教師の指導力向上を促す理論の基礎的研究

      −教科教育等に関する研修の基盤となる概念を模索して−

     Teachers as learners; when teachers stop growing,so do their students.(ROLAND S.BARTH)

 

学校支援部 教科教育支援担当 指導主事 谷脇 澄男

 

 

要  旨  

本研究は、教師の指導力向上を目指すために実施されている教科教育等研修を、いかにし

て実効のある研修にしていくか、その基盤となる理論・考え方を模索したものである。その

ために、教師の指導力向上を目指し、その取組をしている学校を訪問して、教師の指導力を

高めていくために必要なものは何かを探り出すことから考察を展開している。研修内容の具

体的提案までは至っていないが、研修内容を創り出していく上に重要な基盤となる概念は探

し出している。

本研究の構成は、最初に事例研究を行い、指導者の存在の重要性と職場の同僚性の重要性

を取り出している。次に、この二点についてメンタリング理論と同僚性・collegialityにつ

いて文献研究を中心にして考察している。特に、collegialityについては、バースの理論に

ついて考察している。続いて、東京都の教職員研修センターの提案と、山梨県の県立高校の

実践を参考にして、専門職としての資質・指導力を高めていく方法を考察している。そして、

学校現場で目指すべき教師の姿として「モチベーション・マネージャー」と「反省的実践家」

を取り上げて考察している。最後に、組織について考察するとともに、組織をマクロ的に捉え

る一方、組織をミクロ的に捉え、その構成員一人一人の行為が教師集団という組織を形成しつ

つあるという立場にたった考察を展開している。

 

キーワード: 同僚性  指導者  モチベーション・マネージャー  反省的実践家

 

 

これからの部落史学習の在り方に関して
         −人権教育資料集(同和問題)の活用に向けて−

学校支援部 人権教育担当 指導主事 大西雅人

 

                 要  旨

部落史研究の進展により、これまで通説であった近世政治起源説が破綻し、平成14年度

から使用されている小・中学校の社会科(歴史)教科書においても、記述内容に変化が見

られる。そこで、これまでの部落史学習の成果と課題についてまとめ、これからの部落史

学習はどうあるべきなのかということについて、筆者なりの考えを述べる。また、社会科

(歴史)教科書の部落史にかかわる記述がどのように変化したのかということについて紹

介し、近年の部落史研究の成果により、部落史に対する見方がどのように変わっているの

かということをまとめる。そのうえで、作成した人権教育資料集(同和問題)の構成と展

開についての紹介を行い、活用に当たっての方向性を示す。

キーワード:これからの部落史学習、人権教育資料集、部落史研究、パラダイム転換

 

授業評価システムに関する手引書の作成と活用について

 −『わかる楽しい授業をめざして「授業評価システムを生かした授業の工夫・改善」

   −小学校編−』に発行に当たって−

                 学校支援部 実践研究担当チーフ 西岡 裕美

 

                   要  旨

 平成14年度より「第2期土佐の教育改革」がスタートし、第1の柱である「子どもたち

の基礎学力の定着と学力の向上」の中に掲げられている、授業評価システムの効果的な活用に

よる「わかる楽しい授業づくり」が一層求められている。高知県教育センターでは、「第2期

土佐の教育改革アクションプログラム」に基づき、平成1511月に授業評価システムに関する

手引書として、『わかる楽しい授業をめざして「授業評価システムを生かした授業の工夫・改善」

−小学校編−』を発行した。本研究は、作成した手引書の役割とその活用方法を示すことで、広

く小学校において活用され、よりよい授業が展開されることを期待するものである。

 

   キーワード:授業評価システム、自己評価、授業改善、授業実践、校内研修

 

 

 教科教育等に関する研修の充実

 

                                学校支援部 教科教育支援担当  チーフ 上岡哲朗

 

要  旨

  教員として、経験に裏付けられた確固たる教育観をもつことは大切なことであるが、固

 定された教育観では、周囲の変化に対応できない。不易なるものをもちつつ、流行をいか

 に取り入れるか、その柔軟さが教員には必要で、授業改善の基本もそこにある。もちろん、

 流行をどう吟味するか、その力を持つことはいうまでもない。

    キーワード:流行、柔らかさ

 

 中学校数学科におけるコンピュータの活用

    −教科教育等に関する研修の充実のための学習教材として−

 

                           学校支援部 教科教育支援担当  指導主事   久保田 功

 

                   要  旨

  本研究は、教科教育の充実に向けて、コンピュータを活用した教材を取り上げた。生徒

 が自らの考えで「調べ、見つけ、解決する」活動を中心にした授業を構成すれば、数学の

 楽しさをより一層味わうことができると考える。また,このような授業を計画的・継続的

 に実践することで,生徒の学習に対する興味・関心を高めたり,数学を学習することの必

 要性や意義を理解させたりすることができ、学力の向上に役立つのではないかと思う。ま

 た、高知工科大学の研究会での発表を通して様々な指導助言をいただいたが、まだ授業実

 践には至っていないので、この研究の有効性を検証しながら、教材の共有化を図り研究を

 さらに深めていきたい。

  キーワード:授業、コンピュータ、図形

 

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