の指導計画、連携・協力、保護者、知的障害のある自閉症の児童のコミュニケーション支援

 

  24

研修課題

学校週5日制と開かれた学校づくり

− 学校−地域関係論と「開かれた学校づくり推進委員会」に関する一考察 −

  氏  名

野田 寿子

 在籍校

伊野町立伊野中学校

 

 

 

 

 近年、教育改革国民会議においてコミュニティ・スクールが提唱され、これについて様々な模索がなされようとしている。しかしながらコミュニティ・スクールそのものは1930年代にアメリカで実践されたものであって、我が国では第二次世界大戦後に多くの地域で展開されたが、その後、社会の変化の中でその動きは消滅した。本研究は学校週5日制下での開かれた学校づくりを前提に、開かれた学校づくりの今日の動向と課題を明らかにしつつ、本県における学校−地域関係を踏まえ、土佐の教育改革で導入された「開かれた学校づくり推進委員会」を活用して、本県に適応したコミュニティ・スクールについての考察を試みるものである。

キーワード:開かれた学校、学校週5日制、コミュニティ・スクール、地域参画・協働、開かれた学校づくり推進委員会

 

  25

研修課題

不適応状態にある生徒への理解と支援のために

〜Q−UとS−HTP、動的友達画によるアプローチ〜

  氏  名

山本 葉子

 在籍校

高知市立西部中学校

 

 

 

 本研究では、生徒理解のためにまず、QーUで子どもが現実に感じている学校生活への満足感や疎外感を調べ、描画テストで、内面世界へのアプローチを試みた。支えが学校生活の中にあり、現実の中で遊びや空想を取り入れ、自らの意志で退行したり現実に戻ることのできる柔軟な子どもが、健康な自我機能を営めると仮説し、QーU、SーHTP、動的友達画を関連づけて分析した。その結果、健康な子どもは両向型T、両向型Uに多く、現実型Tとはみ出し型は対人関係に支障をきたし不適応状態になりやすいことがわかった。研究したことを、問題のきざしの発見と早期対応に役立て、1人1人の子どもに合った支援につなげていきたい。

キーワード:心の理解、自我機能、対人関係

 

26

研修課題

不登校の生徒・家族への支援について

  氏  名

福留 和世

 在籍校

土佐山田町立鏡野中学校

 

 

 

 

 不登校の生徒と徐々に信頼関係ができてくると、何でもない会話の中に、心の中の問題や家族との関係についての話が混じるようになった。と同時に、親(特に母親)との話の中でも、親自身の課題が見え隠れしたり、それが子どもに少なからず影響を与えているのではないかと思われることもあった。今まで生徒をどう支援したらよいかということばかりを考えていたが、生徒を支える基盤である家族に対しても、支援をする必要があるのではないかと考えた。過去6年間でかかわった不登校の中学生のケースのうち、16ケースを対象とし、中学卒業時に進路決定をしたケースと、進路決定に至らなかったケースとを比較し、分析した。

キーワード:親子関係、発達課題、信頼関係