アカウミガメの保護活動
 アカウミガメの上陸歴史は、古く弘法大師や紀貫之の土佐日記にまで遡るが、爾来、室戸の漁民はウミガメを龍神の使徒として、また、豊漁と航海安全の守り神として大切にしてきた。しかし、不老長寿の薬餌とされたり、太平洋戦争による食糧難の一時期食用とされた悲しい過去もある。昭和36年の町村合併での市政執行後、先人たちの献身的な取り組みからウミガメの保護活動が始まった。

元小学校は、昭和40年から、ウミガメの保護活動(卵の採集・ふ化・飼育・放流)の中に「命の尊重」「自然環境保護」など、教育的価値を見いだし学校教育の一環として取り組んできた。

ア)浜辺の一斉清掃
 アカウミガメは、例年5月中旬頃から上陸産卵を始める。このため5月初旬には全校あげて一斉に浜辺の掃除をする。これは、流木をはじめ色々な漂流物を取り除き、アカウミガメの上陸によい環境を作るのが目的である。近年地元老人会の参加も得て実施しているが、老人と児童の交流の場ともなっている。


イ)産卵の発見と採集
 アカウミガメは、深夜に上陸・産卵する。従って翌朝発見した人が学校へ通報してくれることになる。通報を受けた学校は、学年ごとに交代で採集に出かける。採集時、日光の直射、雨は絶対避けなければならない(腐る)ので細心の注意が必要である。一頭の母ガメは80〜130個の卵を産む。

ウ)ふ  化
 採集された卵は、学校のふ化場(縦2m、横5m)に運び、極く自然に近い形の穴(母ガメは直径約40p、深さ約50p の穴を)を掘り、卵をうめる。卵がふ化するまで約60日かかる。ある学者の計算によると累積温度1,800℃がふ化の適温たど言っているので、単純計算で1日30℃×60日で適温になるようである。 この間は、4年生の児童が、気温・砂温・天候などを観察、記録していく。

エ)飼  育
 7月下旬から9月にかけて次々とふ化し始める。児童および教職員は1学期末から夏休みにかけて一番忙しい時期を迎える。早朝ふ化した子ガメの数を記録し飼育水槽に移す。(水槽 縦0.7m、横1.6m、深さ0.7m)水槽には海水を入れてあり生餌で飼育する。海水温、餌の状態など観察・記録しながら放流の日まで続けていく。(雑菌が少ないので海洋深層水を海水として利用)

オ)放  流
 9月、2学期の始業式の日に、全校児童によってそれまでにふ化した子ガメを放流する。この日は、保育園児やPTA、地元民、老人会の人々をはじめ、新聞社やTV局も取材に訪れにぎやかな放流式になる。
 放流式以降にふ化した子ガメは、学年ごとに放流する。

カ)終  結
 9月下旬頃までに、ふ化はほとんど終わる。そして、水槽や用具の掃除と片付けをすませ、2学期末から3学期にはふ化場の砂の状態をみて、入れ替えか補給をして来シーズンを待つ。

学校とアカウミガメ