平成14年度長期研究生報告              [HOME]に戻る

 本ページには,長期研修生の研究概要のみ掲載しています。研究に興味をもたれた方は平成14年度長期研修生報告集』をお読みください。(平成15年5月刊行予定)

1 コンピュータを活用した学習指導法の研究−生きる力の育成をめざした共同交流学習の実践−

              伊野町立伊野小学校 大坪 苗黄

2 楽しく音楽に関わり、表現する楽しさを味わい、豊かな感性を育むための学習指導方法の工夫−低学年における音楽活動を中心に−

              高知市立横浜小学校 祖父江 香野

3 認め合い支え合う集団づくりをめざして−学級活動における人間関係づくりの実践を通して−

              高知市立朝倉第二小学校 吉本 弥生

4 音楽科における「基礎的な能力」を伸ばす授業づくり(共同研究)第二部 指導と評価の一体化をめざして

              土佐市立戸波中学校 中井 有里

5 小学校における環境教育のカリキュラムの開発についての研究−環境を意識し、自ら学び、考え、行動できる子どもの育成をめざして−

              高知市立三里小学校 川端 純子

6 技術・家庭科(技術分野)における情報機器活用のあり方について−課題解決能力を育む教材開発と学習指導法:ブロックとLogo言語を使った制御教材−

              高知市立青柳中学校 白井 裕史

7 環境に配慮した生活を実践するための技術・家庭科の研究−生活に根ざした食生活の学習を通して−

              池川町立池川中学校 寺田亜希

8 実験・実習指導を効果的に行うための情報機器を活用した指導法の研究

              高知県立幡多農業高等学校 金子 幸次

9 意欲的に書くことができる子どもをめざして問題解決能力の育成を視点にして

              安芸市立川北小学校 井上由香

10 国際社会に生きる心豊かな子どもの育成−英語に親しむ活動を通してコミュニケーションの基礎を養う−

              高知市立十津小学校 依岡 八代緯

11 中高一貫教育校の特色を生かした教科指導の在り方(英語)実践的コミュニケーション能力を育成するための6年間を見通した活動と評価

              馬路村立魚梁瀬中学校 小松 紀美

12 小・中学校における理科教育−子どもの興味・関心を高め、科学的な見方や考え方を培うために−

              南国市立北陵中学校 横川 真知

13 数学的コミュニケーション活動を取り入れた学習指導法の研究−論理的思考力を伴った自己教育力の育成−

              伊野町立伊野南中学校 中澤 久寿

14 障害児の生きる力を育てる音楽の指導法について−子どもの全体的な発達を促す指導法に焦点を当てて−

              高知県立山田養護学校 永易 智子

15 重度・重複障害児のコミュニケーションの発達支援−AACとATで育てる生きる力−

              高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分校 窪内 真由美

16 子どもたちがいきいきと学ぶ人権教育のあり方豊かな出会いを大切にした「人権総合学習」

              土佐市立北原小学校 国澤 美知

17 「土佐の教育改革」と人権教育の在り方について子どもたちが安心して楽しく学べる学校づくり

              高知市立大津中学校 中田 正康

18 高等学校における人権教育のあり方について−参加型をベースとする効果的な人権学習のあり方について−

              高知県立室戸高等学校 門田 雅仁

19 小学校における心の教育について−生きることの素晴らしさを感じ取ることができる子どもたちに−

              高知市立第六小学校 藤宗 章

20 自己肯定感を高め、よりよい人間関係を築ける子どもの育成−アートセラピーの手法を生かして−

              土佐市立新居小学校 福留 勇一

21 学級集団における、ふれあいのある人間関係の育成−カウンセリングマインドを生かした指導法

              中村市立蕨岡小学校 岡田 栄喜

22 豊かな人間関係を育む学校づくり−PA(プロジェクトアドベンチャー)の導入

              南国市立香南中学校 森 浩二

23 理科教育における学習項目の分析と教育情報の蓄積

              高知市立南海中学校 網藤  裕志

24 学習指導における心理教育的援助サービス

              高知市立朝倉第二小学校 西本 壽香

25 外国人児童に対する日本語指導のあり方小学校国語教科書における抽象的語彙の調査

              高知市立潮江南小学校 折田 正子

26 小学校における「音楽づくり」の教材開発−学年発達と教材の適時性について−

              土佐市立高岡第二小学校 岡田 直子

27 生徒の意欲を引き出すための社会科授業作りと評価−調べ学習・ポスターセッションと評価活動を取り入れて−

              高知市立三里中学校 永吉 加代子

28 中学校体育科における学習指導と評価のあり方−陸上競技教材を通して−

              須崎市立上分中学校 鈴木 誠子

29 家庭科教育における保育学習の推進のあり方−心の教育の視点を生かして−

              高知県立高知丸の内高等学校 山本 由美子

30 小学校におけるスクールカウンセラー活用の試み養護教諭との連携と授業実践を通して

              伊野町立伊野南小学校 松岡 潤子

31 役割取得能力を育成する小学校道徳授業プログラムに関する一考察VLFプログラムを基底として

              伊野町立神谷小学校 森 有希

32 音楽が関わった「総合的な学習」の指導計画の編成と実践的展開に関する研究

              高知市立初月小学校 澁谷 朝子

33 高等学校における参加体験型人権学習の効果に関する実証的研究内的葛藤による自己変容を目指す学習プログラムの実践を通して

              高知県立須崎高等学校 大西 雅人

34 討議用会議室による外国人との交流が高校生の英語学習への動機づけに及ぼす要因の分析

              高知県立高知東高等学校 前田 亞希

35 子どもの価値形成を支援する道徳教育の研究統合的プログラムの効果から考える

              土佐市立高石小学校 山本 英明

36 学習不適応児の学習指導に関する教育心理学的研究メタ認知能力の育成を目指して

              高知市立第四小学校 下村 由美子

37 学校社会科における国際理解教育−グローバル教育およびメディアリテラシーの視点を入れて−

              高知市立鴨田小学校 柳川 美和

38 子どもの道徳性の発達を踏まえた道徳授業と資料の研究

              高知市立布師田小学校 山中恵理子

39 中学生の体験学習についての実証的研究−感情体験と気づきの視点から−

              高知市立行川中学校 今城 博子

40 下肢支持性欠如に起因する転倒の防止制御の検討

              高知県立高知工業高等学校 田能 寿孝

41 教師のライフコースに即した教員評価制度に関する一考察

              佐川町立佐川小学校 石元 浩子

42 重複障害児の視機能評価と支援

              高知市立養護学校 宅間 裕子

43 子どものこころに近づくために−Q−UとS−HTPによる アプローチ−

              高知市立愛宕中学校 西沢 勇司

44 臨床心理学を通しての生徒理解−S−HTPとQ−Uによるアプローチ−

              野市町立野市中学校 山脇 哲博

研修 高知県教育センター
所属 伊野町立伊野小学校
大坪 苗黄
研究テー

コンピュータを活用した学習指導法の研究

生きる力の育成をめざした共同交流学習の実践−
要   旨

テレビ会議や掲示板、Webページなど、コミュニケーションメディアを活用しながら、三重県の2つの小学校と共同交流学習の実践に取り組んだ。中郷小学校とは同じ北海道産のひまわりのたねをまき、観察記録や活動の様子を交流する「ひまわりのたねプロジェクト」に取り組んだ。神明小学校とはお互いの地域の伝統工業を伝え合い、共に体験し合う「伝統工業プロジェクト」の学習に取り組んだ。実践を通して、小学校中学年におけるコミュニケーションメディアの有効性について学ぶことができた。また、共同交流学習の実践が課題解決力やコミュニケーション能力など、生きる力の育成に有効であることが明らかになった。

キーワード

共同交流学習 コミュニケーションメディア

ポートフォリオ ひまわり 伝統工業

研修 高知県教育センター
所属 高知市立横浜小学校
祖父江 香野
研究テー 楽しく音楽に関わり、表現する楽しさを味わい、豊かな感性を育むための学習指導方法の工夫−低学年における音楽活動を中心に−
要   旨

低学年の発達段階を踏まえて、遊び的活動を取り入れながら基礎・基本を身に付け、子どもたちが音楽に楽しく関わることができるような授業づくりを試みた。この時期における基礎・基本については、音楽を聴き分け感じ取る力と捉えた。1年生では、リズムのおもしろさに気づくような授業、2年生では、鑑賞と表現の関連を図った授業を行った。授業では、子どもたちの意欲を高めるために、遊び的な活動を取り入れたり、イメージしたものをより具体化させたりするために、教具を作成し活用した。

キーワード 楽しい音楽活動 創作活動 豊かな感性 遊び的な活動

研修 高知県教育センター
所属 高知市立朝倉第二小学校
吉本 弥生
研究テー

認め合い支え合う集団づくりをめざして−学級活動における人間関係づくりの実践を通して−

要   旨

人間関係づくりの弱さが顕著になってきた今の子どもたちに対し、好ましい人間関係を育成し、基本的なモラルや社会上のルール等を習得するために、朝の会や学級活動において集団体験活動のなかの4つの手法を用いた実践を行った。今まで、学級のなかで自分の意見が言えなかった子どもが、活動を通して、少しずつ意見が言えるようになるとともに、周りの子どもたちがその変容を認め、相互理解していくことによって、認め合い支え合う集団の育成をめざした。その結果、意見の言えない子どもへの声がけや、励ましなどが見られ、自分の意見が言えるようになってきたことから、子どもたちの自尊感情が育まれてきたのではないかと思われる。

キーワード 朝の会 学級活動 集団体験活動

研修 高知県教育センター
所属 土佐市立戸波中学校
中井 有里
研究テー 音楽科における「基礎的な能力」を伸ばす授業づくり(共同研究)第二部 指導と評価の一体化をめざして
要   旨

本研究は、評価の研究を通して音楽科の指導の在り方を模索していく方法〈授業研究の在り方〉と、その実践を著すことで『音楽科における「基礎的な能力」を伸ばす授業づくり』のための一つの切り口となることをめざしたものである。第一部では、川田指導主事が「評価規準の設定を通して」と題し、評価規準の導入経緯やコンセプト、評価規準の設定の手順等をまとめている。これをもとに、第二部「指導と評価の一体化をめざして」では、評価規準を設定した実際の授業実践を通して、評価規準の活用方法、活用から見えてくる児童生徒の姿、あるいは教師本人の課題等、ミニマムな事例を示した。本著書に目を通し、実践に生かしていただける機会がわずかでもあれば、幸いである。

キーワード 音楽における評価と指導の一体化 評価規準 評価方法 評価実践

研修 高知県教育センター
所属 高知市立三里小学校
川端 純子
研究テー 小学校における環境教育のカリキュラムの開発についての研究−環境を意識し、自ら学び、考え、行動できる子どもの育成をめざして−
要   旨

小学校での環境教育では、身近な地域環境にまず目を向けていくということが重要である。そこで豊かな感性を育てることをベースに、活動や体験・身近な問題を重視することを考慮に入れたカリキュラムを開発し、育てたい子ども像・力をおさえながら、身近な環境を教材とし、意欲を高める学習活動の組み立てを考え、教育活動の中への位置づけを視野に入れた単元作りを行った。さらに、自然・人・物への愛着をもち、郷土を誇りに思う気持ちが芽生え、環境を考え行動できる子どもが育つためには、地域・人との関わりや、課題解決に向けて調査し考えたことを相互交流し合うことを重視した学習過程を構成していくことが効果的であることを検証した。

キーワード 環境 地域 地域の人 カリキュラム開発 足元からの環境学習

研修 高知県教育センター
所属 高知市立青柳中学校
白井 裕史
研究テー 技術・家庭科(技術分野)における情報機器活用のあり方について−課題解決能力を育む教材開発と学習指導法:ブロックとLogo言語を使った制御教材−http://10.30.16.135/sirai/
要   旨

レゴのブロックをLogo言語でコンピュータ制御する。教具は親しみやすく日本語でプログラミングができることを重視した。授業では自作のロボットでサッカーをした。コントロールはセンサーで行えるようにプログラムを組んだ。研究を進めるにあたり教材の適合性と学習効果を学力・思考力・情緒の3点から分析した。適合性においては総合的な学習の時間・理科・技術・家庭科(技術分野)で利用できる。小学校や高専でも利用されており、年齢に応じた課題が設定できる。学習効果は試行錯誤の「難しさと楽しさ」の高い相関と、学習意欲の向上と将来の展望に影響を与えることがみられた。試行錯誤するゆとりの時間を取ることが大きな効果となった。

キーワード Logo言語 コンピュータ制御 ロボット センサー 試行錯誤

研修 高知県教育センター
所属 池川町立池川中学校
寺田亜希
研究テー 環境に配慮した生活を実践するための技術・家庭科の研究−生活に根ざした食生活の学習を通して−
要   旨

日常生活における環境への視点を育成し、実践的態度につなげるために食生活の学習における環境問題への取り組みを試みた。食品選択時の思考力に注目し「無農薬野菜に賛成か・反対か」をテーマに消費者と生産者の立場で、それぞれ賛成派・反対派に分かれて学習を行った。その結果、ゲストティーチャーの講話とディスカッションは、生徒に今までなかった価値観をもたらし、新たな側面から物事を考える力につながったと考える。しかしその内容が多岐に渡り自分の生活と離れすぎたことで環境への関連性に気付かない生徒もいた。環境への視点と実践的態度の育成のためには、自分の生活に密着し具体的な解決方法を習得できる学習が重要である。

キーワード 環境問題 食生活 選択・活用能力 ロールプレイング・ディスカッション 

研修 高知県教育センター
所属 高知県立幡多農業高等学校
金子 幸次
研究テー 実験・実習指導を効果的に行うための情報機器を活用した指導法の研究
要   旨

生物工学基礎(バイオテクノロジー)の学習において、学習の支援は、分かりやすい教材の提供が課題であった。授業内容、知識・技術の理解と修得を高め実技に生かせる学習の励行を推奨するために、シミュレーションしにくい内容が情報機器を活用することによって容易に学習できる環境を整備し、学習の場を提供する。研究によって実現できるであろう仮説を立て、CD-Rソフト(学習支援システム)を作成、情報機器によるシミュレーション学習と調べ学習によって授業展開し検証した。授業の評価をアンケートにより集約→結果分析→改良→授業へ導入展開と学習支援システムとしての完成度を高めながら仮説を立証した。

キーワード 生物工学 バイオテクノロジー 情報機器活用 シミュレーション

研修 高知県教育センター
所属 安芸市立川北小学校
井上由香
研究テー 意欲的に書くことができる子どもをめざして―問題解決能力の育成を視点にして―
要   旨

意欲的に書くことができる子どもを育てるためには、子どもたちが、相手や目的に応じて書く内容をしっかりもてるようにすることが大切だと考える。そこで、偉人新聞を作成し、他の学年に伝えた。情報収集には、インターネットのホームページや伝記物語を使ってメモを取った。パソコンを使用したことで、子どもたちの書くことに対する意欲は喚起された。また、本やインターネットからのメモは、必要な情報を取り出すことが出来ていた。このように相手や目的を明確にすることで、情報収集の視点や表現の工夫がより良くなされた。また、必要な情報を取捨選択し、自分の言葉で書くのは、自ら学び、自ら考えることにつながった。

キーワード 情報収集 多用な文種 インターネット 自分の言葉 偉人新聞

10

研修 高知県教育センター
所属 高知市立十津小学校
依岡 八代緯
研究テー 国際社会に生きる心豊かな子どもの育成−英語に親しむ活動を通してコミュニケーションの基礎を養う−
要   旨

小学校における英語活動では、楽しみながら英語に触れることが大切である。英語を楽しんで好きになる。そこに「もっと英語を使って話してみたい」という学習意欲(動機付け)が生まれる。本研究では積極的にコミュニケーションを図り、楽しい英語活動にするために「発達段階に応じた体験的な英語活動」「教材・教具を効果的に取り入れた英語活動」の二つに焦点を当てた研究を行った。発達段階に応じた体験的な英語活動では、子どもの身近で親しみのある絵本を取り入れた英語活動の内容について研究を進め、英語活動のねらいとの符合性を明らかにしながら、楽しい英語活動のあり方や小学校における英語活動の方向性を明確にしていった。

キーワード 楽しい英語活動 体験的な活動 絵本の読み聞かせ コミュニケーション能力

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研修 高知県教育センター
所属 馬路村立魚梁瀬中学校
小松 紀美
研究テー 中高一貫教育校の特色を生かした教科指導の在り方(英語)―実践的コミュニケーション能力を育成するための6年間を見通した活動と評価―
要   旨

基礎を培う中学校での英語指導とその基礎をベースに発展していく高等学校の英語指導をうまく接続させるためには、中学校でどのような指導を行えばよいか。中学校の英語学習の基礎となるローマ字とフォニックスの関連指導、品詞指導(学校文法と英語の品詞分類の対比)、中学校及び高等学校の「学習指導要領」の分析から、中学と高校の英語指導の接続について考える。

キーワード 中高一貫教育 英語指導

12

研修 高知県教育センター
所属 南国市立北陵中学校
横川 真知
研究テー 小・中学校における理科教育−子どもの興味・関心を高め、科学的な見方や考え方を培うために−
要   旨

近年、子ども達の理科嫌いが指摘されているが、理科嫌いを誘発しないために、生活に密着した理科を実践することが必要であると考えた。また、理科の学習は、同じ単元を小・中・高・大とそれぞれで扱うことで内容が深まっていくように、発達段階に応じた内容構成がなされている。以上のことから、日常生活との関わりを重視し、小・中連携を意識したカリキュラムとして、小学6年と中学1年とにわたって学習する「水溶液の性質とそのはたらき」の指導計画を作成して検証授業を行った。この検証授業と事前・事後アンケート結果から、研究仮説の有効性について分析し、本研究の成果と今後の課題についてまとめた。

キーワード 理科 日常生活との関連 小・中連携 興味・関心

13

研修 高知県教育センター
所属 伊野町立伊野南中学校
中澤 久寿
研究テー 数学的コミュニケーション活動を取り入れた学習指導法の研究−論理的思考力を伴った自己教育力の育成−
要   旨

数学科における基礎・基本の定着に、数学的コミュニケーション活動の有効性を検証した。生きて働く知識としての数学科教育を具体化させる手段として、個人の思考活動に作用する「数学的活動のコミュニケーション化」と集団における自己表現手段としての「数学的表現を媒介としたコミュニケーション活動」を取り入れることによって、数学的リテラシーの開発と学習意識とのバランスを改善できるのではないかと考え、研究を進めてきた。これにより「何から学ぶか」、「どのような過程で学ぶか」、「どう定着させるか」のプロセスによって、個人としての主体性を失わず、しかも新しい社会の在り方と調和した判断ができる能力の育成を目指した。

キーワード 数学的コミュニケーション活動 数学的リテラシー 自己教育力 数学論文 学習構造チャート

14

研修 高知県教育センター
所属 高知県立山田養護学校
永易 智子
研究テー 障害児の生きる力を育てる音楽の指導法について−子どもの全体的な発達を促す指導法に焦点を当てて−
要   旨

知的障害養護学校小学部における音楽の指導は、児童の実際の活動や主体性、楽しむことを重視した「音楽遊び」の充実が必要であると思われる。情動に直接働きかける音楽を用い楽しむ中で、障害のある子どもの心を開き、全体的な発達を促すことができると考える。そこで「音楽遊び」を充分楽しみ、音楽療法的アプローチを取り入れた、より効果的な音楽の指導法について研究を行った。そして@教材、教具の精選や作製A学習の流れの構造化B音楽療法の身体模倣導入C動的活動と静的活動を組み合わせた授業展開等によって、音楽を楽しみ、主体的に活動でき、自己コントロール力がつく等、成果がみられた。

キーワード 養護学校小学部 音楽教育 音楽遊び 音楽療法

15

研修 高知県教育センター
所属 高知県立高知若草養護学校 土佐希望の家分校
窪内 真由美
研究テー 重度・重複障害児のコミュニケーションの発達支援−AACとATで育てる生きる力−
要   旨

重度・重複障害児のコミュニケーションの発達支援において、AAC(拡大・代替コミュニケーション)とAT(支援技術)を用いて、子ども自身が周りの世界に関わろうとする力と自分自身の気持ちや意図を周りに伝える力を育てる指導・支援を行った。コミュニケーション意欲や手段、周りの世界を理解しみとおす力を育てるために、全方向スイッチ、ライトタッチスイッチ、視線コミュニケーションボードなどを使用した活動を工夫した。このことは、学校の場面だけでなく子どもと家族の生活を豊かにすることにつながった。また、子どもをみつめる教師の姿勢と、専門的知識・技術をもつ人々との連携の必要性を確認することができた。

キーワード コミュニケーション AAC AT(支援技術) 重度・重複障害児 自己決定

16

研修 高知県教育センター
所属 土佐市立北原小学校
国澤 美知
研究テー

子どもたちがいきいきと学ぶ人権教育のあり方―豊かな出会いを大切にした「人権総合学習」―

要   旨 人権に関わるテーマから学習活動を展開し、そのなかで自己の生き方について考えたり、社会に存在する差別の不合理に気づき、自らの問題として考え行動する力を培うためには、総合的な学習の時間のねらいと重ねた人権教育(人権総合学習)が有効であると考えた。そこで、本研究では、子どもたちが興味・関心を持って人権課題と出会い、自らの課題ととらえるための学習内容や方法について、小学校段階における人権学習の実施状況の調査、検証授業などを行った。そして、子どもたちの心をゆさぶる「人・もの・こと」との出会いや体験活動が大切であることを明らかにした。
キーワード 人権教育 人権総合学習 豊かな出会い

17

研修 高知県教育センター
所属 高知市立大津中学校
中田 正康
研究テー 「土佐の教育改革」と人権教育の在り方について―子どもたちが安心して楽しく学べる学校づくり―
要   旨

「土佐の教育改革」を人権教育の4つの側面から検討し、「子どもたちが安心して楽しく学べる学校づくり」の具体像を明確にしていった。そのなかで明らかになったのは、「子どもの人権(参加の促進を中心に)」という視点と、5つの側面である。この視点から、学校をみたときに、「子どもの参加」が保障されているかが重要であり、この「子どもの参加」を保障するような取り組みが求められる。このことは、「子どもの権利条約」の学校における具現化を図っていくことでもある。本研究では、学校改革の具体的視点を明確にし、それにもとづいて、学校のなかで、まず取り組くむべき具体的な4つの提案をおこなっている。

キーワード 土佐の教育改革 人権教育 子どもの権利条約 子どもの参加 学校改革

18

研修 高知県教育センター
所属 高知県立室戸高等学校
門田 雅仁
研究テー 高等学校における人権教育のあり方について−参加型をベースとする効果的な人権学習のあり方について−
要   旨

参加型学習についての理論研究、及び在籍校での検証授業等で、参加型学習についての研究を行った。そのなかで明らかになったのが、生徒の気づきを引き出すことの重要性である。そのためには、明確な目的やねらいを立て、生徒の学習意欲を高めるような教材を工夫することが必要である。2点目は、ともに学ぶ過程を大切にすることである。参加型の手法では、学ぶ過程を通して、お互いの違いや共通点を自覚し、そこから学習を深める意欲や学習の糸口を得ることができるのである。以上のことから、様々な人権学習において参加型は、生徒自身が課題解決に向けて大切な知識・技能・態度を身につけるために効果的であると考える。

キーワード 人権教育 参加型学習 人権学習

19

研修 高知県教育センター
所属 高知市立第六小学校
藤宗 章
研究テー 小学校における心の教育について−生きることの素晴らしさを感じ取ることができる子どもたちに−
要   旨

いのちを大切にし、自分や友達を好きになり、前向きに生きていく力を育てるために、心の健康バランスを支援するための授業プランの作成、自己肯定感を高め、自尊感情を育てる学習実践に取り組んだ。いのちの尊さに気づくことで自分や相手の価値に気づき、そのことを通していのちの尊さを理解させることを目標とした。そのために、人や自然とうまく関わっていくことを主題に、こころの学習、ふれあいの学習、いのちの学習を展開した。また、授業後の子どもたちの意識の変容を調査し研究の成果を検証した。

キーワード 心の学習 ふれ合いの学習 いのちの学習 自己肯定感を高める 生きていく力

20

研修 高知県教育センター
所属 土佐市立新居小学校
福留 勇一
研究テー

自己肯定感を高め、よりよい人間関係を築ける子どもの育成−アートセラピーの手法を生かして−

要   旨

学校現場で担任が活用できるものとして、コラージュ療法の手法を生かした検証授業を行った。自己肯定感、相互理解等に関するアンケートを事前・事後に実施し、授業では作品制作とともに作品についてのグループでの話し合い、授業の振り返り(自己評価・感想)を取り入れた。個人制作や共同製作をする中で、子どもたちは心理的開放感を得、自分らしさを表現できた。また、作品についてグループで話し合ったり、メッセージカードで作品のよいところを認め合うことで、自己理解・他者理解を深められた。このような活動を継続することにより、自己肯定感が高まり、よりよい人間関係を築いていくことができるのではないかという手応えを感じた。

キーワード アートセラピー  コラージュ療法

21

研修 高知県教育センター
所属 中村市立蕨岡小学校
岡田 栄喜
研究テー

学級集団における、ふれあいのある人間関係の育成−カウンセリングマインドを生かした指導法

要   旨

プロジェクトアドベンチャー及び構成的グループエンカウンターの手法を使った、カウンセリングマインドを生かす指導法の実践により、子ども達に自尊感情や仲間を思いやる心を育て、子ども同士の人間関係能力を発達させようとする。そのことが子ども達の非社会的・反社会的問題行動を未然に防ぐことになるだろうし、その問題行動に対して、子ども達自ら解決しようとする態度を育てていこうとする研究。また、カウンセリング理論を教師が学び、全教育活動でのカウンセリング的な関わりを持つことで、子どもの活動のモチベーションを高め、教えることの内容と共に思いやりの心を子ども自身の心の中に定着させようとする。

キーワード カウンセリングマインド プロジェクトアドベンチャー 構成的グループエンカウンター 人間関係能力育成・促進 自己肯定感

22

研修 高知県教育センター
所属 南国市立香南中学校
森 浩二
研究テー 豊かな人間関係を育む学校づくり−PA(プロジェクトアドベンチャー)の導入
要   旨

人間関係の改善を図り信頼関係づくりを進めることは、子どもたちの自己認識及び自己概念の広がりを生み、教育課題の未然防止につながると考え、「心の冒険教育」(PA・プロジェクトアドベンチャー)を具体的に学校教育に導入する共同研究を進めていった。研究の方法は、@「心の冒険教育」の手法の研修。A先進県等との連携。B子どもたちの教育活動や教職員研修での実践。C子どもたちや教職員の変化の検証である。成果として、楽しさを共有する中で子どもの変容はもちろん、教職員の意識の変化が認められ大きな収穫であった。今後の課題として、教育課程上の位置づけや適切なプログラムづくり等があげられ、さらに研究を深めていきたい。

キーワード 心の冒険教育 プロジェクトアドベンチャー 体験学習 人間関係づくり 心の居場所

23

研修 岐阜大学教育学部附属カリキュラム開発研究センター
所属 高知市立南海中学校
網藤  裕志
研究テー 理科教育における学習項目の分析と教育情報の蓄積
要   旨

近年の学校教育におけるインターネット等の普及は、教師の教材研究における情報収集においても活用されはじめているが、その検索にはサーチェンジを活用した索引語による検索が一般的となっている。しかし、この検索では、時間がかかったり、時間をかけても必要な情報が得られない場合がある。そこで、「教師等が授業等に必要な情報をまとまりで直接検索でき、修正・加工ができる」をコンセプトに、教育関係機関等や個人が、共通に利用できる学習項目コードを開発し、そして、その学習項目によって検索できる岐阜大学教育情報データベースへの登録、インターフェイスの開発を行うとともに、パッケージ化による教育情報のデータベース化から、学習項目コードでつながるデータベースのネットワーク化構想について報告する。

キーワード 情報教育 情報検索 データベース 学習項目 データベースのネットワーク

24

研修 筑波大学
所属 高知市立朝倉第二小学校
西本 壽香
研究テー

学習指導における心理教育的援助サービス

要   旨 これからの学校教育を考える鍵は、心理教育的援助サービス。心理教育的援助サービスとは、「学校教育において一人ひとりの子どもの学習面、心理・社会面、進路面、健康面における課題への取り組みの過程で出会う問題状況の解決を援助し、子どもの成長を促進することである。特に学習面において意欲を高めるには、どのような援助をしていけばいいのか、高知県の教師と子どもに学習について意識調査を実施し、両者を比較し考察していく。また、児童が学習に意欲的になるには、教師と児童、児童相互の人間関係が重要になってくる。人間関係を高める工夫として、どうしていけばいいのかを考えていきたい。
キーワード 心理教育的援助サービス 一次的援助サービス 4種類のサポート 学校心理学 スタディスキル

25

研修 高知大学 人文学部
所属 高知市立潮江南小学校
折田 正子
研究テー 外国人児童に対する日本語指導のあり方―小学校国語教科書における抽象的語彙の調査―
要   旨

外国人児童に対する国語の教科指導の中で「抽象的な語彙」の指導は困難である。そこで、東京書籍の国語教科書全学年を対象に抽象的な語彙調査を行った。総抽出語数は3,718語であった。それを4分類し、@名詞979語、A動詞872語、Bオノマトペ232語、Cその他1,635語の結果が出た。調査結果を分析すると、他学年にわたって使用頻度の多いものは、学習活動でよく使われる語彙であった。それらは単元の中の「学習のてびき」に多く出現する。国語の教科指導にあたっては、第二言語としての日本語教育の視点で、学習活動でよく使われる語彙を重視して指導しなければならないことが明らかになった。

キーワード 外国人児童の日本語教育 抽象的な語彙 語彙調査 国語の教科指導 中国帰国児童

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研修 高知大学 教育学部
所属 土佐市立高岡第二小学校
岡田 直子
研究テー 小学校における「音楽づくり」の教材開発−学年発達と教材の適時性について−
要   旨

「音楽づくり」の実践において、児童の学習を価値あるものにするためには、学年発達をふまえた系統化が必要ではないかと考えた。まず、初期(1990年代以前)の実践や現行教科書を「5項目の分類」を用いて検討を行った。そして検証授業では、1年から6年までの児童に同題材同内容による授業を実施し、児童が着目する音楽的概念の相違を考察した。これら3つの分析から次のことが明らかとなった。「音楽づくり」は全学年で実施可能であり、題材によって必ずしも学年を限定するものではないが、学年発達に応じた情報提供の工夫が重要である。既習の知識や先行経験の拡張には音楽ゲームや鑑賞を組み入れた題材構成が有効である。

キーワード 創造的音楽学習 音楽的発達の系統 音楽ゲーム 鑑賞との関連 トガトン

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研修 高知大学 教育学部
所属 高知市立三里中学校
永吉 加代子
研究テー 生徒の意欲を引き出すための社会科授業作りと評価−調べ学習・ポスターセッションと評価活動を取り入れて−
要   旨

学習意欲を喚起するには、生徒の能動的な学習活動と評価活動を併用した授業構成が効果的であると考えた。共通学習で、開国から幕府滅亡までを大観し、基礎知識の学習とパワーポイントによるプレゼンテーションで幕末への動機づけを行った。次いで、幕末の重大事件を当時の4大勢力の立場から調べ学習をし、ポスターセッションで発表をした。自己評価によれば、調べ学習やポスターセッションは、満足度が高く、協力性や生徒間の学びが高まっている。また、事後アンケートから、自己評価・相互評価とも満足度や効用度が高い。以上の結果から、能動的な学習活動と評価活動を併用した授業構成が学習意欲を喚起させるのに有効的であったと思われる。

キーワード 学習意欲の喚起 調べ学習 ポスターセッション 自己評価 相互評価

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研修 高知大学 教育学部
所属 須崎市立上分中学校
鈴木 誠子
研究テー 中学校体育科における学習指導と評価のあり方−陸上競技教材を通して−
要   旨

本研究は、「陸上競技の特性を吟味し、中核的な技能を扱った単元の内容や場の工夫で生徒の意欲は高まり、教師の肯定的な相互作用行動は学習成果にも肯定的に作用する。」という仮説のもと、ハードル走、走り幅跳びの6時間単元授業を2校で実施し、事例的に検討した。文献の整理や大学生対象授業から導き出された課題を中学生の単元計画に生かし、授業実践を行った。形成的授業評価票では、『意欲・関心』、『協力』の次元は高い評価で維持し、『成果』、『学び方』については時間とともに上昇した。このことは、場の工夫や評価票によって生徒の反応を的確に把握し、次時にフィードバックすることができたもので、仮説は検証できたといえる。

キーワード ハードル走 走り幅跳び リズム グループ学習 授業評価

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研修 高知大学教育学部
所属 高知県立高知丸の内高等学校
山本 由美子
研究テー 家庭科教育における保育学習の推進のあり方−心の教育の視点を生かして−
要   旨

小さい子どもとふれあい経験のないまま親になる世代が増加している中、親になる資質や準備性を教育で意図的に発達させなければならない。そこで、家庭科の保育学習に赤ちゃんとのふれあい体験学習を取り入れた。赤ちゃんの世話をすることは、トラウマのある生徒の心の満たし直しや自分自身の振り返りや空想的世界で親業を経験することになる。また、この体験学習は1回限りではなく継続的に行った。これは、赤ちゃんにうまく接することができない高校生も回を重ねると接し方のコツをつかみ上手に接することができ、自信につながった。この体験や体験学習後の授業をとおし、将来の子育て混乱や児童虐待の予防、子育ては男女が協力することの大切さ、社会資源を活用することの重要性を認識させたいと考えた。

キーワード 赤ちゃん 子育て 児童虐待予防 父親の育児参加 ジェンダーフリー

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研修 鳴門教育大学 大学院
所属 伊野町立伊野南小学校
松岡 潤子
研究テー 小学校におけるスクールカウンセラー活用の試み養護教諭との連携と授業実践を通して
要   旨

小学校で養護教諭の連携、授業実践を通して心理臨床活動を行い、学校というコミュニティでカウンセラーや相談室をどう活用できるかや、スクールカウンセラーが心理教育に携わっていくことの効果と問題点について考察を行った。スクールカウンセラーが心理教育に携わることは、小学校においては担任が重要な役割を担っているため、担任との連携をとることのできる有効な手段の一つであると思われる。ただ、スクールカウンセラーが授業を行う時は教室という場が担っている役割を十分意識していなければならない。そこで、学校全体における場所と人材の役割を明確にし、子どもを援助するシステムのあり方を考察した。

キーワード スクールカウンセラー 心の授業 相談室 保健室 連携

31

研修 鳴門教育大学 大学院
所属 伊野町立神谷小学校
森 有希
研究テー 役割取得能力を育成する小学校道徳授業プログラムに関する一考察―VLFプログラムを基底として―
要   旨

子どもたちが、他者のことを考え、自己の思いを調整しながら、対人関係を円滑に営んでいくためには、相手の気持ちを推測し、自分の役割行動を決定するといった機能を持つ「役割取得能力」を育成する必要があると考えた。そこで、本研究と同じく役割取得能力の育成を目的に掲げる「VLFプログラム」(セルマンの開発した人格形成プログラム)を基底としつつ、児童の意識を考慮してアレンジを加えた、独自の道徳授業プログラムを構想し、授業実践を行った。そして、その実践を考察して、児童に役割取得能力を育成することができたかどうか、また、役割取得能力を育成する道徳授業の在り方とはどのようなものかについて、明らかになったことをまとめた。

キーワード 役割取得能力 対人関係 道徳授業プログラム VLFプログラム

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研修 鳴門教育大学 大学院
所属 高知市立初月小学校
澁谷 朝子
研究テー 音楽が関わった「総合的な学習」の指導計画の編成と実践的展開に関する研究
要   旨

「総合的な学習の時間」が学校の教育課程に位置付けられた社会的背景や理念、そこで求められる学力・能力について、中教審答申や教課審答申などを基に明らかにした。次に、「総合的な学習」と「教科学習」の関連や相違点について論究し、音楽が関わった「総合的な学習」の実践的展開のための理論を明らかにした。以上のことから『「総合的な学習」に音楽が関わることによって、問題解決の過程において、理性的認識だけでなく感性的認識も行われ「知の総合化」を図ることができる』という研究上の理論的仮説を立てた。この仮説を実践的立場から検証する為、「総合的な学習」の指導計画のモデルを提案し、さらにそれを実践し分析、考察、検討した。

キーワード 「知の総合化」 直接経験 「科学の知」と「芸術の知」 問題解決学習 コミュニケーション

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研修 鳴門教育大学 大学院
所属 高知県立須崎高等学校
大西 雅人
研究テー 高等学校における参加体験型人権学習の効果に関する実証的研究―内的葛藤による自己変容を目指す学習プログラムの実践を通して―
要   旨

「参加体験型学習」の手法を用いて、自己内省による内的葛藤から自己変容につなげ、行動化への意欲を培うことを目標原理とした実践研究を行った。実践授業では、教師−生徒・生徒−生徒が双方向の「相互感化」による「気づき」をもとに、行動化への意欲を培うことを目標原理とした。目標達成のために、「人間関係作り」から「人権基礎体力作り」に至る15時間分の学習プログラムを作成し、教師がファシリテーター的立場に立ち、「人権を通じての教育」を念頭に置いて展開した。践授業の効果は、質問紙調査の統計的処理、振り返りシートの観点別評価分析、自由記述のカテゴリー分析から行い、人権学習における「参加体験型学習」の効果についての実証を行った。

キーワード 人権を通じての教育 参加体験型学習 内的葛藤 自己変容 行動化への意欲

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研修 兵庫教育大学 大学院
所属 高知県立高知東高等学校
前田 亞希
研究テー 討議用会議室による外国人との交流が高校生の英語学習への動機づけに及ぼす要因の分析
要   旨

インターネットの普及は、学校の言語教師にも影響を及ぼしている。より効果的な言語指導のみならず、異文化理解や創造力、国際観の育成などを目指し、コンピュータを授業に導入し始めている。中でも、注目されているのがComputer Mediated Communication(CMC)活動である。CMC活動では、遠隔学習による同期学習、非同期学習が可能であり、生徒は個々の学習ペースで必要に応じて交流相手と学習の時間を選ぶことができる。そこで、本研究においては、ネットワーク上での会議室(Bulletin Board System: BBS)を設定し、生徒が外国人との仮想の接触を通してさまざまな話題取り上げる活動を実践した。その結果、BBSを用いたCMC活動が、高校生の英語学習を動機づける要素のいくつかが明らかになった。

キーワード

Computer Mediated Communication Bulletin Board System 英語学習 学習意欲

35

研修 高知大学 大学院
所属 土佐市立高石小学校
山本 英明
研究テー 子どもの価値形成を支援する道徳教育の研究〜 統合的プログラムの効果から考える
要   旨 道徳的価値の必要性道徳的価値とは何か、道徳的価値の消失による社会の変化と道徳的価値の必要性を考える。統合的プログラムの道徳教育インカルケーション(Inculcation)・価値の明確化(Values Clarification)・認知発達的アプローチ(Cognitive Developmental Approach)といった一連の道徳教育の方法論から統合的プログラムを考える。統合的プログラムの効果統合的ショートプログラムを用いた授業実践から児童の道徳的価値意識の変化を統計的手法により考察する。また、森岡卓也の「ブルの認知発達理論」を用いて、道徳性の認知発達論を生かした評価の必要性を考える。研究の成果と課題日本の文化から、中庸の道徳としての統合的プログラムの有効性や可能性を考えていく。
キーワード 道徳的価値 統合的プログラム 道徳性認知発達理論 価値の明確化 インカルケーション

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研修 高知大学 大学院
所属 高知市立第四小学校
下村 由美子
研究テー 学習不適応児の学習指導に関する教育心理学的研究―メタ認知能力の育成を目指して―
要   旨

学習に不適応を起こしている児童への学習指導の在り方を検討するために、次のような調査・事例研究を行った。@小学校の学級担任を対象に、学習指導上の困難な要因を明らかにし、今後どのような指導上の配慮や工夫が望まれるかを検討した。次に、児童を対象に、授業や学習の実態状況及び友だち関係や教師との関わりについて調査した。A算数科の授業に自己評価カードを取り入れる実践を通して、児童の学力形成に及ぼす効果と学習行動の変容について明らかにした。次に、学業不振児に対して、具体的操作と割合概念を結びつける教授を通して、メタ認知能力を高めることにより、学力形成の向上を図ることを目的とした。

キーワード メタ認知 自己モニタリング 自己評価 学習不適応 教室適応

37

研修 高知大学 大学院
所属 高知市立鴨田小学校
柳川 美和
研究テー 学校社会科における国際理解教育−グローバル教育およびメディアリテラシーの視点を入れて−
要   旨

世界はグローバリゼーションの進展に伴って急激に変化し、環境問題や難民問題などの地球的諸問題がますます深刻化している。世界の中で「共に」生きていかなければならない子どもたちにとって、現在、主として行われている異文化理解やコミュニケーション能力の獲得を中心とする国際理解教育だけではなく、世界が相互依存をしていることを認識し、その中でどう生きるかを考える地球市民的資質の育成につながる国際理解教育が必要である。地球市民的資質とは何か、地球市民的資質と社会科が育成をめざす公民的資質は矛盾するのか、また、地球市民的資質を育てる教育として、グローバル教育について検討を行った。

キーワード 小学校社会科 国際理解教育 相互依存 地球市民的資質 グローバル教育

38

研修 高知大学 大学院
所属 高知市立布師田小学校
山中恵理子
研究テー 子どもの道徳性の発達を踏まえた道徳授業と資料の研究
要   旨

21世紀教育改革の柱の一つである道徳教育を子どもの道徳性の発達を踏まえ研究した。まず、高知の子どもと教師の道徳の時間に関する調査を行い、道徳の時間の問題点を明らかにした。次に道徳教育の歴史や戦後の道徳授業の指導過程論を振り返り、これまでの道徳教育が権威主義的指導になりがちで、子どもの側に立った道徳性の発達の視点が弱かったことを明らかにした。そこで、認知発達の立場から道徳性の発達段階説に知見を得た。ブルの道徳性の発達段階をさらに細分化した森岡の発達段階に基づいて、高知県の自作資料を分類した。最後に整理・分類に終わっていた青木孝頼の価値観の類型に道徳性の発達段階を組み入れて、道徳授業を構想して実践した。

キーワード 道徳性の発達段階 ブル 認知発達 道徳授業 資料分析

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研修 高知大学 大学院
所属 高知市立行川中学校
今城 博子
研究テー 中学生の体験学習についての実証的研究−感情体験と気づきの視点から−
要   旨

本研究は近年盛んになってきた体験学習が、中学生の心にどのような教育的効果があるのかを検討したものである。その結果、体験学習は環境(未来・自己・他者・社会・場)に効果的に対処していく自信とその能力を使いたいという動機が一体となった感覚(生活コンピテンス)の育ちに有効であることが示され、職場体験、福祉体験等の体験学習が「生きる力」の一つの側面を育てる教育活動であることが実証された。さらに生活コンピテンスの育ちには、認知的気づきと感情体験が作用することが明らかにされ、体験学習を効果的にする事前・事後学習と不適応傾向生徒に対する適切な体験学習のあり方についての提案がなされた。

キーワード 体験学習 認知的気づき 感情体験 生活コンピテンス 社会的相互作用

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研修 高知工科大学大学院工学研究科 基盤工学専攻 知能機械コース
所属 高知県立高知工業高等学校
田能 寿孝
研究テー 下肢支持性欠如に起因する転倒の防止制御の検討
要   旨

現状の歩行リハビリテーション(以下歩行リハ)は、患者の安全を確保するため医療者が患者の体を支えながら行っているが、このような方法では、医療者の身体的負担は大きく、今後さらに高齢化が進み患者が増加すれば、各患者に必要な歩行リハの時間も十分にとれなくなる可能性がある.そこで本研究では、医療者の身体的負担を軽減し歩行リハを促進するため、患者がある程度自立して安全に歩行リハができるような吊り上げ装置の制御方法を提案し、実験によりその有効性を検討した.その結果、通常の歩行時に患者を拘束しない制御として仮想コンプライアンス制御が、また転倒の防止にはモータ目標加速度による検知が有効であることがわかった.

キーワード リハビリテーション 歩行支援機 吊り上げ装置

41

研修 東京大学 教育学部
所属 佐川町立佐川小学校
石元 浩子
研究テー 教師のライフコースに即した教員評価制度に関する一考察
要   旨

従来の勤務評定を見直し、教員の力量形成・職能成長をめざした新しい教員評価制度の在り方について考察する。まず、先進的な評価制度を実施または導入を進めている自治体の事例を取り上げ、現行の評価制度の問題点と課題を明らかにする。さらに、個々の教師の多様なライフコースに着目し、年代や経験により違ってくる力量形成や職能成長について検討を加え、それをもとに教師のライフコースに即した人事考課制度についての構想を述べる。

キーワード ライフコース 教員評価 人事考課 職能成長 力量形成

42

研修 独立行政法人 国立特殊教育総合研究所
所属 高知市立養護学校
宅間 裕子
研究テー 重複障害児の視機能評価と支援
要   旨

高知市内の小・中学校の知的障害特殊学級及び高知県内の知的障害養護学校、肢体不自由養護学校の小・中学部における学校での視力検査等についての調査を行った。先行研究と比較して、眼鏡装用や眼疾患があると回答のあった児童・生徒の割合は低く、屈折異常や他の眼疾患が発見されないままのケースがあると考えられる。また、学校での視力検査において、養護学校小学部では7割近くの児童・生徒が測定不能であり、ドットカードや縞視力表などの導入が望まれる。知的障害特殊学級や養護学校教員が共通に知っておくと望ましいと思われる情報を「視機能評価と支援のために」という小冊子にまとめ、調査協力校に配布した。

キーワード 視機能評価 重複障害児 高知県における調査 知的障害特殊学級 養護学校

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研修 高知医科大学神経精神医学教室
所属 高知市立愛宕中学校
西沢勇司
研究テー 子どものこころに近づくために−Q−UとS−HTPによる アプローチ−
要   旨

教師が少しでも子どものこころに近づくためにQ−U(学級 生活満足度尺度アンケート)を用い、子どもと教師間のずれ の存在を把握する。また、ラパポートの「認知距離の概念」 から、描画テストであるS−HTPを用い、家・木・人を一 枚の用紙に書くという課題に対してどのように取り組み解決 したかという「現象」通じて明らかにし、教示からの認知距 離の違いも含めて、〈現実型T・U〉〈両向型T・U〉〈空想 型・はみ出し型〉に分類を行う。一人一人の人格の問題には もっていかず、係わり方・生き方の問題として満足のいく学 校生活ができるようにするための描画法の新しい評価法を研 究した。

キーワード Q−U 認知距離の概念 S−HTP 現象

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研修 高知医科大学 神経精神医学教室 心理プログラム
所属 野市町立野市中学校
山脇 哲博
研究テー 臨床心理学を通しての生徒理解−S−HTPとQ−Uによるアプローチ−
要   旨

S−HTPを従来の評価・分類法でなく、ラパポートの認知的距離の概念により5段階に分類した。それぞれの「満足度」を求めるためQ−Uを生徒と教師の双方に実施した。その結果、生徒は適切な認知的距離で「満足」の割合が高く、教師は近すぎる認知的距離で「満足」の割合が高かった。これは、現実は認めながらも比較的自由であり、適切な距離を置いて現実を柔軟に捉えることのできる<両向型T>、<両向型U>で「満足」の割合が高い。しかし、教師は、教師の言動を動かせないものと捉えて、自己の内的な空想や感受性を制限してまでも現実への順応を優先させる<現実型T>の生徒が「満足」していると考えているからである。

キーワード 臨床心理学 S−HTP 認知的距離 Q−U