「あらゆる観点から農業を学ぶ」〜嶺北高校2年生、「天敵農法」を学ぶ〜

10月4日、嶺北高校農業コースの2年生が、石原で「天敵農法」という素晴らしい取り組みをしている米ナス農家に見学に行きました。野菜を荒らす様々な害虫をそれぞれの天敵である虫に駆除させ、農薬に頼らない農業を実践している窪内さん。

ただ、その年ごとの自然環境に大きく左右される天敵農法は困難で、ビニールハウスの中の生態系をくまなく見る鋭い観察力と労力が要るそうです。天敵が害虫をしっかり食べてくれる年もあれば、害虫の繁殖を止められず、止むを得ず農薬を使う年もあるそうです。また、様々な害虫を餌とする天敵を買い揃えるお金もばかになりません。

しかし、そんなに苦労して作られた窪内さんの野菜も、市場では農薬を使った他の野菜とごっちゃになってしまい、高い値がつくわけではないそうです。それなのに、どうして窪内さんは天敵農法を実践し続けているのでしょうか。

それは、できる限り農薬を使わずに野菜を作るという、窪内さんの「こだわり」だそうです。

この課外学習を企画した萩原陽子先生の、「あらゆる観点から農業を学べるようにつとめてます」という言葉通り、窪内さんの話は、害虫、土の養分、食物連鎖、気候の変動、バブル期と今日の野菜の値段の変動など、非常に多岐にわたる、生きた学びの詰まった課外学習でした。

帰り際、萩原先生が同行した生徒たちにかけた言葉が、とても印象的でした。

「嶺北ってすごいがで。」

(文:高知県立嶺北高校学校支援地域本部コーディネーター 鈴木大裕)