高知県は、美しい海、清らかな川、緑あふれる山々など豊かな自然に恵まれています。しかしながら、この豊かな自然が年々失われている現状にあります。私たちは、これらの素晴らしい自然を未来に引き継いでいかなければなりません。
 平成20年3月に告示された学習指導要領においては、「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健康・体力」のバランスのとれた力、すなわち「生きる力」を育む観点から教育課程が編成されており、体験活動の充実や、持続可能な社会をつくること等、環境教育に関する重要な視点も盛り込まれています。
 このような中、小・中学校において環境教育を推進し、自然環境に対する理解を深めるために、学習指導要領の内容に即して、「山」と「海」の自然環境を活用して各教科等の理解を促進する環境学習プログラムを作成いたしました。
 このプログラムは、関係する教科及び総合的な学習の時間との関連性を示すとともに、1プログラムの学習時間を1校時~2校時とし、学習場所を学校及び学校周辺を基本にしています。また、遠足や宿泊体験学習などと関連づけた学習活動としても活用していただける内容としています。
 この環境学習プログラムを参考に、郷土の自然や人々の生き方を通じて、「環境から学ぶ」、「環境について学ぶ」、「環境のために学ぶ」という3つの学びを大切にし、家庭・地域と連携しながら、高知の自然とともに生きる地域・心豊かに生きる社会の実現に向けて努力できる人材を目指し、子どもたちの育成に取り組まれることを期待します。

小学校用

1.タンポポ探しに出かけよう

内容
  • 学年:小学校2年   教科等:国語
  • 小学校2年国語の説明文「たんぽぽ」でタンポポについて学習したことをもとに、実際にタンポポを校庭で観察することにより、花のつくりや特徴について確認する。また、校庭にあるタンポポの写真を調べ名前を確認する。観察後はなかま分けを行い、お互い発表しあう。
  

2.環境はかせにチャレンジ

内容
  • 学年:小学校中学年   教科等:総合的な学習の時間
  • 5~6人のグループに分かれて、ゴミ問題を出発点にして環境について考える。イエスかノーにするかグループで意見を出し合い進めていく。問題に触れながら環境についての問題把握と意識向上を図る。
  

3.バナナのタネはどこにある?

内容
  • 学年:小学校5年   教科等:社会
  • 現在自分たちが食べている好きなくだものを自由に挙げさせる。(特に高知県の特産品について考えてみることが望ましい)自分達が好んで食べているくだものも、もともとは自然に自生していたものを人間が食べやすいように改良を繰り返し、人間にとって有用な品種を残そうとしている園芸品種であることを知り品種改良について考える。
  

4.海岸の漂着物調べ

内容
  • 学年:小学校低学年   教科等:生活
  • 海岸に流れ着いた流木や海藻などの自然のものと人間が捨てたゴミを拾って海岸の清掃を行う。分別した漂着物から海岸のゴミ問題について考える。
  

5.どこでとれたサカナかな?

内容
  • 学年:小学校3・4年   教科等:社会
  • スーパーマーケットや小売店に行き、売られているサカナを調べる。サカナの産地や加工の仕方などをまとめることで日本の漁業や食文化を考えさせる。
  

6.海藻でおしばをつくってみよう

内容
  • 学年:小学校1・2年   教科等:図画工作
  • 浜に打ち上げられた海藻(海藻はあらかじめ採集しておく必要がある。)、または、食用に販売されているワカメ(刻んでいない棒状の物か塩蔵品)、コンブ(同左)、乾燥海藻(サラダ)、アオノリ原藻、フノリ、トサカノリ、ヒジキなどを使っておしばをつくる。適切な処理(塩抜き等)をした海藻をちぎったり、組み合わせたりしながら新聞紙やダンボール紙を使用して押し、写真フレームなどに挟んで自分だけのおしばを作る。ラミネートして、しおりなどを作ることもできる。
  

中学校用

7.タンポポ調査

内容
  • 学年:中学校1年   教科等:理科
  • 学校周辺や登下校時、家の周りなどに生えているタンポポを観察して種類をまとめる。在来種、外来種の個体数を調べることにより自分たちの住んでいる地域の都市化の状況について考えることができる。インターネットや資料等でほかの地域も調べて比較してみる。
  

8.モウソウチクの昔と今

内容
  • 学年:中学校3年   教科等:理科
  • モウソウチクはどのような製品として細工され、どのような用途として利用されている(いた)のか、いろいろな利点について調べる。繁殖力に優れ丈夫で加工がしやすいことから昔から利用されてきたが、現代では化学製品(特にプラスチック)が主流になり山に植えられたモウソウチクが放置され社会問題化されている。山にモウソウチクが放置されている現状で生物多様性を維持するためにはどうするべきか、モウソウチクを利用または管理する方法を模索していることを認識させる。
  

9.身近な地域で利用してきた樹木

内容
  • 学年:中学校   教科等:社会(地理)
  • クスノキ、クリ、ヒノキ、コウゾ、カキノキ、ホオノキなど身近な地域にある古くから生活のために利用してきた樹木の活用方法についてグループで調べる。現在でも利用しているもの、利用が減ってきているもの、ほとんど利用されていないものに分ける。レポートにまとめて壁新聞を作る資料とする。
  

10.海岸の植物たち

内容
  • 学年:中学校1年   教科等:理科
  • 塩分や乾燥に強く海岸でも生育できる植物は少ない。そこで生育している海浜性植物の種類やからだのつくりを調べて検索カードに記入する。既習の内陸性植物と比較して環境への適応の仕方の違いについて考える。
  

11.海のプランクトン

内容
  • 学年:中学校3年   教科等:理科
  • 校外学習の時間を利用して海に行き、プランクトンネットで海のプランクトンを採集して学校に持ち帰り、ルーペや双眼実体顕微鏡で観察する。
  

12.海藻と海草?!

内容
  • 学年:中学校1年   教科等:理科
  • 海にもいろいろな種子植物(海草)が生活していることを知り、多様な自然環境の中で生活している植物について知り生物多様性について考える。