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奥工石山(りゅうおうざん)の紅簾石珪質片岩大露頭部




   高知県長岡郡本山町、大豊町 ・ 農林水産省

    
 



   おくくいしやま(りゅうおうざん)のこうれんせきけいしつへんがんだいろとうぶ



   高知県天然記念物                   指定年月日 : 平成29年6月23日



   本山町と大豊町の境に位置する奥工石山(竜王山)の山頂周辺の紅簾石珪質片岩の大露頭部があるエリアは、地質帯としては、四国山地の中央部を東西に横切る三波川帯の別子ナップに属する。泥質片岩及び珪質片岩を主な基盤岩としており、これらが変成した点紋片岩や紅簾石片岩が渓床部・渓岸部・急崖部で確認されている。奥工石山の紅簾石珪質片岩には、他に例を見ない次の二つの特徴がある。 (1)本岩は標高1400mから1515m 間にほぼ水平に分布しており、層間に他の片岩と互層する部分もなく、層厚が100mを超える大露頭で、わが国では最大の層厚を有していると考えられる。 (2)本岩を構成する0.1から0.2mmの全ての石英粒はその主軸・副軸・副面が結晶学的に同じ方位に結晶化している極めてまれな結晶片岩である。おそらく、本岩は地 下深所(15から20km)で、高い圧力と高温の下で変成した結果、このような特殊な結晶配列で固化したと推定される。   以上のように本露頭は、我が国を代表する紅簾石片岩の露頭であり、鉱物学的にもまれな結晶構造を有するもので学術上貴重なものである。