第2回 高松松之介記念 朝の読書大賞

(平成20年10月27日受賞)

 社団法人全国出版協会から読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校に対して、顕彰するという「朝の読書大賞」を高等学校の部として全国で一校、安芸中・高等学校が受賞しました。
 
受賞の理由は、「平成10年度から『朝の読書』を開始し、14年に中高一貫校になって以降その特徴を活かし、中学校段階から読書週間を根付かせ、高校段階の充実へとつなげていること、図書館ニュースを年2回、図書委員の生徒手作りの『図書館だより』を月1回発行し、本に親しみを持ってもらう活動をしていることも『朝の読書』の活発な理由のひとつである」とされました。
 
この受賞に際してその当時の森校長は、「この賞は、生徒および教職員全員でいただいた賞です。原則に忠実に、かつ地道に続けてきた読書活動が評価をいただいた意義は大きい。11年間『朝の読書』の活動を支えてくださったすべての方に感謝申し上げます。」と思いを語られました。

 子どもたちの読書ばなれがますます進んでいるといわれています。全国学校図書館協議会などが1997年に行った読書調査では、1ヶ月に1冊も本を読まない児童・生徒の比率は、

小学生:15%(ほぼ8人に1人)

中学生:55.3%(2人に1人)

高校生:69.8%(3人に2人)となっています。

 また、全国大学生活協同組合連合会の1992年の調査結果によると、大学生の1日の読書時間は、平均36分となっており、その内訳は、

1日の読書時間がほとんどなし:34%

1日の読書時間が30分くらい:31.2%

1日の読書時間が60分くらい:21.5%となっています。

大学生の3人に1人がほとんど読書をせず、半数が1時間以内しか読書をしていないという現状です。

 このように読書ばなれが全国的に小学生から大学生まで進むなか、本校においても図書館における生徒一人あたりの平均貸出冊数が、平成9年度は4.3冊であり、読書ばなれが進んでいると考えられます。

 このような読書ばなれが進む中、生徒たちの学習能力は、10年前に比べてかなり低下していると思われます。このような現状をふまえ、本校では「朝の読書」の時間を設け、これを通して読書のすばらしさを生徒に体験させ、併せて生徒の自己教育力を養い、学習能力の向上を図っています。

■ 期待できる効果 ■

①朝から読書をすることで、心が落ち着き、授業に集中できる。

②読書の習慣が身に付く。

③継続的に読書をすることで、生徒の想像力や表現力を豊かにし、思考力をきたえることができる。

④全ての教科の学習能力を高めることができ、学力の向上がはかれる。

⑤生徒間で読んでいる本の情報交換が行われ、生徒間の人間関係が円滑になる。また、新たな人間関係もつくられ、それらのことが、社会へ出てからの良好な人間関係をつくる基礎ともなる。

⑥遅刻の減少をはかれる。

⑦漢字を覚える。

(メモ)1997年 全国学校図書館協議会の調査結果

不読者に読ませるための提言

良い本を準備すること

その本について知らせる(紹介する)こと

読む時間と場所を確保してやること

読むのが好きになること」を目指す指導が大切である

1ヶ月に1冊も読めなかった理由

中高生・・・・「時間がない」が最も多い

1ヶ月に1冊も読めなかった者について

読書が好きか嫌いか「好き」:25.8%

「嫌い」:13.2%

本を読むことは大切か「大切」:中高生ともに80%以上

誰に勧められて本を読むか

「先生」・・・・小→中→高と低下の傾向

「家族」・・・・小→中→高と少し増加の傾向

「友達」・・・・小→中→高と増加の傾向

■ 実施方法について ■

タイムスケジュール

 8:25 職員朝礼の開始

 8:30 職員朝礼の終了

 8:32 生徒への読書の準備の合図 ホーム主任は教室へ移動

 8:35 朝の読書の開始

 8:45 朝の読書の終了 ホームでの伝達

 8:55 第1時限始業

方法

①毎日実施する。

②読むための素材は生徒自身に選択させる(素材は文庫本、単行本などの読み物)。

③その時間内は、他の読み物と取り替えない。素材は全て事前に選んでおく。

④ホーム主任も一緒に読む。 ※生徒の読むものについて、ホーム主任は一切評価しない。

⑤感想文や記録のたぐいは、生徒には一切求めない。

⑥本を忘れてくる生徒がいるので、ホーム主任はあらかじめ5~10冊くらいの本を用意する(ホーム主任の責任で借りることができる)。

⑦新入生は入学式の後に、それ以外の学年はは始業式の日に、ホーム主任より伝達し、実施日までに朝の読書のための本を用意するよう指導する。