司会: それでは、後半のパネルディスカッションを始めたいと思います。本日のテーマ「教職員の意欲を育てる育成型の人事評価の在り方」を討議していただきますパネラーの皆様をご紹介いたします。
皆様に向かって右より、先ほど講演いただきました、広島県立福山誠之館高等学校長 山代猛博様。
(拍手)
続きまして、文部科学省初等中等教育企画課教育公務員係専門官 田中聡明様。
(拍手)
高知県小中学校長会長 三谷昭雄様。
(拍手)
高知県小中学校PTA連合会母親委員長 関田浩美様。
(拍手)
人事管理の在り方に関する検討委員会委員で、古河物流株式会社相談役 桐村晋次様。
(拍手)
そしてコーディネーターは、人事管理の在り方に関する検討委員会委員長で弁護士の俵正市様です。
(拍手)
以上6名の皆様でご討議をいただきます。
なお、途中で会場の皆様にご意見をいただく時間も設けておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、マイクをコーディネーターにお渡しします。よろしくお願いします。
俵 弁護士: 今ご紹介いただきました「人事管理の在り方に関する検討委員会」に属しております弁護士の俵でございます。
本日は、「教職員の意欲を育てる人事評価の在り方」ということをテーマにパネルディスカッションを進めてまいります。
冒頭に教育長からもお話しがありましたが、平成12年に「人事管理の在り方に関する提言」というのを出したわけでございます。その中で、「能力の不足する教員にどう対処するか?」というような話も出たわけでありますが、さらに「教員の採用の問題」であるとか、あるいは「育成のための研修の在り方」そういうことと共に、「人事評価の在り方を抜本的に改革する必要があるんじゃないか?」と、そういうような議論も出たわけであります。これも教育長からお話しがありましたが、6月に県内各界の代表者にお集まりをいただきまして、意見の公聴会を開催したところであります。
本日は、山代先生から、企業から教育界に入られて校長を務められて、大変貴重なお話しをいただいたわけでありますが、ご出席のパネラーの方々から、さらに色んなご意見をいただきまして、この問題を考えていきたいというふうに思っておるわけであります。
パネラーの意見を基調といたしまして問題を考えていくわけでございますけれども、ご参加の皆さん方からもご意見を頂戴したいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、人事管理の在り方に関する検討委員会に所属しておられまして、今までにもいろいろとご意見をいただきました桐村さんから、ご提言をお願いしたいと思います。
本日は、人材育成と人事評価、2つの問題についてご提言をいただきたいと思いますので、まず「人事評価につなげる人材育成」ということにつきまして、自己紹介を兼ねながらお願いをしたいと思います。
桐村相談役: 桐村でございます。座ったままやらしていただきます。
「今、大きな変化の時代」と言われますが、私が会社の生活を長くやっておりましても、こんなに思いもかけないことが次々に起こる。企業の中で言いますと、大きな会社が次々につぶれていくという状況があります。
これからの、例えば進路指導とか、キャリアの問題というのは、「コツコツ勉強をして自分の適性を探して、合うような会社に入って頑張れ。」というだけでは、もはや済まなくなりまして、「会社がつぶれた場合には、どういうふうにして次の仕事を選ぶのか?」とか、あるいは、ある幅の中で自分の、さっき「一専多能」という言葉がありましたが、広げていって、色んなことに、変化への対応ができる、産業界ではこれを「employ(エンプロイ)」と「ability(アビリティ)」を結びつけて「employ ability(エンプロイアビリティ)」という表現をしております。アメリカ、それからヨーロッパでは既に熟された言葉でありますが、そういう「エンプロイアビリティをどうつけるか?」ということで、産業界の中でも既に社員の教育に「エンプロイアビリティの養成」ということを入れております。3年前に「エンプロイアビリティの養成をやろう。」ということを日経連が提唱しまして、連合とも色々話し合ってきましたが、そういうことの用意をする責任が、人を育てるという責任から見ると企業の中にあるんではないか?ということで、離転職の力をつける能力ということも入ってまいりました。
まあ、こういう時代でございますので、先程来の講演の中にもありましたけれども、「変化の時代に対応して、どういうふうに自分の力をつけていくか?」ということが、どの分野においても必要になってきたと思われます。
その点からしますと、学校の先生の職場というのは、かなり特殊でございまして、「まずつぶれないだろう。」と、それから「自分ひとりで仕事をやっていけば、ある程度全うできる。」という点が、他の職場とは相当違いますが、それだけに、先生方が送り出される子供達はそういう場に立たされるんだということで、目を外に向けた自己啓発が必要になってこようと思います。
さて、本論に入りますが、私は、教師も含めてですが、「社会人の能力開発は、自己啓発が基本である。」というふうに考えております。これは当然のことであります。私自身を振り返ってみましても、職場で仕事を通して自分が育ってきたのが半分、あと自分で努力したのが半分であると思っております。色んな勉強会を作りました。20代の終わりの頃に作った勉強会は、150人ぐらいの会ですが、未だに続いております。20代、30代は、大体月にいっぺん勉強会ができたんですが、額で言いますと1人1万円ずつぐらい出しますと、150万円集まると毎月講演会をやっても大丈夫なんですね。場所を借りて、お互いに連絡し合って集まるということで、亡くなった東芝の土光さんとか、それから城山三郎さんとか、色んな、作家だった青島幸雄さんとか、色んな方に来てもらって、話を聞きながらみんなで議論するというふうな場を投資してきましたが、その中から沢山の経営者とか、あるいは今の日本経団連の事務総長であるとか、面白いところではフジテレビの露木君とか、そういう人が育ってきました。
僕は、集団の中で人が育つ力というのは、非常に大きいと思います。おそらく、ひとりで育つというよりも、集団の中で志を持った者が集まって刺激を受けながら育つということが、やはりこの変化の時代には大事なことだと思います。大きな変化をする時代の人の育ち方を見てみますと、こちらの先輩諸侯もそうですし、私は山口県の出身なんですが、松下村塾という小さな一角で沢山の人が刺激を受けながら育ってきた。しかも、あの場合は吉田松陰が先頭に立って明治維新を起こしたわけではなくて、吉田松陰が亡くなって10年経って、その志を汲んで弟子達が立ち上がったわけでありまして、これは全国至る所にそういうことがあるわけですね。藩校のみならず、私塾が大きな役割を果たしています。
ルビンジャーという外国人の研究によりますと、日本の明治維新がスムーズにいった影にはですね、1万を超す私塾が、寺子屋も含めてですが、全国にあって、その力が非常に大きかった。「変革期は教育の力が大きい。」ということを外国人も特に注目して日本を見てるところだと思います。
そして、集団の中で人が育っていく時に、その集団が持っている限界ということ、それから長所というものをよく見極めておく必要があると思います。我々は日々その集団にいますと、どうしてもその中の物の考え方に制約されてしまいます。しかし、先生方が学校に入られた時に、意欲に燃えて入られた時に、「どうも学校っていうのはおかしいじゃないかな?」と思われたこともいっぱいあると思います。学校の教師としての生活の中で得たものと、失った物を洗い出してみるということが、今日、社会と学校が離れていかないための大きな仕事になると思います。
それから、もう1つは、そういう状況の中で、自分の改善目標を立てるということが大事だと思います。どうしても、ひとりで仕事をされることになりますから、先程来指摘されましたような問題も出てきますし、それから学校の先生というのは、外から直接あまり批判を受けることが、極めて少ない人達であります。先生方からすると「だいぶ最近は受けてるぞ。」ということになるかと思いますが、私など、もう会社に入ってですね、40年ぐらいの間で誉められたことはほとんどないですね。「こういう点が問題だ。」「問題だ。」って指摘されながら伸びてきたというか、努力してきたわけですが、そうした中で、やっぱり自分の改善目標を立てて「半年後、あるいは1年後にこういうふうに変わっていこう。」と、「アクションプラン」といいますが、自分の改善目標を立てて、計画を立てて自己啓発でやっていく。そして、今日のような集合研修だとか、10年目の研修とか、そういうものは自己啓発の補助の手段として使えるというふうになっていく必要があると思います。
IBMの、前、人事担当の常務だった井上富雄さんという人がいるんですが、この人は「やがて独立しよう。」ということを20歳の時に考えたそうです。大学を出ないで入られたわけですが、20歳の時に考えたことです。そして、「独立しよう。」と思って考えてみると、自分の周りにはですね、この人は技術屋なんですが、「経理を教えてくれる人とか、人事部門のことを教えてくれる人とか、色んな人がいる。周りはみんな先生だ。」と、朝、会社に行って25年計画を立ててますから、「25年後に独立する。」20歳で立てたそうですから、「45歳で独立する。」という計画を見てみると、昨日ですね、得意先に叱られたことも、上司から叱られたことも、「ああ、25年経ったら自分が独立するために色々教えてくれてるんだな。」というふうに思えてですね、「大変ありがたいことだと思えた。」とご本人から伺ったことがあります。
ちょっと遅れて48年目に独立をされましたけれども、そういうことを見ると、先生方の周りには、それぞれ専門を持った方が沢山おられますので、「この人については、世の中の動きについてよく調べてもらいたい。」「この人については、政治経済について教えてもらいたい。」そういうことをですね、最近「世界」とか、「文芸春秋」とか、「中央公論」に比較的読みやすい論文がドンドン出ていってます。そういうのを分担して読んで、お互いに読み合わせしながら、そして、自分達の進む道を探していくということも、大変大事だろうと思います。
最後にもう1つ言いますと、予算が限られてきます。研修の時間が限られてきます。そうしますとですね、自己研修できることを自分達でやっておかないと、教育委員会が主催するような会議は、知識集約型の会議になってしまう恐れがあります。知識集約型の会議というのは、本来は自分で手に入れれば、コンピュータの勉強とかですね、そういうものの類は、お互いに教え合えればそれで済むわけですね。本当に必要なのは、集団で何かやる時の集団の行動、例えば、短い距離でもよいから洋上研修生に出すとか、他の県だとか他の国に短期でよいから見学に行く。見学に行きながらみんなで議論する。そういう集団の中で育つという不便が割愛されて、知識集約型のものだけが残るという傾向が、色んな所で出てまいっておると思います。僕は、知識集約型の研修はなるべく自分でやって、集団でないとできないことだけをやってもらうというふうにしないと、予算配分上、育っていくチャンスを自ら失うということになる恐れがあるんじゃないかと思います。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
それでは、現場の校長先生のお立場として三谷さんから、何かお願いいたします。
三谷校長: 失礼します。高知市立城北中学校の三谷と申します。先ほどの、講師の山代先生と大体同年代ですので、30数年間、教職に就いているわけですが、若い時と違いまして、最近は何かにつけて、何か起こると戸惑ったり、あるいは迷ったり、躊躇したりする、そんなことが本当に多くなってきました。何か、寂しい感じがするんですけれども、まあ、当然のことながら不惑の年を、もうとっと昔に終わっているんですけれども、「自己研鑽の不足か。」というふうに反省をしている最近です。
まあ、そんなことですが、今日の「教職員の意欲を育てるための手段」ということで振り返った時に、現在、自分が管理職として振り返ってみますと、若い時にですね、講師を何年かやりましたけれども、そんな中で「教職に就こう」という意欲が当時の自分には満ちあふれていたというふうに今でも思っております。
そうした状況の中で、何か、「やろう。」というような自信が沸々とありまして、その中から意欲の塊みたいなもので授業を実践したり、学校行事や部活動をこなしてきた。そして、自分なりに成果を上げたというふうに、あたかも自分の力でその学校を支えておったというふうに感じておった時もあります。今考えるとそうではないんですけれども、その時点ではそういう思いでおったわけです。
当然のことながら、それぞれの職場では仲間の教職員、つまり管理職であったり、先輩の先生方が私自身を包み込んでくださって、支えてくれたりしっかり受け止めてくださっていた。そんなことから、私自身が思いきった実践ができたのではないかというふうに思っています。
日々に生きがいを感じて、喜びをかみしめながら、若い時の教育実践ができたことを振り返っていく時に、今日の課題と照らして「人を育てる」ということで考えた時に、まず一番最初は畑作りといいましょうか、職場の環境、そんなものが私の頭の中に出て来ます。「人材育成」という視点で考えると、色んな視点や考え方ができますので、沢山の物の言い方ができると思いますが、まず1つには、「それぞれの職場の環境」であると。特に私が昔感じたことは、民主的で、明るくって、温かい雰囲気の職場、そういう思いがあります。そこで自分は育ててもらったという思いをしております。
そして、2校目に行った時には、そこの職員集団というのは、非常に1人1人がしっかりしているというとおかしいんですけど、「大人の集団だな。」自律をしているというか、「それぞれがそれぞれの職場の中で自分の役割を果たしている職員集団だな。」というようなことを2つ目の職場では感じました。そんな中で育まれて、私が育ってきたんだというふうに感じております。
そうした所で、先ほど言いましたように「畑作り」、その職場の環境を明るくって、それぞれが民主的で、温かい雰囲気で過ごせるような職場を作っていくということが、管理職の1つの役目ではないかな?というふうにも感じております。
当然、そうすることによりまして、教職員1人1人を大切にし、職場の中でお互いが自由の考えが出せる。そういう職場になっていくと思います。1人1人を大切にするということは、信頼関係というものが築かれます。お互いを認めたり支えたり、相談し合える、そういう集団になりまして、それぞれが自分自身を高める努力をすることができるんだというふうに考えます。
2つ目には、これは校長の立場になるかもしれませんけれども、「ライン&スタッフ組織としての学校を築いていく」と。まあ、学校は系統だった組織でなければいけません。いくら能力のある者が集まっていても、そこに組織がなければいけないわけですので、組織づくりをしっかりすること。当然、それぞれの学校には学校教育目標であったり、目指す生徒像であったり、教師像であったり、そんなものがあるわけですけれども、そういったことを常に意識しあえていく職員集団であるべきだというふうに考えています。そうすることによりまして、学校の業務の効率化とか、個々の教員の特性を生かすということに繋がっていきますし、職場のスタッフ全員が1つのことをやっていこうという意識に結びついていきますので、成果が上がっていくんではないか?というふうに考えます。
当然、学校は1つのサイクルで1年が回っているわけですけれども、そうした組織づくりをすることによりまして、先を見通した教育に関する新しい取り組みを試みたり、提案をしたりする職員集団ができていくんではないか?というふうに考えます。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
それでは、PTAの立場から関田さん、お願いいたします。
関田委員長: 失礼いたします。皆様こんにちは、私は、高知県小中学校PTA連合会の母親委員長をさせていただいております関田と申します。本日は、PTA、また保護者の立場から発言させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
本日のテーマであります「教職員の意欲を育てる人事評価の在り方」ということですけども、私達、やっぱり保護者にとっては、なかなか専門的なことについては分かりませんので、難しいことは言えませんけども、普段思っている思いとか、願いのようなことをお話ししたいと思います。
実際に、保護者としての立場では、私達は子育てをしております。やはり、ここでいう人材育成の中の「人を育てる」っていう、本当に一番大事な「子供を育てる」ということに関わっております。そして、またPTA活動においては、PTAという組織の中で、やはりそれをまとめていく長として色んな部分で関わらせていただいております。
まあ、「子育て」の部分についてですけども、本当に、やはり子どもを中心に考えて、子供のお手本となる親としてやっていかなければならないのが大事なことなんですけども、なかなか日々それができなくって子育てに悩まれるっていう保護者さんも沢山います。また、私自身も、本当に自分の子供を育てられているかって言うと、もう日々悩み、子育ての苦労を感じながら頑張っております。
また、PTAの組織の中では、色んなご意見の方がいらっしゃいますので、それを1つにまとめようということはなかなかできません。やはり、みなさんの意見を聞く、そして、どういう考え方の人がいるか?っていうことをよく知るっていうことが、大事なことだと思っております。
学校現場においてですけども、やはり学校に関わって下さってる先生方にとって一番大事なことは、「その中心に子供達がいる。」っていうことを考えていただきたいと思います。やっぱり、子供達が日々、先生方から色んなことを教えてもらう中で成長していくと思うんですけども、その先生方の教育方針1つで、子供達がすごく変わっていってしまうと思います。人を育てるっていうことは、なかなか個人を育てて、個人が成長をしていかなければいけないということがあると思います。
学校現場でいうと、管理職の先生達が中心になって、先生方の教育とか指導をしていただく、また先生方は先生方自身で、自分達の目標、やる気などを高めるための勉強をしていただきたい。先ほどの山代校長先生のお話の中にも沢山出て来ましたけども、本当に「自分自身を磨く」っていうことが大事なことだと思います。先生方が、自分自身を伸ばしていただき、また保護者として、私達も保護者を立派にしていくっていう、やっぱり「自分達が勉強をする」っていうことが必要じゃないか?ということも感じております。
学校現場の方で、私も小学校の方でPTA会長をしておりますので、よく学校を訪れることがあります。やはり、その様子などを見て色んなことが分かるっていうこともあります。管理職の先生方も、そういった形で先生方の様子などをよく観察する。やっぱりよく見るっていうことをしていただきたいということを思います。
人を育てる、組織を育てるということの中では、やはり長に立つ方がお手本となり、そしてその一員の人達を育てていくっていう形が一番理想ではないかと思います。
なかなか、意見がまとまっていませんが、また後半の方でお話しさせていただきます。失礼いたしました。
俵 弁護士: ありがとうございました。
それでは、文部科学省の専門官としての立場で、田中さんからお願いいたします。
田中専門官: 失礼いたします。文部科学省小中企画課教育公務員係の田中と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、「人材育成」ということで、まず人材育成という観点で見た時に、今の先生方にどのような先生になることが求められているのか?と。私は、教職の経験もございませんので、国レベルの施策ですとか、提言等を紹介しつつお話しをさせていただきたいと思うんですけれども、最近、様々な審議会等が色んな提言、そういったものを出しているわけでございますが、特に、これからの教員の方々はどういう方が必要になっていくか?ということに関しては、平成10年の「教員養成審議会の答申」というものがございまして、そこで様々なことを言ってるわけですけれども、簡単にポイントを言いますと、その中では「教師自身が得意分野を持つ、個性豊かな教員となることが必要」というようなことを言っている。つまり得意分野、あるいは個性、そういったものが教員にも求められるんだということを従来の答申等からは強調しているというのが1つの特徴ではないかな?と思っています。
その背景には、それまでの中央教育審議会答申等を踏まえた教育改革と申しますか、そういった流れがあるわけでございまして、全体について臨教審、あるいは中教審を踏まえて、この10年間の教育改革というのは、「共通から多様化へ」という言葉で言えるのではないかな?と思っております。つまり、従来、全国的な教育の水準の維持・向上、あるいは維持・確保という観点から、全国的に共通なものを教育という場においては提供することが重要であったということが、強調された時代があったわけでございますが、これからの教育というものについては、中教審答申にもありますように、「子供1人1人の個性を尊重しながら、自ら学び、自ら考える生きる力の育成。」そういったものをこれからの教育は目指すべきだということで、国が定めます学習指導要領、そういった教育内容についても多様化、多元化している。
それから、これからの学校についても、いわゆる学校段階で特色ある学校づくり、そういったことができるように学校の自主性、自律性、そういったものを確立して、地域に開かれた学校づくり、そういったものを推進することと合わせることによって、主体的かつ積極的に特色ある教育活動、そういったものを学校段階でも展開できるようにしていこうというようなことで、教育全体の施策の方向性がいっているわけでございます。
そういった中で、「共通から多様化」という流れの中で、教員についても、学校に様々なニーズ、開かれた学校づくりとも相まって、地域や保護者の方々をはじめといたしまして、様々なニーズ、しかも多様なニーズというものが求められている。そういった中で、「教員についても得意分野を持って、個性豊かな教員、そういったものを育成することが重要である。」というのが、平成10年にそういった提言がなされておりまして、そういう観点から「養成・採用・研修」そういったものを見直していきましょうということで、これまで様々な取り組みが国レベル、あるいは各教育委員会レベルでやられてきたと思います。
ただ、その中で、例えば養成につきましては、カリキュラムを大幅に弾力化いたしまして、先生によって学ぶ内容が今までよりも違う内容、そういったものを許容化して、個性豊かな教員というものを養成しましょうと。あるいは、採用についても、これまでは共通のもの、共通の能力というものを身につけてるかどうか?という観点からという採用を改めて、個人の得意分野、そういったものに着目した人物重視の採用を進めていこうという方向で、教員に採用される、養成、採用の段階では、そういった方向での施策が進められてきているわけでございますが、教員に入ってからの研修というところにつきましては、実は、先ほど桐村先生の方からもご指摘がありましたとおり、従来、ともすれば、共通のものを身につけてもらうという観点から、一斉に講義形式といいますか、そういったものが、ともすれば教育委員会主催の研修等が中心になってきたというところはございます。
個人のニーズ、あるいは人材育成、それぞれにすえるようなもの、そういったもので見直しを図っていくということが、今、各教育委員会において行われております。特に、来年度から実施に移されます、いわゆる「10年経験者研修」というのがございまして、この特徴といたしましては、従来、ともすれば初任者研修等がそうでございますが、研修というものが、「共通のものを身につけてもらうためにやる。」というようなものであったのに対しまして、今回創設されました「10年経験者研修」というのは、個人の能力の育成という観点から、個々人毎に、できるだけそれぞれのニーズに応じたメニューというものを用意してもらいたいというようなことを、国の制度においても明らかにいたしまして、そういった流れがございまして、これからの人材育成といいますか、そういう観点からは「教育が共通から多様化していく」という観点、そういったものを、教育を直接担っていただいている先生方というのも、そういう流れの中で多様化、すなわち個々人の育成。つまり共通のものをどう身につけさせていただくか?という観点に加えて、個々人の育成という方向性が重要になっていくのではないかと思っております。
以上でございます。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
それでは、山代さんからは、お話しをいただきましたが、何か付け加えてお話しすることがございましたら・・・。
山代校長: 私、校長に就任しまして、校長室には生徒が本当に、毎日のようにやって来ます。で、色んな話をしてきます。今まで校長室に生徒が行くなんていうことはなかったみたいなんですけど、私はそれで感じたんですけど、生徒という、まあ高校生というレベルになると、きれいな言葉では誤魔化されないということを感じました。言葉ではもう見抜かれてしまう。単なる言葉ではですね、見抜かれると。
それで、やはり、先生が、あるいは私も含めてなんですけど、本当に「どう生きてきたか?」ということをぶつけるということがですね、非常に大事だということを本当に感じております。
やっぱり、教育という中で、そういうところの原点、「やっぱり自分の生きてきたものをぶつける以外ない。」と、若い先生にもそういって言います。「若い先生は生きてきた時間が短い。短くテクニックも劣ると、ベテランの先生に比べますと。だけど、それを思いきりぶつける以外ないんじゃないか。」ということを、言っておるわけです。
私は、今年、人事をやったわけですけど、クラスの担任、いわゆる生徒と一番面と向かってるクラス担任、あるいは学年主任、ここが一番強くないといけないという考えを持っておりましてですね、そこへ優秀な先生を入れようとするんですけど、やっぱり数が足りない。で、数がどうしても足りない。29クラスあるんですけど、29人の先生を揃えようとした時に、一番優秀な先生を揃えたいと思った時にですね、数が揃わない。そこで私は「人材育成の必要性」というのを、本当に痛烈に感じたわけです。
学校の中で、これは県に任せておったら、なかなか、その、人事ローテーションですから、上手くいかない。そうすると、もう学校の中で、やらなきゃいけないということを強く感じて、第一課題に「学校の中で人材育成というのをやろう。」という、こういうふうに捉えたわけです。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
色々、パネリストからご提案がありましたが、桐村さんからは、「知識集約型の研修じゃなくて、グループでの研修が大事である。」というようなお話しがございましたが、しかし、その教師の集団の1つの限界とか、また逆に長所もあるが、まあ何といいますか、「1つの視野の限界があるんじゃないか?」という、こういうご指摘がありました。
また、三谷パネリストからは、「職場の環境作りとか組織づくり」についてのお話しが色々あったわけでございますが、職場の環境づくり、組織づくりということになりますと、やはり管理職の役割ということが重要になるんじゃないかと思いますが、その管理職の育成というような問題もあるんじゃないかと思います。
また、田中パネリストからは、「学校の中での人材育成の重要性」ということのご指摘があったわけでありますが、そういった事柄について、具体的にですね、どういうふうに考えていけば教職員の人材育成に繋がっていくのか?という問題をもう少し深めて、ご議論をいただきたいと思います。
どうぞご自由に、ご発言をいただきたいと思います。
(発言を待つ)
どうぞ、お願いいたします。
桐村相談役: 先ほど「変化の時代」と申し上げましたが、先生方もよくお感じになっておられると思います。私が、実は来週の月曜日から中国に1週間ほどレクチャーにまいります。これは社会人相手の能力開発の進め方を、全国にいるある役層の研修責任者が80名集まった所に行くんですが、その時点でですね、もうA4で30枚ぐらい質問状が届いてるんですね。日本の中で、今、色んな所で研修をすることがありますし、私自身、学校でも「人的資源管理論」とかですね、「キャリア形成論」というような講義をするんですが、そういう中では、生徒は、学生は終わったら、大学生ですから質問には来ますけども、社会人相手に、先生方も社会人ですが、話をして、事前に質問が来るというようなことはほとんどないし、事後も、今日も質問ありませんでしたけど、ほとんどない。テレビか何か見物してるような感じで、見て終わりっていうような感じなんですが、中国の現在の状況は、非常にすごい勢いで変わりつつあって、A430枚というのは、答える方はものすごい準備が要るんですが、それだけではなくてですね、私の本が中国語に訳されたこともあって、人の育て方の本を読んで、ミッションが来た時に、先般も30名ほど小・中・高の先生が来られた時に話したんですが、それも事前に10枚ぐらい質問状が来ましたんですね。短時間にそれを答えさせるということで、意欲が非常に強い。
「もう、生産分野では、日本はもう、ちょっとかなわないんじゃないかな?」という気が、我々、若干しながらですね、「それでもまだ頑張らなきゃいけないな。」ということでおるんですが、そういう点から考えると、やっぱり、もういっぺん基本に返ってですね、我々の先輩は、こういう教育制度が育ってない所で、みんな頑張って、自分で勉強したわけですよね。翻訳本というか、アメリカとかヨーロッパの本を1冊買って、みんなで破いて、お互いに読みながら「会社経営をどうするか?」ということでやってきたわけですから、まだまだですね、「忙しいとか何とか言いながら、努力がよっほど足りないな。」と。
こういうレベルの努力で、こういう豊かなですね、世界中から果物が集まってきたり、野菜が集まってきたり、世界中の人が、今、日本のために働いてくれてるようなところがありますから、「そういうところをやれてるという国が、維持できるはずがないな。」ということで、やっぱり、今の時代を担ってる先生方は、1人の先生の力は、大変大きいと思いますので、我々も、産業界も頑張らなきゃいけませんが、1人の先生がそれぞれの生徒達に魂を吹き込んでもらうと、ずいぶん大きく変わってくるなという気がしていまして、そういう意味では、能力開発の、あるいは自己啓発の一番前にあるものは、「どういう世の中を作っていきたいか?」という志、そして、どういう世の中を作っていきたいか?ということに向けて色々勉強すると、色んなことが見えてくるんじゃないかな?
僕は、給料は当然下がってくる。他の国と競争していくためには、当然、下がってくるんじゃないか?と、そういうことを含めてですね、他から安い物がドンドン入ってきてるわけですから、そういうことを含めて、「集団でやっていかないと間に合わないところがあるな。」というのが、さっきのことに対しての付け加えでございます。
俵 弁護士: ありがとうございました。
それでは、他にご意見を・・・。どうぞ、お願いいたします。
関田委員長: はい、それでは、実際に、私もPTAの役員として、色んな形で学校に関わっておりますけども、その中で、「先生達に本当に意欲を持って子供達を教えてもらいたい。」というような思いについては、やはり子供の気持ちになって、まず先生達にもご自分の初心に返るっていうか、色んな教育論を持っている中でも、「今一番子供達にとって何をしてあげれば良いのか?」っていうふうなことを考えながら、子供達に関わって欲しいと思います。
高知県では「土佐の教育改革」っていうことを言われていますけども、実際にその教育改革の中身を学校の先生方がどれだけ理解をしているか?ということが、私達も日々役員会などで土佐の教育改革の勉強をしておりますけども、その中で議論としてよく出て来ます。学校の管理職の先生方が、土佐の教育改革を理解して、それを学校の中に取り入れていく。そして、1人1人の先生方がその内容を把握して、子供達に教育をしていくっていうことができていくと、もっと素晴らしい人材が育っていくのじゃないか?というふうに思います。
今、保護者が色んな場面で、まあ本日の会もそうですけども、発言をさせていただく場面とか、先生方と一緒に研修をする場面というのがあります。今年も、私達PTAの役員が、夏休みに先生方の教員研修の方に参加させていただきました。やはり、そういった中で出て来る内容においても、PTA側が知ってて先生達が知らないような教育改革のお話しなんかもあります。やはり、そういった中では先生方にも、今、高知県がやろうとしているような教育改革についての内容をしっかり把握していただき、そして、それを教育の中に生かしていただきたいっていうふうに思います。
それと、また学校の現場の中ですけども、やはり、先生達は「忙しい。」まあ、「色々頑張ってやってる。」っていうふうな声がよく聞こえます。実際に私も学校の方で、よく先生方の様子を見ますけども、確かにお忙しくされていて、「頑張ってるな。」という姿を感じることもあります。でも、やはりその忙しさの中でも、先生方には先生としてプロ意識っていうか、やはり子供達に教える教員としての思いっていうのをしっかり持っていただきたいと思います。
そういった時に、もし地域の者とか、PTAとか、色んな地域のボランティアなんかが関われるような場面が学校にありましたら、もっと先生方がご自分の各教科とか、学級・学年経営なんかに取り組むことができるんでないかな?ということを思います。
また、そのためには、管理職の先生方が、まず今の状況をよく把握していただき、土佐の教育改革について学んでいただきたい。そのことを学校の運営とか、経営方針の中に取り入れていって、地域とかPTAなども活用していただいて、取り組みを持っていただきたいということを思います。
また、子供のためには、やはり先生方が子供の目線になって、色んなことを考えて欲しい。「子どもたちが主人公」っていうふうに言われておりますけども、やはり子供達の意見をよく聞いてもらう。子供達が意見を言える場所を作ってもらう。そういって、やっぱり子供達の意見を沢山取り入れていただいて、先生方もそれを基に色んな議論をしていただき、学級活動に生かしていって欲しいと思います。
また、私達、保護者としても、やはり子育てをしている上では、学校任せではいけない部分もありますので、先生方と一緒になって子供のことについて協議をするような場面がありましたら、是非、そういう所にも参加させていただきたいと思います。色んな人の話を聞くっていうことは、すごく大切なことではないかと思います。
先生方は、そのまま先生のお仕事に就かれた方っていうと、社会勉強という部分でやはりできてない部分もあるかと思いますので、色んな方と接して、色んな人の話を聞く。そして自分の意見も言う。そういった自信も持っていただきたいと思います。よく、職員の研修の場面で、関わらせていただいて感じることですけども、消極的な先生が多いというのを感じます。やはり、心の中で思っていることとかは、是非、発言として、言葉として出していただきたいです。学校の中においても、職員会議などでの意見なんかは、是非、自分の思いを伝えていただいて、そのことをみんなで協議をするっていうふうな形に持っていって欲しい。やはり、色んな人の話を聞くっていうことも大事ですし、そのことについて、それをテーマにして協議をするっていうことも大事でないかと思います。
それから、これから、本当に人材育成の上では、そういった形で、色んな社会の情報を知るっていうことも大事だと思いますし、また色んな人の話の中からそのテーマを絞って協議をする。それには、先生方でなく、地域とか保護者の色んな方が一緒に加わってもかまわないと思います。そういった場も作っていただきたいことと、あと、子供達を中心にやっぱり考えて欲しい。子供達のお手本になっていただきたい。やはり、子供達にただ「こうして下さい。ああして下さい。」ということを言うんじゃなくって、先生方もやっぱり頑張っている姿を見せるとか、先ほどの講演の中にもありました、やっぱり自分達を高めていく、子供の意欲を出すためには、やはり先生方も意欲を持って取り組む。やっぱり輝いて欲しい。元気のある先生ってすごく良いと思うんです。
子供達からやっぱり好かれている先生っていうのは、やっぱり楽しそうで元気があると思います。子供達に好かれる先生になっていただきたいと思いますし、時々私も子供からよく聞くんですけども、やっぱり、先生がすごくこう、学校で色んなことを子供にしてくれた時は、子供が素直に喜びます。やはり、そのことを親として聞いた時に、逆に、先生にまたそれを返していくことを私はしております。やはり、先生方を評価してあげるということも、とても大事なことだと思います。色んな場面で、先生方との関わりを保護者が持つ時には、先生方のマイナス部分じゃなく、プラスの部分を引き出していって、やはりそういう所でのコミュニケーションづくりを、これからはもっととっていかなければいけないのじゃないか?というふうに考えます。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。三谷さん、何かございませんでしょうか?
三谷校長: 伺っておりまして、ごもっともなことだと思って、私自身も反省をするところがございますが、先ほどの話からも出て来ておりました「職場」ということで考えていきますと、やっぱり管理職、とりわけ校長のリーダーシップと言いましょうか、そんなものが職場の雰囲気作りに大きく影響するというふうに考えます。
そこで、管理職のリーダーシップということで考えると、どういうことをリーダーシップというのか私なりに考えてみましたが、それぞれの職場があるわけですけれども、その職場の中で「今後どうあるべきか?この職場をどうするのか?」という、そういう学校の指針を明確にして、教職員にしっかり方向性を示す。そして、その実現の方法も示して具体化することだというふうに考えます。
当然、管理職は教職員、つまりスタッフに対しては、それぞれの個人が素晴らしい能力を持っておりますので、そうした能力を日頃よりしっかりつかんでおいて、場面、場面でその能力が生きるような手立てをしていくということが大事ではないかと思います。当然「職場の中で育てていく」という観点があるわけですけれども、職員の方にとっては、「職場の中で誰かにやらされている。嫌な仕事をしている。」という、そういう発想から「自分から取り組んでいる。」というふうな意識の転換、手立てが必要ではないかと考えています。
講演の中にもありましたが、学校は1年を周期にして繰り返していますので、ややもすると惰性、マンネリもあったりするわけですが、やはりそういったものを打破していくためには、常に先を見通して、チャレンジ精神を育んでいく工夫もしていかなければいけない。そうしたものは、やっぱり場面、場面において、その場に応じたと言いましょうか、評価というものを管理職がしっかりする。誉めてやったり励ましたりする。そういうことが、まあ意欲にも繋がってくるんではないかというふうに考えます。
「臨場」という言葉が今出て来ましたが、例えば、校内巡視をして授業の場面に遭遇して、その授業を見たりすることもあるわけですが、校長として感じること。「すごい、良い授業をしているな。」と思ったり、あるいは「あそこをもうちょっとこういうふうに子供に考えさせたら良いんじゃないかな?」というふうに考えたりすることもあるわけですし、生活指導面でも、子供への物の言い方であったり、対応の仕方で疑問に感じたりすることもあるわけです。そうした時に、やっぱり場を逃さずに、その日の内にその教員にはしっかりと話をしていくと。「あそこは良かったね。」とか、あるいは「ああいう発言はすべきじゃないじゃないか。」とかいうようなことで、話をしていくことを「臨場指導」であろうかと思いますが、学校の中ではそういった臨場指導していくことによって、お互いの気持ちが繋がっていって、意欲にも繋がるんではないかな?というふうに感じます。
先程も申しましたが、リーダーシップというのは、やっぱり学校が組織的な対応ができる。組織を機能させるということが第一でありまして、教職員の資質や能力の向上を図って、学校を取り巻いている様々な状況に対応しながら、校長は学校を経営していくということになろうかと思います。その、まあ、校長のスタンスによって、学校がイキイキしたり、沈んだり、停滞をしたりするということになろうかと思います。
以上です。
俵 弁護士: ありがとうございました。田中さん、その「得意分野を持った教員の育成」ということですが、それについては具体的にはどういうふうなことになってくるでしょうか?
田中専門官: そこは、学校の自主性・自律性というのが、今言われておりまして、そういったこととも関連してそういう方向が求められるということなのだと思います。
学校の自主性・自律性ということで、今、地方分権等の流れの中で、「国・都道府県・市町村・学校、その役割というのを明確にしよう。」ということで、「地方分権一括法」とか、そういう法律ができまして、国の都道府県へのできる関与、国と自治体の役割。そういったものが明確化されているというような動きがございまして、そういう中では、自治体とその学校との関係というものも明確にしていく。で、その明確にしていく中で、その方向性は、学校の権限を拡大するような方向で見直していく、明確化していくというようなことが、今求められておりまして、従来から学校の管理・運営という仕組みは、「学校管理規則」といった、学校と教育委員会の関係の基本について定めた規則、それに基づいて、一定の範囲については校長がその裁量でもって行って、最終的には教育委員会がその権限と責任を有するという仕組みになっていたわけでございますが、そういった中で、教育委員会規則、そういったものを見直して、できるだけ校長の裁量で学校運営ができる。そういったものに見直していこうという流れがあるわけです。
そうした中で、学校段階で「特色ある学校づくり」、先ほど「組織的に対応していく。」という話もございましたが、そういった「組織的な対応」そういったものをしていく時には、従来、ともすれば教育委員会の研修、あるいは教職員個々人の皆様の研鑚、そういうものに加えまして、学校段階としても校内研修等の、そういった「学校に必要なものは何か?」という観点からの研修、そういったものも求められてくるのではないかな?と思います。
教育委員会は、「研修をしなければいけない。あるいは、職員は研修をする。」ということは、地方公務員法ですとか、教育公務員特例法ですとか、そういった法律にあるわけですが、「学校が研修をしなければいけない。」というようなことは、実は法律上はないわけですが、ただ、そういった学校の自主性・自律性、そういったものが求められる。特色ある学校づくり等を進めていく上で、学校全体として目標を設定して、それに向けて必要な力、そういったものを学校として必要なものと関連しながら、研鑚に努めていただく。そういった観点からも、「学校として、どのような人材育成をしていくか?」そういったことも、今後はますます重要になっていくのではないかなと思っております。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。色々ご意見をいただきまして、まあ非常に、現在のように社会の変化が甚だしい時においては、先生方にも視野を広く持ってもらわなきゃいかんというようなことかと思いますが、高知県では、初任者の研修の1つとして企業での研修、そういうことで教師だけの世界で生きてきて出て来る視野の狭さというようなものが、カバーできるように色々お考えになっておるようでございますが、そういった研修を受けてきた方がまた、学校に帰って、先ほど山代講師のお話がありましたように、「その自分の経験をまた学校の中で分かち合っていくということが必要なんじゃないか?」というように思われます。
それから、「管理職のリーダーシップ」例えば、教員の臨場指導であるとか、あるいは教員の組織づくりであるとか、管理職のリーダーシップの必要性が強調されたわけでございますが、それについては、まあ、管理職の研修ですね、そういうこともまた必要なんだろうというふうに思うわけであります。
そして、学校の、そういった開けた学校をつくっていく。そしてそこで先生方の育成をしていくという機会に、地域の人々が関わる機会を設けるということの必要性も強調されたわけでございます。
パネラーのご意見を色々いただいたわけでありますが、会場からもご意見をいただきたいと思います。できるだけ沢山の方のご意見をいただきたいと思いますので、簡潔にご意見を頂戴したいと思います。ご発言のある方はひとつ、手を挙げていただきますとマイクをそこへお持ちいたしますので、どうぞ遠慮なしにおっしゃって下さい。
はい、どうぞお願いいたします。
会場発言者1(石元さん): 私は、高知県教職員組合の委員長をやっております石元という者です。
県内の1万教職員の声を届けるつもりで、私も「教職員の資質、指導力の向上」、それから表題にもあります「意欲を育てる人事評価の在り方」について討論に参加したいと思います。
そもそも、教職員組合の委員長である私が、この場で皆さん方と、あるいは県教委の方々、パネラーの方々と討論に参加できるということ自体が、すごい変化だと私は思って、まさにワクワクしながら発言をしている所なんです。これはやはり、土佐の教育改革が生んだ1つの成果ではないかと、そういうふうに思っています。
最初に、まあ結論から言いますと、教職員の教育的力量、実践力、これをつける施策ですね、政策ですが、これを実施するには、やはり、私達の高知県では、土佐の教育改革の到達点に立って、そこからさらに発展させると。その足場をしっかりと自分達は見て、それを踏まえた上で進まなければ机上の空論であったりですね、非常に目標が高かったり、そういうことになるわけですから、目標をしっかり見極めながらも、その地面に立ってですね、行きたいと、そういうふうに思います。
もっと具体的に言うと、開かれた学校づくりの営みを、さらに理論的にもですね、理屈の上からも実践的にも追求していく過程で、教職員は子供や保護者、父母、それから地域の住民、勿論、同僚からも批判を受けて、評価もされて、自分自身の教育力を向上させることができると。こういうふうに確信をしています。これが結論です。この、まあ今の県民が作り出した土佐の教育改革という到達点から外れてですね、給料、賃金とS・A・B・C・Dなど、段階評価等を結びつかせて、賃金格差を作って、教職員に対してですね、ランクのより高い評価を競わせたり、あるいは、職場の同僚よりも高い給料を求めさせたり、そうすることによってやる気を出させるなどという制度がですね、色々と聞くわけですが、やはりそういう、まあ、人事考課というそうですが、「人事考課制度」や、「成果主義」などは、土佐の教育改革で確立した、県民が確立した参加と協働の教育とは無縁であると言い切っても、私は過言ではないように思います。
さて、土佐の教育改革の「開かれた学校づくり」をどう発展させ、どう教育力をつけるか?の問題に関わってですが、私の考える教職員の資質、指導力の向上策を、簡単に述べたいと思います。
第1点は、これは関田さんが言われたことと全く一致するんですけれど、父母、地域の住民の声が、学校や個々の教職員にしっかり届く仕組みを、学校毎に創造的に作るべきだと思います。「創造的」というのは、上から「作れ!」と言って作るんではなしに、それぞれの地域にあったやり方で作るべきだと思うわけです。例えば、教育懇談会や、学級懇談会、PTA活動など、これはどこでもやっているようで、形骸化したところもあるわけですから、これをさらに充実させることだと思うわけです。こういった取り組みの過程で、教師は、教職員は鍛えられ、痛烈な批判を受けます。私は、こういった批判は受けるべきだと、そういうふうに思っています。辛いことですけれど。
次に、第2に、子供の願いや希望を、学校運営や学級づくり、そして何よりも授業に生かす実践が必要です。この「授業」っていうのは、山代先生と一致する意見です。「授業に生かす実践が必要だ。」と思います。各学校で徹底討論して、方針をつくると良いと、そういうふうに思います。発達段階に応じて子供の意見表明を保障するし、子供の評価はきちんと受けて、学校という組織と、教師一個人の教育力の向上をさせることが最も大切です。これは本当に厳しい評価だと思うんですけれど、これはやはり子供達に向かって投げ掛け、育てなければならないと、そういうふうに思います。
「開かれた学校づくり推進委員会」や、あるいは学校によっては呼び方も違いますが、この組織は、今は全県の学校にあります。これを一層イキイキと発展させることが必要ではないでしょうか。関田さんからは「先生方の中にも知らん先生がおる。」と、こういう痛烈な批判を受けました。やはり私達も、もっともっと学習会を開いて、この理念や実践の問題を勉強しなければならないと、今聞いて決意をしたところです。
次に、教職員集団の問題は大変重要です。ここが不団結で点でバラバラだと、子供の力になりません。校長のリーダーシップの下に、助け合い、批判し合える教職員集団づくり、学校、職場づくりをイキイキと行うべきだと、私は思います。ここでは、先ほど述べた地域、父母の方や、あるいは子供の要求、批判、そして誉められたこと、叱られたことなど、やっぱり管理職や、一部の者に留めず、学校として話し合い、要求に答えることが求められます。教職員集団で。教育の専門家として、まさにプロとして厳しい相互批判が必要です。一方では同僚としての温かい、人間味溢れる協力、支援体制、これも必要です。こういう学校をやはり作っていきたいと、そういうふうに私は思います。ここの中で初めて、教職員の意欲を育てる人事評価の在り方は、本筋で追求されると思います。
そして、さらに、教職員集団が話し合ったことを、父母や子供に返す、報告する。ここまでやりきらなければならないように思います。このことによってさらに批判がくるわけですから、そのことによって共にパートナーとして、三者が、あるいは四者、四者というのは地域も含めてですが、四者がですね、学校づくりに参加をするという、本当にすごい実践がですね、少しずつやっぱり広がっていくと、そういうふうに思います。
ある父母の方が、「学校の垣根は以外と低い。PTA活動は面白い。」とこう言いました。授業参観の後、懇談会はパラパラしか残らないという実態が一方であるわけですが、しかし、保護者の中に「面白い。参加したい。」という保護者を、土佐の教育改革は生み出したっていう、ここに私達は自信を持つ必要があると思います。その中の「開かれた学校づくり」の取り組みが、やはり創り出しているんですね。
私達は、「私達の高知県は、開かれた学校づくり時代に入った。」と、私は思っています。「子供不在の開かれた学校」とかいうのが、方々で聞かれますが、私達の県は子ども参加です。「子供が主人公の」という修飾語があって、開かれた学校づくりなんですね。そこをやはり大事にしながら、子ども参加、父母、地域住民、教職員協働の開かれた学校づくり時代に、全国に先駆けて突入しているわけです。戦前のですね、人事考課制度を引っ張り出したり、最先端の企業が失敗した成果主義を教育現場に持って来るなどということはせずに、土佐の、高知の今をイキイキと私達は進みたいと思います。
最後に、ここにお集まりの保護者のみなさんや地域の教育関係者の皆さん方ですね、やはり、まあ、熱いエール、フロア発言なんですが送ってですね、共に高知の教育を立派にしていきたいと。子供のために頑張りたいという決意も表明したいと思います。
ありがとうございました。
俵 弁護士: ありがとうございました。
(拍手)
それでは、どなたか他にございますか?はい、どうぞ。
会場発言者2(宮地さん): 香美郡のですね、夜須小学校の宮地といいます。僕は小学校の教師です。
僕は、1つですね、今田中さんがですね、「これからの時代は、学校の裁量権があるんだ。」ということ、非常に僕は嬉しく思ったんです。ただ、僕は少しですね、ギャップがあるような気がします。僕は現場におりますね、そうすると研修の問題について言いたいと思うんですね。研究と修養、これはやはり僕らの専門性をね、高める意味でですね、非常に大事です。で、これをしたいわけですね。
ところがですね、夏休みなんかもですね、自分達が民間教育団体でですね、研究している会なんかにもですね、なかなか自由に行けない部分というのがあります。これは正直にありますね。学校によると思います。で、僕は、校長先生に要請してですね、お願いをしました。
その中で、やはり僕は、本当に子供達のためになるような、そういうような研修を教職員がですね、自主的に本当に行くと、参加するんだということについてはですね、やっぱり内容においてね、例えば「どこがやっているんだから。」とかいうことじゃなくて、まあ、その中でこういう声があるんですね。例えば、「県の教育委員会が主催してないからね、なかなか難しいんですよ。」と、「でも先生、その内容で判断して下さい。」ということでですね、僕はしたんです。そういう意味で、なかなか現場の中でね、本当に本音でね、本音で物が言えるようなところはまだまだなってないと思います。で、この点は僕は、やはりまだですね、校長先生なんかも制限を受けてるんじゃないかなあ?と、そういう心配をしています。
やはり、本当に同等にね、校長先生が本当にリーダーシップを発揮するんだったらですね、やっぱり校長先生のその裁量権といいますかね、学校の裁量権がある一定、本当に制限、いや勿論、そら無茶苦茶はいけませんよ。でも、それを認めないとですね、発揮できないと思います。
僕らもそうです。僕らもやっぱり、自由にね、言わしてもらわないと発揮できません。子供が失敗したら僕らも失敗します。失敗することってあるでしょう。でもやっぱり、その中でね、話をする中で伸びていくということです。
僕は1つ、研修問題を言いましたけども、その中で、本当に高知はね、言われているけれども、「本当に対等なのかなあ?」と、「もう少しそういう制限が、まだあるんじゃないかなあ?」ということを、僕、現場から報告します。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。他にいらっしゃいますか?はい、どうぞ。
会場発言者3(八木さん): 佐川町尾川小学校の八木と申します。
私はただの一般教諭の代表として発言に参加したいと思いますけれども、私は教師になる前に、何年間か民間の会社に勤めていました。ですから、教師になれた時には大変嬉しかったんです。一般の会社というのは、お客にやっぱりある程度、物を売る時には利潤を上乗せして売らないかんので、ですけど、子供に対する時には、そんなことは何の心配もなしに子供だけに向かったら良いので、大変嬉しかった覚えがあります。
ですけれども、いったん子供に向かうと、教師の仕事というのは果てしないもんなんです。キリがない。いつまで経っても終わることはないんです。勿論、家に帰って持ち帰り仕事も沢山ありますし、また、それでも子供達がすくすく育っていっている内には、そんなことは何とも思わなくて、大変やり甲斐があって頑張ることができますが、今の子供達の様子は大変な部分が沢山あります。で、そういう時には、本当にしんどかったり、悩んだりするわけです。
で、今日のパネルディスカッションのテーマは「教職員の意欲を育てる人事評価の在り方」ということですので、前の方は、先程から発言を聞いていますと、その立場の発言としてすごくもっともだと思います。それぞれそうだと思いました。ですけれども、そこには一般教諭は座っていませんので、是非、色んなことを考えたり、色んな制度を作る時には、一般教職員の意見をアンケートで反映するとか、それぞれの意を汲むとか、そういうことを是非考えていただきたいと思います。でないと、教職員の意欲なんていうのは、たぶん育たないと思います。
期末勤勉手当に、成績主義を導入した時にも、あらかたの教諭は反対でした。私達、聞いたんですけれども、ですけれども、やっぱりそれが実際に強行されたわけですね。だから、それは当然意欲には今は繋がってないんです。実際問題として。
で、是非、色んな制度とかを決められる時には、一般教師の、教職員の意見を反映されることをお願いする意見です。
どうもありがとうございました。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。他にいらっしゃいませんか?
それでは、だいぶ時間も経過いたしましたので、ここで15分休憩をいたしまします。3時45分ぐらいから再開したいと思います。
(休憩)
俵 弁護士: それでは、再開をいたします。
前段では、教職員の育成についてパネリストの先生方、そしてまた会場からもご意見をいただいたわけでございますが、後段は、そういった「教職員の育成のために、どのような人事評価をするのが良いのか?」と、そういう問題についてご意見をいただきたいと思います。
それでは最初に、桐村さんからひとつ、よろしくお願いいたします。
桐村相談役: 私は、古河電工という会社で、長く人事課長とか人事部長をやりまして、人事関係に関する論文とか著書はかなり出しました。そして、中国に呼ばれて行くのも、招かれて行くのも、評価だけではありませんが、人の育成を中心とした本の中国訳が出たので、それの講演に行きます。
学校の教育との関係では、文部省の、国公立ですが、「先生の採用をどういうふうにするか?」という、かなり前に、まあ「面接にかなりウエイトをシフトしようじゃないか。」というふうな提案をした委員会とか、先般ですと、国公立の教育系の大学の再編と言って良いかもしれませんが、そういう問題の委員会とか、大学では、国立大学の独立法人化の委員というふうなことをやってきました。
個人的には、小・中・高で教えたことはありませんが、55歳になって、会社の役員をやりながらですが、筑波大学の夜間のカウンセリングコースの修士課程に通いまして、そこで同級生とか、それから内地留学で沢山先生が来ておられましたので、その頃知り合った小・中・高の先生とは、今もかなり定期的にお会いして、色々議論をさせていただいてます。そういうことから、今日、こういう場で発言をさせていただいているわけです。
人事評価については、「項目が納得性がいくかどうか?」ということが、かなりですね、大きなことになると思います。その項目によって、それに基づいて自分が指定されたところを改善していけば良い教師になれるか?という問題の思想的っていうと、まあ思想というとイデオロギーにとられますが、物の考え方が背景にあろうと思います。
そしてもう1つは、個人の力と同時にですね、授業で発揮する力と同時に、集団に対してどれだけ貢献できたか?ということも、実はこれからは考えていかなければいけないことだろうと思います。
先程から「自己啓発、とりわけ集団啓発が大事な時代に入ってくる。1人の力ではカバーしきれない分野が出て来る。」ということを繰り返し申し上げてきました。変革期の人達の能力開発を調べてもらうと、みんなそういうところがあると思うんですが、この点から加えるとしたらですね、日本の企業が物もない、資源もない、土地も狭い日本の企業が何とか頑張って来れたのは、先ほどの講演の中にもありましたが、「知の集積が組織に対してされている。」ということです。転勤をしてもですね、全て我々は組織に対して集積してきますから、その組織に対して新しい人が来たら、それを積み上げていくということができるわけですね。ですから、日本のこういう非常に国際競争の中では不利な条件下で、勿論、先生方が育てていただいた人材が良く育ってるということもありますが、その条件下で、本当に難しい条件下で日本がここまで何とかでてきたのは、知の集積があって、知の集積があるからそれに積み重ねていけるということが、日本ではできたからだと思います。
それからもう1つは、工場の津々浦々にいたるまで小集団活動というのが徹底します。「職場をどういうふうに改善していくか?」というのを7〜8人のグループで積み上げていって、そこから出て来たものでドンドン会社が変わっていく。工場が変わっていく、事務のシステムが変わっていくというのが現状でございます。その知恵比べ、総力を挙げての知恵比べが、日本の企業をここまで押し上げて来たと思います。
従って、そういう集団の力を持ち上げていく。学校教師としての集団の力を持ち上げていくということも、大きな評価のポイントとして、私はみんなのために大事にすべきものであろうと思います。
以上でございます。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
よろしくお願いいたします。
関田委員長: それでは、「評価システム」っていうとなかなか難しくなります。私達保護者が普段関われない部分だと思っております。まあ、勤務の評定とか、色んな人事の評価について、教育委員会が管理職については行っているとか、各学校の先生方に関しては管理職の先生が行っているとかって、そういうあたりのところは、保護者として感じてるところなんですけども、やはり、これを本当に評価していくっていう事にあたりましては、教育委員会の方々にとっては、やはりその学校で管理職の先生達がどういった仕事をしてるか?そういう所はきちんと現場に訪れて、色んな観察をしていただきたいと思います。
私達、PTAで色んな活動をしている中では、学校に関わってますので色んな部分が見えてきます。やはり、そういった声っていうのも、また地域なんかの声なんかも、委員会とかに声が届いていくっていう現状があると思いますけども、実際にその声をただ聞くとか、聞いたことだけを信じるというのではなくて、実際に現場に関わってみて、その先生方がどういう仕事をしているか?どういう学校経営をやっているか?ということを、まず把握してからそういう評価の対象にしていただきたいと思います。
また、学校の管理職の先生方においては、やはり1人1人の先生方の個性とか、やっぱりやる気の部分を見ていただきたい。人それぞれ、やはり全てができる人でもありません。やはり完璧な人はいないと思います。その人それぞれがやれる範囲でのやり方について評価をしていただき、やはり先生方の力を伸ばしていただきたいと思います。人はそうですけども、その時に確実に力を出せないという方もいると思います。長い目で見て、その1年間の中での色んな部分での関わりのことを全て評価して、そういう評定につけていって欲しいと思います。
あと、今、実際にはやられてるかどうか分かりませんけども、やはり今後としましては、子供達に先生方の授業内容とか、色んなやってきた様子などを聞くっていう声、評価システムというのもありますけども、だから、本当にそういった意味で、子供達から先生方に対する取り組み方を聞く、また、やはり保護者なんかが色んな意味で学校に関わることがありますので、そういった意味で、また保護者からもそういった声を聞くっていうことなんかは、やっていただきたいと思います。
実際にその声が聞こえなくても、やはり意見として聞いていただくということをしていただきたいということと、あと、保護者の中にはやはり色んな保護者がいます。ただ人の話だけを聞いて、それを悪くとって伝えるということもあります。そうじゃなくて、やっぱり実際にどういうことが行われているか?っていうことは、きちんと調べた上での評価っていう所に結びつけていって欲しいと思います。
大体、まあ、そういうところですけども、やはり、先生方が働く意欲を出すためには、学校の中で、やはり自分がやりたいことっていうことを自信を持ってやれるということ、あとは周りの先生方との競争じゃなくて良い、調和をとっていただきたい。よく、学年単位でとか、学級単位での先生方の学年の和というのは聞くんですけども、学校自体の縦の繋がりっていうのが薄いっていうことを感じる時がありますけども、やはり学校の中で先生方が上手く調和をとって、お互いに評価を、良い評価をしていけるような環境ができたらっていうことを思います。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
三谷さん、お願いします。
三谷校長: 評価の方に移ったわけですが、評価をしていくためには、しっかりした教員の資質を高めるということは大事なわけなんですが、先ほど前半でお話しをすれば良かったんですけれども、ちょっと言い抜かってることもありますので、お話しをさせていただきたいと思います。
まあ、教員というのは、学校に圧倒的に長くいるわけですので、研修をしていくということから考えると、やっぱり校内で研修をする、力量を高めていくということが基本的なスタンスではないかと思います。
従いまして、それぞれの職場で行われている研修活動というのを、大切にしなければいけませんし、「その中で教員が育つんだ。」と、そういう私は認識を持っております。
ただ、先程からも出て来ておりますけれども、多忙ということが言われています。確かに、日々多忙感にさいなまれることもあるわけですけれども、多忙であるだけに、やっぱり教員は校内研修をすると共に、それぞれの力量に応じた研修をしっかりするということが大事であろうと思います。それは、ライフステージに応じたと言いましょうか、まあ、高知県の場合、もう初任者から5年次、10年次、15年次というふうに研修をやっておりますので、大丈夫であろうと思うんですけれども、先ほど田中先生の方からも話がありましたけれども、それぞれの力量に応じた研修をきちんとしていくということが、これからは大事ではないかな?というふうに感じます。
まあ、平たく言いましたら、それぞれの経験年数に応じて、身につけておかなければならない部分をしっかり体系づけた研修で身につけさせる。そういうことも大事ではないでしょうか。力量にマッチした研修を、明確にして研修をすることが、それぞれの先生の力を高めていくことに繋がっていくと思います。
まあ、沢山の学校があるわけですけれども、あってはならないんですけれども、学校によっては格差が生まれたりとか、地域によっての教育に対する熱の高い低いもあるかもしれません。場合によっては、個人の力量、あるいはキャリアアップは本人任せで、十分研修ができてなかったりとか、曖昧であったりとかいうようなことも起こりうるわけですので、そうした義務研というものは大事であろうというふうに考えます。
そんなことを頭に置いて、評価ということになろうかと思いますが、教育現場においてのその評価というのは非常に難しいと考えます。私自身の発想が非常に狭苦しいということもあろうかと思いますけれども、今日の前段の講演を聴いておりまして、「なるほどな。」というふうに頷く所も沢山あったわけですけれども、一方では、「私企業のように生産高とか売上高、品質の向上を目指した業績を上げたからといって評価すると同じように、教育現場に当てはまるのかな?」と、そんなことも考えたりもします。
教員1人が授業をして、生徒がその授業を受けて、その状況を見て評価をするとした時に、教員のその授業そのものに対する受け取り方が、子供によって個々異なってくるわけですので、評価をする場合にどの子供の立場に立って評価をするかによっても、また異なってくると思います。そういった意味で、難しさを感じるわけです。
あるいは、高知県の場合には小規模校も多いわけですが、学校の規模とか地域性、それぞれの学校の職員構成、そういったものを考えた時に、全ての職場で適材適所の人材が配置されてるか?というと、必ずしもそうではないと思います。校務分掌、分担をしても、なかなか、何と言いましょうか、自信のない人にも持ってもらわなければいけない。そうすると、まあ苦痛を感じながらその職務を遂行するということにもなりますので、そうしたその職場の実態を考えて、公正、公平な評価をしていくというのは、非常に難しいと考えます。
ただ、そうかといって、教員の職務についての評価はできない、あるいはいらないということになるか?と言うと、そうでもないと思います。学校の教員の中には、非常に熱心で優れた実績を残しておられる方もおりますし、そうでない者もおるというのは現状ではないかと思います。こうした現場の実態を見た時に、その現状に目をつぶって、「評価というのは難しいから。」というだけで、頑張っている先生と、職務を十分遂行しているとは言い難い先生を同じにする、まあ同率にして良いのかな?と、こんなことも考えます。やっぱり疑問が残る点です。
そこで、大切なのは「何を評価するのか?」「どういうふうに評価していくのか?」という評価の中身、仕方というものをしっかり工夫する必要があると思います。具体的に「これがベスト」ということは、私自身は言いにくいんですけれども、まあ、少なくとも教育に馴染む評価の方法を、是非、工夫をして、実現をして欲しいというふうに考えます。
まあ、現実に昔から学校での評価というのは、無いことはないわけです。あらゆる行事であったり、教育活動の中で、学校そのものがPlan、Do、Seeを実践しておりますので、その中で個人の評価も行っておりますし、まあ30年代からということですけれども、勤務評定として定着している実績もあります。ただ、マンネリ化をして疲弊をしきっているという要素もありますので、行政改革という大きな波を乗りきっていく上からも、評価制度が現在取り上げられているのだと思いますので、一方的に行政側が評価について押しつけていくということではなくて、それぞれの職場で、それぞれが信頼関係を保って、協力関係を構築する中で、お互いが納得できるような評価の方法、そんなものを是非作っていって欲しいというふうに考えます。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。それでは、田中さんからお願いいたします。
田中専門官: まず、学校のみならず、行政全体についてもそうでございますが、今、いわゆる「評価と公開」ということが色んな所で言われておりまして、いわば「評価と公開」というような時代になっているのではないかな?と。
国におきましても、行政評価法ですとか、情報公開法、そういったものができまして、学校教育におきましても、各県でそういった取り組みが進められまして、そういったことも踏まえまして、今年の4月からは法令にも「学校の自己評価」あるいは「学校の情報の積極的な提供」そういったことが法令にも位置づけをされたところでございます。
そういった組織としての評価、あるいは公開、そういったものが進められる中で、組織の一員に対する評価というものも、今後ドンドン求められてくるだろうと。組織のみならず、組織の構成員に対する評価ということも、今後は求められるというような流れにあると言えると思います。
一番最近では、昨年12月に公務員制度改革大綱というものが、これは総理大臣の下に行政改革推進本部というものが設置されまして、その中で「公務員制度をどう変えていくか?」という、そういったことを検討して、閣議決定をしたというものでございますが、その中では、これは教員の方だけのみならず、地方公務員、国家公務員、公務員全体について平成18年度から現行の勤務評定制度に替えて、新たな評価制度、そういったものを実施し移行しようということが、閣議決定されてます。ですから、新しい評価というものが、公務員全体に今求められているということが、最近の動きとしてはあるということをまず紹介しておきたいと思います。
それで、まあ、そういった新しい評価というものが求められるという流れが、公務員全体についてあるわけですが、これまでの勤務評定制度、そういったものと、新しく求められるような評価、一部の知事部局等におきましては、新たな評価制度を論じあってる所もございますが、そういったものを検討いたしますと、これまでの勤務評定というものは、評価すること自体、そこに意義があったと申しますか、先ほどの山代先生のお話の中にもありましたが、「評価で終わってしまった。評価すること自体に意義があって、評価で終わっている。」というような所があったと思います。
まあ、もっと具体的に申しますれば、評価にあたりましては、校長先生のみが行う絶対評価となっておりまして、教頭等も関与いたしませんし、また本人の関与というものがないと。すなわち、本人の関与というものが評価の過程にないために、人材育成に繋がりにくいと、そういった問題点があったのではないかな?と。
あるいは、相対評価が無く、あるいは評価のみで完結してしまっているために、職員に対するインセンティブと言いますか、そういった意欲、そういったものに繋げるような仕組みがとられてこなかったという所があるのではないかな?と。
すなわち、従来の勤務評定と申しますのは、当該自治体の、県全体の教育効果向上のために「評価する」ということを目的としていたというような面が多々あるのではないかな?と。
で、今後は、すなわち、そういった評価について個々の教員、あるいは個々の学校の改善に繋げていくという面、そういった面が不十分な面があったのではないかな?と。
実は、これは公務員制度改革の中でも、そういったことが指摘されておりまして、そういった、全体についての行政のサービスの向上のために評価を行うということではなくて、評価をして、それをどうするか?と。それを、ともすれば抽象的な目標ではなくて、個々の学校、あるいは個々の教員、そういったものの改善、あるいは資質向上に繋げていく。そういったものが求められてくるのではないかな?と思っております。
それから、特に公務員制度改革の考え方の中では、職員の能力というものを最大限に発揮するためには、そういった能力開発、あるいは、そのインセンティブのようなものを与えるというようなことが必要ではないか?というような方向が示されておりまして、特に、その新たな評価、あるいは評価の今後の在り方として、ここ数年、従来ともすれば指導力不足教員の問題ですとか、あるいは国民会議等で、教員免許更新性が提言された趣旨ですとか、いわゆる指導力不足教員といいますか、そういったものがかなり新聞報道等々においても、色々挙げられてきたわけですが、実は、そういった方というのはごく一部なわけでございまして、全体の方は非常に頑張っていらっしゃると。
で、そういった中で、これまでの人事管理と言いますか、そういったものというのは、努力を積み重ねて顕著な効果を上げている方、そういった頑張っている方に対する、そういった報われるような仕組み、そういったものが教員、あるいは公務員全体として不十分ではなかったのかな?という面があると思います。そういった面についても、そういった仕組み、そういったものも組み込んでいけるような仕組み、そういったものが必要になってくるのではないかな?と思います。
以上でございます。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
山代講師から、何かございますか?
山代校長: あのー、高知県の評価がどういうふうに進んでいくのか?というのを、全然存じ上げないことを前提にですね、お話しをさせていただきます。
評価というのは、大体、人というのは、人の評価というのは日常的に色々やっております。勿論、学校では生徒の評価というのをもう日常的にやっておりますし、「あの人はこうだ。」とか、「この人はこうだ。」とかという評価をですね、まあ日常的にやってるんですけど、「自分が評価されるのは嫌だ。」というのが、これはまあ人の常なんですね。で、「できれば避けたい。評価というものを。」というのが、評価だろうというふうに思うんです。
まあ、大事なのは、「評価というのは何のためにするのか?」というのを、ずっと出ておりますけど、やっぱり、改善だとか、レベルアップの道具であるという位置づけをキッチリしていく必要があるだろうというふうに思うんです。
で、本校は、色んな評価をやっております。で、去年、私が就任しまして、まず組織評価をやりました。40項目に渡ってですね、学校組織が実際にどうなんだ?と、機能してるのか?と、あるいは連携したり、色んな調整したり、色んなふうに上手くいってるのか?という40項目のですね、評価をいたしました。
実は、先生方に言いましたのは、「どんなに低い点でも恐れない。全然怖くはない。だから出しなさい。正直に書きなさい。」と言って、実は評価をしました。
そうすると「学校で組織が上手くいってる」というふうに答えた先生、あるいは「全然上手くいってない」というふうに答えた先生、やっぱり色々でした。で、平均点をとればですね、平均点ですけど何にも意味がないんですけど、私は低い点をつけたその意見をですね、重要視して改善していくんだ。これからがスタートなんだということで、実は学校組織評価をまずやりました。
で、もう1つは、今「学校評価」生徒や保護者、あるいは中学校にですね、学校の評価をしてもらってます。実はこれが新聞に出ました。2点ほど出ました。「先生の熱意、生徒に届かず」と、大きな見出しでですね、「誠之館」といって、実は出ました。で、私も朝新聞を見ましてビックリしましてですね、「先生の熱意、生徒に届かず 誠之館」で、中身はですね、実は「授業の工夫・改善を一生懸命やってますか?」と、「やってる」という項目に対して、先生方は「一生懸命やっている」7割以上がですね、先生方は「一生懸命やってる」「十分やってる」、生徒は、40%ぐらいしか認めてくれてない。その乖離があったというのがあったんです。
それからもう1点は、「生徒の悩みや相談ごとに気軽に応じてくれてる」という部分で、先生方は「やっている」と、70%以上は「やってる」、で、生徒は40%ぐらいしか認めてくれてない。そこに「先生は一生懸命やってると言うけど、生徒には届いてない。」という見出しで、実は広島の一番発行部数の多い新聞社にですね、出たわけでございます。
まあ、その他の項目は、大方高い評価だったんですけど、それがありまして、じゃあどうなったかと言いますと、先生方は非常にショックを受けました。「我々は一生懸命やってるのに、それが届いてない。」ということに対して、まあ、ショックを受けまして、「これじゃあいけない。」ということで、今、今年度に入りまして、授業評価を一生懸命やってる。学期に1回は授業の評価を生徒に。
しかし、生徒に評価してもらう替わりには生徒にも聞こう。「君達は、家庭で家庭学習にどのぐらい時間をさいてるんだ?予習復習はどうしてるんだ?」ということもあわせて聞こうということで、そういうことで、「そういうことをちゃんとやって授業が分からないなら、分からないと言ってくれ。」というふうな、そんな色んな知恵が出て来ましてですね、今、学校の評価をそういうふうに進めております。
で、もう1つの、今度は、その人事に関する評価の問題なんですが、先程申しましたように、「学校は目標を達成するチームなんだ。学校目標をみんなでやるんだ。それを分担するんだ。」という基本的な考えですね。そして、そうすると1人1人がやっぱり目標を持っていく。そうすると、それを達成できたかどうかは自己評価をしてみなきゃいかん。あるいは、他者の評価も仰がなきゃいけない。で、そこに当然食い違いがあるはずです。自己評価と他者評価は当然食い違いがあるわけですから、話し合いというのが当然必要になってくるわけですね。
そういうことをキッチリやっていこうじゃないかということを、そして評価と育成が連動してなきゃいけないと。評価のしっぱなしじゃいけない。必ず「育成」という、色んな施策がですね、折り込まれておって、そしてやっぱり最終的には道具ですから、レベルアップをしていく道具なんだと。そして、目標を達成するんだという、そういうことをですね、やっていこうと。それを昨日実は話をしたわけでございます。
やってもやらなくても同じだという組織は、腐っていきます。やっぱり、やったらやっただけのことはあるというのが、やはり組織の在り方だろうというふうに、私は思います。
以上です。
俵 弁護士: ありがとうございました。自己評価、他者評価というようなことがよく最近は話題になるわけですが、山代さんの所では、そこまでおやりになっていらっしゃると、感心をしたわけでございます。
私の教えに行ってます大学でもですね、教えることの参考にするということで、そういうことをやっておりまして、「授業の準備を十分にしてきているか?」とか、「話の仕方はどうだ?」とか、「その視聴覚の機械をちゃんと使ってるか?」とか、色々ありましてですね、その中にはですね、「この講義はあなたの受けている講義の中のベスト3に入りますか?」というような、純然たる評価もあるわけでございますが、まあ、教育委員会の方では、「その評価システムを作らなければいけない。」ということで、具体的にどういうふうにするか?ということに色々と悩んでおられると思います。
三谷パネリストからはですね、「教育現場の評価は非常に難しい。」というお話しがありましたが、そういう難しいものに対してどういうような評価システムを作るか?という、これまた難しい問題があると思います。
それから、「校長先生が主たる評価者となる。なれば、その校長先生の評価の仕方についての研修もですね、これはやはりしっかりやらなければいけないんじゃないか。」というふうに思います。
それから、今の山代講師のお話にありました、この生徒からの評価ということになりますと、当然に「生徒が教師をちゃんと評価できるのか?」というような、そういうような問題も色々あるかと思いますが、企業におけるシステムもですね、今日の講義の中でありましたけれども、経営体というような考えからいけば、企業も、それから学校も、非常に共通点が沢山あるというようなお話しをいただきましたので、企業の方でそういうことを専門的に勉強されておりました桐村さんから、何かもう少しお話しをいただけませんでしょうか?
桐村委員長: 言うまでもなく、人が人を評価するということは、大変難しいことです。しかし、評価の要素の中には、本人の改善とあわせて、「どういう方向に向けて仕事をやってくれるとみんなのためにとって良いのか?」ということも、当然入ってくるわけでありまして、言ってみれば「for the team(フォア・ザ・チーム)」という考え方が評価の基準になります。
幾つかの試みを話をしてみます。私が経験した、経験したって、自分でやってきたことの、自分というか、私が所属した会社でやってきたことですが、入社2年目まではですね、私の所では評価を、差をつけることをいたしません。で、その間に、上司はですね、2年目まではまだほとんど1人立ちできませんから、給料を払いながら教えていくわけですが、「育成計画書」というのを上司が出します。そして、その育成計画書を基にですね、人事とか教育のスタッフが半年毎に、まあ1万人ほどの会社でしたから、120、30入るんですが、半年毎に面接をします。そして、彼の能力開発計画がどのぐらいいってるのか?評価点にするとどのぐらいなのか?ということを2年間やります。3年目からは一本立ちします。
そうすると、今度は「職場指導面接」という面接が入ってきます。上司と部下がですね、まあ4月のはじめに1時間ぐらい、場合によっては2時間になると思いますが、「自分は、こういう目標を立てて今年はやっていきたい。」ということを立てます。そして、「それに対して自分はこういう能力が足りないから、改善していきたい。ついては、上司もその点を意識して指導をしてもらいたい。人事教育部門は何か研修のチャンスがあったら教えてもらいたい。」というようなことをやります。
で、1年目になりますと、「自分はこういう目標をやりたい。」と言ったのに対してですね、どういうふうな達成状況であったか?ということを自己評価して出すようになります。そしてそれを基に上司とまた話し合いが行われます。そして、昨年立てた計画については、「ここまでしか進まなかったね、だから、5段階評価でいくと今年は3だね。」とか、「2だね。」とかですね、4つも5つも項目がありますから、まあ3〜5項目を立てて、それに向かって自分の仕事ですね、仕事の、あの、読書録を上げるとかそういうんじゃないですよ、仕事の目標を立ててますから、それに上げて改善点で評価が来ます。自ずから、そこで話し合いますから、どのぐらいの評価になるっていうのは自分でも見当がつきます。場合によってはフィードバックされることもあります。
それから、2番目ではですね、これは純粋に教育の場なんですが、もう、これも20年ぐらいやってる研修なんですが、そして、産業界ではもう珍しくなくて、ほとんどの会社、大手の会社は取り入れてると思いますが、こちらでも「10年目の研修」っていうのがありますが、例えば、10年目の人を出してきてですね、50項目ぐらいあるんですが、「あなたは自分の同僚や部下が困ってる時に、仕事上で行き詰まってる時に、色々参考になる資料を見せたり、アドバイスしてますか?」、それから「あなたは上司と意見が違う時に、率直にものを言ってますか?」、「あなたは、場の中で、1つの所属する、課なら課の中で、みんなが自由に発言できるように場作りに努力していますか?」というような項目が50ぐらいあるんですね。そして、本人がつけると同時にですね、上司とか、直属の課長とか、課長補佐とかですね、隣の課長も含めるんです。3名ぐらいの上司筋に同じ項目で「あなたは」っていう所を「彼は」に変えるんですね。「彼は」に変える。そして、同僚とか、もっと若い人、まあ10年目の先生ですから、部下とかを含めて、今度は5名ですね。5名。同じもので今度はやっぱり「彼は」ということで評価するわけです。
そうするとですね、こっちから5・4・3・2・1と並んで考えて下さい。上司はですね、概ね、私も長い間やりましたが、上司は5と4の間をつけます。やっぱり思いきった点をつけるのが怖いということもあるし、自分の部下がそんなにヘゴだと思ってないから、本当はどう思ってるか知りませんが、5と4の間をつけます。本人は、さすがにあんまり良い点をつけられないもんだから、3と4の間をつけますね。同僚と部下は、驚くべきことにほとんどの人が3以下をつけます。そしてそれが平均点で本人にフィードバックされます。研修の場ですね、3泊4日。
そして、「自分はこういう点は良いけど、こういう点が問題あることが分かった。」ということで、最初の日はちょっと頭に来てますけども、2日目ぐらいからそれを基に、自分の改善計画を立てて、職場に帰って、そして「みんなにつけてもらったら自分はこういう点が問題があるということが分かったので、これからこういうふうにやっていくからよろしく頼む。」というアクションプランを発表して、次の年にそれをフォローするというやり方です。
これは、色んな研修団体が持っているやり方で、ほとんど多くの会社ですね、今日の講師の所もやられていると思いますが、色々な所でやられています。これが2つ目の試みです。
それから、今、司会の先生からも話がありましたが、私も大学で教えてますけども、大学は、ほとんどの大学が学生評価をもう既に導入しました。「この先生の話は、君の将来にとって役に立つのか?」とかですね、「分かり易く説明しているか?」とかいうことが出て来ます。そして、それは学内では公表されますし、学外に公表される所も増えてきました。学内では印刷物になって回っていきますから、その不人気の先生の所にはいかなくなりますね。「教え方が下手だ」とか、「役に立たないことをやってる」とか、そういうことになります。まあ、不人気の先生で、生徒が集まらなくてもクビにならない所が大学のまた面白いところかもしれませんが、そういうことが行われるようになりました。
そういうことからですね、色んな所で色々工夫をされてるんですが、試行錯誤はやっぱり繰り返されるということですよね。絶対的にこれなら良いっていうことはないんで、「どういうことだったらみんなが納得して元気が出るのか?」「自己改善計画を進めていけるのか?」という所が問題なわけですから、放ったらかされてですね、何にも言われなくて、それで影で「あいつはダメだなあ。努力もしないし、能力も、大体、教師不適格じゃないの?」ってボソボソ言われるよりは、言われて改善していく方がはるかに、僕は人間としても良いんじゃないかと思います。
大体、そのサンプルを今申し上げましたが、それからさっき組合の方がですね、産業界は、別にこだわってるわけじゃないんですが、この間もそういう発言をされたんでこだわってるわけじゃないんですが、「産業界が失敗して撤退した。」と言われたんですが、産業界って一体なんでしょうか?サービス業もあれば、銀行業もあれば、生産会社もある。「産業界」というふうな曖昧な言葉を使って表現をされることは、お互いに議論をする場では慎まなきゃいけないですね。1つずつきちんとして話をしないと、それは議論にならないです。
あの「多くの人が・・」とかですね、「みんながそう言ってる。」という議論と同じになりますから、それは止めたいと思います。そして、産業界が、色んな産業を集めても良いと思いますが、産業界が成果主義から撤退したというデータが、こう右肩下がりにですよ、採用してる企業が減ってれば別ですけど、そういうデータはどこにも私はないと思います。徐々にみんな、恐る恐る「どうやってみたら一番効果が上がるかな?」という試行錯誤をやります。そして、成果主義っていうのは、ものすごい幅があるんですよ、今。数%しか成果主義を入れてない所もあれば、半分ぐらい入れる所もあるし、それから、若い人に対してと、管理職に対しては違いますし、ものすごく幅があります。
前回、富士通が撤退したと言われてましたが、申し上げますと、管理職の仕事について、成果主義が入った時は、あれは管理職の成果主義ですよ、管理職の成果主義が入った時は、管理職は沢山仕事をやらなきゃいけませんが、大きな仕事の1つが「業務課題の達成」と、「部下の育成」の2つが突出して大きなテーマなんです。そして、成果主義にはしりすぎた結果、業務課題の達成にはかなりの成果をあげたけども、部下の育成が疎かになった。それが富士通がウエイトをチェンジした理由ですよ。成果主義そのものを改めたわけでも何でもないから、そういうことはきちんと見ながら言わないと、週刊誌とか、急いで書いた新聞の記事だけ見てね、「こうだ。こうだ。」っていう、そういう、先生達もみんなインテリなんですから、正確にものを受け取るということをやろうではないですか。そういう議論をしないと、議論にならないということを言いたいと私は思います。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。企業の例を色々とお話しいただきました。だいぶ時間が経過いたしましたので、ここでもう1度会場のみなさんからご意見をいただきたいと思います。本日の予定は、4時45分ぐらいを予定しておりますので、それまでの間の時間で、ご意見があればご意見をたまわりたいと思います。
挙手いただきますと、マイクをお持ちいたしますので、挙手をお願いいたします。
(発言を待つ)
会場発言者4(田中さん): 西高校のPTAの役員をしております田中と申します。
午後の討論をお聞きしますと、なぜか、こう、人事考課制度の研修会みたいな雰囲気になりまして、お話しの中に子供は、子供の学力とか、子供の問題がスッポリ抜け落ちてる感じがして、非常に残念な思いがいたしました。
で、桐村さんですか、お話もお聞きしましたけれども、まあ、お立場上ね、おっしゃることは分からないではないんですが、教育シンポですので、できればやはり子供の問題とかいうものもお話しを少し交えていただけたら良かったのではないかな?というふうな気もいたします。
で、1つ私が思うことですけれども、文科省の専門官の田中さんがおっしゃいましたことに関連をしますが、処遇についてお話しをされたように思うんですよ。で、「一生懸命やってる者に対しては処遇が必要じゃないかな?」と、で、人事考課ですから、当然、考課者と非考課者が出るわけでして、まあ、一般的に見れば管理職が考課者であって、現場の先生方が非考課者になると思います。で、処遇ですから、Sとか、Aとか、Bとか、Cとか、Dとか、要するに職の資格級制度ですかね、そういうふうな感じのものを賃金に張りつけるとかいうふうなことも検討されるかも分かりません。
しかし、そういう作業を実際、学校の現場の中で、管理職の先生方が人事考課をしなくてはいけないということは、まあ、校長会の三谷先生もおっしゃっておられるように、非常に大変な作業になってくるんだろうということを、保護者としても思いますし、そうなりますと、まあ、言葉が適切でないかも分かりませんが、俗に言う「ヒラメ教師」子供に向き合う目が、子供から少しずつ離れて、そうではない、管理職の方の先生に目が向いてしまいがちになるのではないかな?ということを、保護者は一番心配をしておるところだろうと思います。
まさに、そういう先生方は、保護者、PTAから見ると「指導を要する先生」になるわけでして、そういうことにならないような保護者と学校現場と教育行政が、それぞれが納得しあうようなですね、丁寧な人事評価制度、人事考課の制度の仕組みづくりを、是非、お願いしたいなというふうに思います。
少し長くなりますけれども、50数年前ですか、高知県の教育界に非常に不幸な歴史がございました。私はその時はまだ生まれてないわけですけれども、そういう非常に不幸な歴史を乗り越えていこうということで、関田さんがおっしゃった「土佐の教育改革」第2期目に入っておりますけれども、今進んでおります。で、この地域や家庭や学校現場も入った、教育行政だけではない、みんなが関わる土佐の教育改革を進めようという時にですね、そういう、まあ、桐村さんからお叱りを受けるかも分かりませんが、民間の経営の手法をストレートに、ストレートじゃないかもしれませんけど、持ち込むような評価制度というのが教育の現場に入ることは、保護者としては非常に心配な面がございます。
そのことをお伝えしたいと思いまして、発言をさせていただきました。以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。それでは、他にございますか?
どなたか・・・。
(発言を待つ)
はい、どうぞ。
会場発言者5(矢野川さん): 私は、在籍は公立の中学校の教師ですが、今はちょっと職場をお休みして、教職員組合で役員をやっております矢野川と申します。
後半になって、「人事評価」という点で話題が移ってますけども、どうしても人材育成という面とは切り離せないようですので、そこも含めて意見というか、今日みなさんがおっしゃったことの確認みたいなことになるかもしれませんが、その中で私が印象に残ったことを喋らせてもらいたいと思います。
1つには、ずっと何人かの前の方、発言者の方が言われたことは、「集団の中で人間は育つ」ということですよね。これは本当に間違いないことだと思います。これはもう昔からそうで、現在も変わってないと思うんですよね。で、「世の中はドンドンドンドン変わってきた。」っていうふうに言いますけども、人間自身は、そんなに世の中の社会の変化ほど変わってないというふうに思います。これは子供もそうだと思うんですよね。子供も誉められたら嬉しいし、できなかったことが達成できたらすごく喜ぶし、そういった点では、「本当に最近の子供は変わった、変わった、扱いにくい。」なんていうふうな声も聞きますけど、本当に素朴で単純なというか、そういった所、「本当に昔からそうだったんだろうな。」ということが、僕も10年ぐらい教職を経験して思うことです。
だから、ずっと言われてきたように、教師も職業人として育っていくためには、やっぱり集団の中で、色んな意見に揉まれながら育っていくということ、これを是非、外してはならないことだと思うんですね。
ただ、社会の新しい時代というのをどういうふうにとるかですが、その今の社会がそういうことがなかなかできにくい状況になっているということが言えると思うんですね。で、私も教職に就いた頃は、ずいぶん職員室の中で子供のこと、本当に1人1人についてじっくりと校内研の中で話ができた時間がありました。それがやっぱり段々段々少なくなっています。
そういった中で、僕は中学校ですので、学級担任がおり、教科担任がおり、副担任もおる、その中で、色んな立場を、色んな、まあ、極端な言い方をしたら色んな役者を演じてるわけですよね、それぞれの教師1人1人が同じ職場の中で。そういった役割分担が、お互いの確認ができないまま、何となく自分では「あ、あの先生はこういうことを、自分にはできないことをやってくれてるな。じゃあ、私はこういうことをやろう。」ということが、自分の中で自己満足といいますか、そういった範囲では納得してるんですけども、それが全体の組織の中での核になれてない。そういった所で、妙に不安がある。
それから、この時代に新しく教職のこの世界に入ってこられた若い方なんかは、そういった情報交換をする場が少ないですので、本当に、「周りがどんなふうに考えながら学校の中で仕事を進めていってるのか?」、それから「自分自身もどうしたらいいのか?」、それから、先輩の者が新しく入ってきた若い先生がどういうふうに考えているかも分からない。お互いが理解できないまま進んで行っている。そういった課題があると思います。まあ、そこら辺を、是非、職場の中で管理職の先生方が中心になって、初任の先生方とか、そういったふうなものを作り出して、人材育成をしていってもらいたいということです。
評価の面で言いましたら、そうやって教師は1人1人目の前にいる子供を、「この子を今の状態からこういう所まで育ててあげたい。成長させたい。」と思って一生懸命やってます。だから、誰にも言われもしないのに持ち帰り仕事を家に持って帰って、丸つけをしたり、教材研究をしたり、身銭を切って民間の研修会に参加したりしています。
で、そういった方が、その評価を受ける時にどんな評価を受けたらいいか。その頑張りが全体の中でより良い方向へ動いていくにはどうしたら良いか?ということですが、関田さんがおっしゃいましたけど、「校長先生は職員のやる気を見て欲しい。」ということを言ってました。やっぱりこれは基本にして見てもらいたいところです。で、その、やっぱりやる気のある先生は、評価されたからと言って、それを、まあ、評価されんでも頑張っているわけですよね。逆に、あまりやる気のない先生は、評価されてたらどういうふうに頑張るか?というところです。
で、「評価が目的になってはいけない。」ということを山代先生がおっしゃってましたけど、これがもし仮にですね、賃金なんかがリンクして、評価されたらお金を貰えるということになってきますと、お金というものもお金の持つ価値というのがあるわけですよね、教育とはまた別に。それが目的になって、評価をもらうことがそれでもう1つの目的で終わってしまう。達成で終わってしまうというようなことも、やっぱり自分も恐れるところです。
だから、その評価されたことが、やる気としてどういう方向に、全体としてプラスに、望ましい方向のエネルギーになっていくか?ということを、やっぱりしっかり考えてやってもらいたいと思います。
で、そのためには、やっぱり評価者ができるだけ、全体の集団の中で回れるのと同じように、評価者ができるだけ数が多い方が良いと思いますし、立場も色んな方向から見てもらったら良いと思いますので、是非そこら辺を工夫して作っていってもらいたいと思います。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。後もうお一方ぐらい時間があると思いますが、どなたか・・・?
はい、お願いいたします。
会場発言者6(横田さん): 江陽小学校の教頭、横田と申します。小学校の立場での話ですので、全体、ちょっと関わりや議論にならんところがあるかもしれませんが、失礼します。
まず、自分、教頭職として、高知市の教頭会でやはり課題になってる点はですね、「学校長の補佐役としてのパートナーシップと、教職員に対するリーダーシップをですね、日々どのような形で関わっているのか?」という点について、やはり、今、桐村さんからお話がありましたように、やはり「自己評価」っていうのが、やはり一番基本だと考えました。
やはり、「自分が気づいて課題をしっかり持たない限りは人は変われない。」ということで、「教頭関わり評価表」というのを本年度作成をしまして、「児童・生徒への課題を把握してますか?」とか、「各学年、各学級の担任の先生への声掛け、連携をしていますか?」というふうな項目、A・B・C・D・E・Fまで作りまして、日々の、自分達のですね、教頭としての関わりを自己点検をするということで、まず自分で自己評価をしました。
ただ、山代先生からもご指摘があったように、自己評価とですね、自分がやった評価、教職員がやった評価と、児童・保護者がやった評価というのは、ずいぶん乖離が生まれてまいります。ですから、やはり自己満足に終わってしまう可能性がそこではありますので、今後、やはり校長からですね、その点検項目についてやはり評価をいただく。そして、教職員からですね、教頭として私がどのような形で関わっているのか?そこが、良いところもあれば、やはりマイナス点もあろうかと思いますので、客観的に評価をしてもらうと。それを基に、やはり日々の仕事の関わりというのを観点を持って、関わりを続けていきたいというふうに考えております。
これは、今の議論とちょっと別かもしれませんが、やはり、自分でですね、「気づいて課題を持っていくためにはどうすれば良いのか?」という点。やはり、教師というのはどうしても、他の方に仕事を見てもらうことが非常に少ない業種になると思いますので、そこら辺りの評価を返してもらうということが、非常に少ないところがあろうかと思います。保護者も子供もなかなか教師には言いにくいというところがありますから、そこの垣根をどう越えてですね、気軽に先生に対して「こうしたら、ああしたら。」というような関係を作っていけるのか?ということを含めてお話しをさせていただきました。
もう1点は、私が講師で教職に就いた時には、20代、30代、40代、50代の先生方が沢山いました。新聞にも、まあ平均年齢の高年化が出ておりましたが、校長先生は55歳以上の方で、校長室にドンとおっていただいてですね、全体を見てくれると。そこの中で、講師になった時に授業を気軽に「見てきいや。見に来いや。」とかですね、色んな形で、そのミドルリーダー的な方が沢山いて、良い意味のおじさん、おばさん先生がおってですね、気軽に叱ってくれたり、教えて下さるというふうな同僚性、教え、学び合いというふうな関係が学校の中にあったと思うんです。
ところが、やはり、私の課題としまして、30代が少しいて、40代からがほとんどの人間の中でですね、50代までが最初という中で、なかなか切磋琢磨し合える関係というのが、作りづらくなってる。先生方もプロですから、専門性に対しては自信があります。そこの部分でやはり築き上げたものがありますので、なかなか正直にですね、やはりものを言い合える関係というのが、なかなか作りにくい。その点で、やはり私は、山代先生が言われたように、授業を通してですね、授業の子供の姿を通して批判ではなくて、批評し合える関係を作るしかですね、教師は変えれないんではないかな?というふうに感じます。
そのために、やはり授業公開をですね、ドンドンしながら、同僚の方、それから子供、保護者にドンドン見せてですね、やはりそこでご意見をいただきながら授業を変えていくということが基本になると思います。
以上です。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
もう時間がございませんが、もうお一人だけ、はい、どうぞ。
会場発言者7(女性): 言うこと無いですので、結構です。
俵 弁護士: 良いですか?はい。
それじゃあ、桐村さんからお願いします。
桐村委員長: すいません。何か遮ったようでごめんなさい。
先ほど、私に対して「会社のシステムを持ち込むな」という発言があったんですが、今日のテーマはですね、「教職員を育てる人事評価」ということですから、児童を忘れてるわけではなくて、児童がそういう良い先生が育てば良くなるだろう。そのための評価システムはどういうのが考えられるだろうか?ということで、私が経験してきた、自分でやってきたことをですね、僕は人がやったとか何とかっていうことじゃなくて、自分がやってきたことをお話ししたんで、第1の時は「自分で目標を立てて自己評価をやって、上司と話し合いながら改善点を見つけていって、その改善に対して両方で評価してみようね。」ということで、完全にオープンです、これは。密室で行われているわけではありません。
2番目の方は、言う所の「他面評価」です。色んな人に評価してもらうことによって、自分の改善点を見つけていこうということで、両方とも1つのやり方として、私は・・、2番目の方は評価と言っても教育の目的でやってるんですが、そういうことで申し上げてるのであって、3番目のは大学評価で学生が評価することで、これは全てオープンになることで、「こういうやり方で自分の点を見つけて、改善・努力をしていったらいいなあ。」ということで、今やってるという、それで冒頭に申し上げたように試行錯誤しながらやってるわけですが、「今のところこういうやり方がまあまあかなと思ってやってる。」というお話をしたわけで、「これを即、先生方の中に持ち込んだらいいぞ。」ということは、全く言ってませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
あの、他の方はあんまり誤解されてないと思いますけど、そういうつもりで私は断りながら言葉を選んで話したつもりなんで、よろしくお願いします。
俵 弁護士: はい、ありがとうございました。
山代講師の「先生の自己評価、そして生徒からの評価、そこに非常に差があるのでそこのところ話し合いをする。」というお話しがございましたが、大変示唆に富んだお話だったと思います。
それから、三谷さんからですね、現在実施している勤務評定の、これがかなり実績を積んでいるというお話がありましたが、おそらく、現在の勤務評定というのはですね、昭和32、3年頃に、教育長協議会で出した案を基にしてですね、各県で作られているものだろうと思います。で、これもかなりの実績があるわけでありますから、それがどういう点が良いのか?どういう点がいけないのか?という、まあ、再検討もする必要があるだろうと思います。
それから、企業における評価システムについて色々お話がありましたが、企業の場合は、それこそ生存競争の中で生き残っていかなければいけないという、非常に厳しい中での評価でありますので、それぞれの色んな研究・工夫がなされておると思いますので、そういうものも参考にして、県の評価制度を作るのに役立てていただきたいと思うわけであります。
また、会場の皆様方からも、色々とご意見をいただきましたので、こういうことも考えて、まあ、教育委員会の教育改革、その資料として役立てていただきたいと思います。
みなさんのご協力にお礼を申し上げまして、コーディネーターの役を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(拍手)
司会: ありがとうございました。それでは、熱心にご協議いただきました6名のパネラーの皆様がご退席されますので、もう1度拍手でお送り下さい。
(拍手)
会場の皆様もご協力ありがとうございました。
(閉会の挨拶)