≪脱藩ウォーク  後半 その2≫

  子どもたちと進んだ谷沿いの山道は、急斜面・急勾配で、空へ、空へ。

 10分も歩くと、並走していた谷は100mも下に・・・。

 上を見るとずいぶん近づいた山の尾根まで茶畑が続きます。

  志士の道 澄んだ空気と お茶畑  

 しかし、どうもおかしいことに、登ってきた高さから言うと

すでに旧国道に出て然るべきなのに、

その道路が見えないばかりかやっとのことで出た

少し広い作業道の先には草生い茂る山道が。 

「先生、広くなったと思ったらまた山道だ。大丈夫ですか?」

子どもたちも不安気です。

 

 「大丈夫、先生に任せなさい」と言いたいところですが、

 案内板はあってもこの道を下見したわけではないのですから、そんなにえらそうにも言えません。

クモの巣を払いながら草むらを行くとすぐに植林の中へ。

ここへ来てようやく進行方向右の谷底に旧国道が見えてきました。

結局私たちは、これまで尾根を一つ越えた別の谷を歩いていたのでした。

植林内の山道には、イノシシの真新しい掘り跡が続きます。

 歩くことさらに10分。ようやく見覚えのある風景、茶畑広がる布施ヶ坂のヘアピンに出ました。

 峠まではすぐでした。以前 レストランだったところは植林になっていました。

 見晴らしはあまりよくないのですが、近くにある展望所で昼食をとりました。

 見晴らしは悪いとはいえ、少し移動するとここまで歩いてきた道筋が一望できます。

 「君たちは、小学生やのにここまで歩いてきたがぜ。すごいことしゆうんやねえ。」と褒めたことでした。

 夏の初日は過酷を極め、お弁当どころではありませんでしたが、

 今日はみんなが愛情いっぱいのおむすびをパクつきます。

 

 布施ヶ坂 母の味する お弁当

 この山で 食べるおむすび 最高だ 

 歩くほど おいしくなるよ 父の味

  一日目のゴール近くの力石では、歩きながら新田についてからの挨拶の打ち合わせを自主的に始めました。

 実は、初日の宿泊先「あけぼの館」は本来使用料が必要だったのですが、

 宿泊申し入れの電話をした際、活動内容を説明した後で、

 「あまりお金がないのでできれば無料の施設を紹介していただきたいのですが。」と言うところを

 「できれば 『あけぼの館』を無料で貸していただきたいのですが。」とお願いしてしまいました。

 後に 東津野村教育長さんの判断により「小学生の教育的に意義ある取り組みだから」ということで、

 無料で使用できることになったのです。

  10月の中旬、返事をいただいてすぐにこのことを

 子どもたちに伝えると、新田についたら教育委員会に行って

 お礼を言おうということになりました。

 4月には、人前で話すことに対し尻込みしてしまっていた

 子どもたちですが、今では、変わらず苦手なことではあっても、

 言うべき時はどんな時かということを自分たちで考え、

 一生懸命言葉を絞り出して、

 感謝の心や自分の考えなどを表現しようとする姿勢が

 見られるようになってきました。

 東津野村役場では、教育長さんの前で言葉を選びながら感謝の気持ちを述べ、

 「しっかりしちゅう。すばらしい。」と褒めていただきました。

 早く着き、時間も体力もあったので、吉村虎太郎像まで散歩に行くことにしました。

 像に向けての階段をダッシュで駆け登る子どもたち。

 上に着くと、碑文を読み合いました。時々とんでもない読み方をするものの、

 志士学習を通して関連用語の知識も増え、抵抗なく読んでいきます。

 読み終えると、夏に青山文庫の館長がおっしゃっていた

 「竜馬だけがえらいんじゃないぞね。みんなえらいんぞね。」の言葉に改めてうなずく子どもたちでした。

虎太郎 心の中に 生きている 

         虎太郎 堂々とした その体                    

虎太郎 みんなのために 義挙をする 

虎太郎 日本を変えた 夢を見る

  「先生、虎太郎愛媛見てるよ。」という友だちの発見にヒントを得てさらに一句。 

虎太郎 志高く 伊予を見る 

 夕食後のミーティングの準備も、男女が風呂と振り返りカードの記入に分かれ、 整然と進みます。
 私は何の口出しの必要もなく、にぎやかに風呂に入る男の子たちの声を聞きながら、
 黙々と1日の振り返りを書いている女の子を見ながら、道中記を記すことができます。夏にはできなかったことです。
 ミーティングでは、“調子が悪い人への気遣いやお世話になった人への心からのお礼、
 それに道々での挨拶や歩きながらの志士学習が少しずつできだした”との評価が出されました。
 また、調子に乗りすぎた時があった、具合が悪くなった友だちの介抱が遅れたなどの反省も出されました。
 毎日顔を合わせている担任ですが、子どもたちの振り返りのレベルが高くなってきていると思いました。
 「これまでの失敗、反省、チャレンジの連続が君たちを確実に成長させてきているね。
 今日の君たちは本当にすばらしかった。」と評して、坂本竜馬の伝記を少しだけ読み聞かせて就寝しました。

 

    ≪2日目(11月1日)新田(あけぼの館)〜四万川(交流センター)約26q≫

 
 朝5時半。外は真っ暗。電気をつけると、児童のひとりが目をパッチリ開けて立ち上がり、すぐに布団を片付け始めました。

 集団生活では、一人がやり始めるとみんながやらなければという雰囲気になります。

 自分のものだけでなく、みんなで協力してきれいにたたみ、積み重ねました。

 そこからはまた自分たちですぐに役割分担をして、快適に過ごせた施設の掃除や朝食。 

 出発の準備がほぼ整ったところへ、今日の救護車担当の先生が到着しました。

 

 東津野村のラジオ体操の放送に合わせて準備体操。

 簡単にミーティングをしていざ出発。

 今日の行程も約26km。霧の新田を出て歩きます。

 今日も通り過ぎる車がクラクションを鳴らして激励してくれます。

 トンネルを抜けると見事な紅葉。

 清き渓流に落ち葉がはらはらと散っては流れています。

      志士たちは 紅葉のごとく 舞い散った 

 

  東津野村宮谷では、大わらじを見学しました。  

  東津野村高野では、中平善之進像前で休憩。

 碑文を読みあいながら、六志士たちより少し前の時代に生きた善之進の魂を

 あらためて感じました。

 

    善之進と 志士の心は ひとつぜよ

   善之進 悪くないのに 打ち首だ           

 次は野越を目指します。

 野越からは旧道に入り、梼原まで歩きます。  少し疲れてきたのかこんな句も生まれます。

    坂登る 志士の顔にも 疲れかな

 

後編〜その3〜へ続く
 

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