高知県は、温暖な気候、緑あふれる山々、清らかな川、そして黒潮流れる太平洋など豊かな自然に恵まれています。私たちは、この素晴らしい自然環境を子どもたちに気づかせ、未来に引き継いでいかなければなりません。
しかしながら、こうした高知県におきましても、過疎化や高齢化が進行し、第一次産業従事者の減少など社会の様々な変化に伴い、森林、農地、里山の荒廃等が進み、生態系のバランスが崩れるなど様々な環境問題が発生しています。
高知県教育委員会では、平成24年2月に「山」と「海」の自然環境を活用して各教科等の理解を促進する「環境学習プログラム」を発行し、県内の小・中学校に配布しました。
今回は、その内容を更に広げ、「山」、「川」、「街」をテーマに、私たちの身近な自然環境に対する理解を深める学習に生かしてもらうために、それぞれのテーマごとに小学校9、中学校9、計18プログラムを作成いたしました。
このプログラムは、関係する教科及び総合的な学習の時間との関連性を示すとともに、1プログラムの学習時間を1校時~2校時とし、学習場所を学校及び学校周辺を基本にしています。また、遠足や宿泊体験学習などと関連づけた学習活動としても活用していただける内容としています。
この学習プログラムを参考に、郷土の自然や人々の生き方を通じて、身近な自然環境に関心をもち、新たな知識と出会う喜びを感じるとともに、高知の次代を担う子どもたちが持続可能な社会の実現に向けて、主体的に行動し、家庭・地域と連携しながら、心豊かに成長することを期待します。
中学校用
10.付加体の観察
内容
- 学年:中学校1年 教科等:理科
- 特に四万十帯の露頭で観察を行う(通常の水平層状でない)ことにより、プレートの運動について理解する。
- 地層のでき方について理解を深めるとともに,地球規模のプレート運動について考えることで,地震との関連について具体的なイメージを持つ。
11.イタドリを食べてみよう
内容
- 学年:中学校2年 教科等:技術・家庭科
- イタドリの採取、下処理・調理を行い、郷土料理についての理解を深める。
- 野草の中には,人間が食用にできるものがあることを知り,それらの適切な調理方法(灰汁抜き等)を知る。併せて郷土の伝統的な食文化について興味・関心を高める。
12.森のダム機能
内容
- 学年:中学校 教科等:社会(地理)
- 森林を含むいくつかの地域の土壌を採取し、同じ分量の土に対し、同量の水を注ぐことで、土壌保水力を比較する。
- 地域の森林植生を学ぶとともに,森林土壌の保水力について体験的に理解し,森林の役割について考察する。
13.シジミ(二枚貝)の観察
内容
- 学年:中学校2年 教科等:理科
- 下流域に生息する二枚貝を採取・観察しながら、水質浄化の様子を観察する。
- 川の生物の多様性について理解するとともに,貝類の水質浄化作用を確かめることで,生態系における貝類の果たす役割や,水辺環境の保護について考えるきっかけとする。
14.川の流れとエネルギー
内容
- 学年:中学校3年 教科等:理科
- 川の流れに10mのロープ付きペットボトルを投入して、10m流れる時間を計測し、運動エネルギーを求める。また、流速の異なる場所で測定し、結果を比較する。水力発電と関連させることで、エネルギーの移り変わりや自然エネルギーについて関心を高める。
- 河川での実験を通して,運動とエネルギーについて理解し,水力発電等の自然環境を利用した再生可能なエネルギーに関心を持つ。
15.川の環境と生き物
内容
- 学年:中学校3年 教科等:理科
- 河川において、水棲生物を採取・観察するとともに、生息水域の水質を調査し、人間の生活環境と関係との関係を考察する。
- 川の生物の多様性を理解するとともに,郷土の河川の美しさについて,また,河川環境の保全について考えるきっかけとする。
16.街中の気温と草地の気温
内容
- 学年:中学校2年 教科等:理科
- いくつかの箇所の気温を計測し,周辺の環境との関係を考察する。
- 持続可能な暮らしのために,気温という側面から周辺環境を調査し,自分たちが生活する周辺の環境について考え行動するきっかけとする。
17.日本のいろで遊ぼう
内容
- 学年:中学校2年 教科等:国語(古典)
- 日本の伝統色の単語から、その色がどんな色なのか自然の中から探してくる。
- 古来日本人の自然に対する感性の豊かさを感じ取るとともに,自分の考えを論理的に伝え,さらには集団で合意形成していく過程を体験する。
18.「カタクリコ」ビンゴ(カタカナの繰り返し言葉)
内容
- 学年:中学校1年 教科等:国語
- 自然の事象に係るカタカナの繰り返し言葉を考え、身近な場所から探し合う。
- 情景や様子を効果的に伝達する表現方法について体験的に学ぶとともに,自然の情景の多様性や,人々の事象に対する捉え方の違いに気づく。