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最終更新日



南小・中学校


 

令和4年度 南小中学校いじめ防止基本方針

須崎市立南小中学校

はじめに

角丸四角形: 子どもたちにとって学校という場所は,常に安全・安心を担保された場所でなくてはならない。しかし,残念なことに近年,全国的にいじめに起因して児童生徒が自ら命を断つ事案が生起しており,教育現場でのいじめ防止のための対応や予防対策は最重要課題の一つである。
本校においては、平成25年6月に成立した「いじめ防止対策推進法」の趣旨に則り、須崎市のいじめ防止基本方針を踏まえて、「南小中学校いじめ防止基本方針」を策定し、小中一貫教育を中心として取り組みを進めてきた。
その中で大きないじめ事案は発生していないものの、児童生徒の人権意識や自尊感情に関しては、課題も残されているのが実情である。いじめの防止には人権意識の涵養と、いじめに対して早期発見、早期対応が肝心といわれる。
そこで、本校においては今後もこの基本方針を柱に、各人がいじめに対してアンテナを高くして、組織的な取組を継続することとする。

第1章 いじめの防止等の対策に関する基本理念

1 いじめの防止等の対策に関する基本理念

いじめは、その子どもの将来にわたって心身を深く傷つけるものであり、子どもの健全な成長に悪影響を及ぼすとともに、人権に関わる重大な問題である。全教職員が、いじめ行為を絶対に許さない姿勢で、対応することが大切である。また、いじめ事象の発生・深刻化を防ぎ、いじめを許さない児童生徒の意識と行動を確立するため、「いじめ」解消をすべての教育活動の中核にし、教育計画の中に位置付けた取り組みを充実させなければならない。

そのために、より一層、生命や人権を大切にする精神を貫く教育実践を推進し、教職員自身が、児童生徒を一人ひとり多様な個性を持つかけがえのない存在として尊重し、児童生徒の人格のすこやかな発達を支援するという児童生徒観、指導観に立ち指導を徹底することが重要となる。

本校では、「明日を拓く南っ子 〜課題に挑戦し、考える力や表現する力を身に付ける〜」を教育目標に掲げ、日々の学校教育活動に取り組んできた。令和2年度からは、サブテーマを〜課題に挑戦し、考える力や表現する力を身に付ける〜に変更し教育活動をすすめている。

平成25年9月、国のいじめ防止対策推進法の施行及び基本方針、平成263月高知県及び須崎市においてのいじめ防止対策基本方針を受け、あらためて「いじめは重大な人権侵害事象である」との認識のもとに、ここに『南小中学校いじめ防止基本方針』を定める。

 

 いじめ防止対策推進法第3条 

1、いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。

2、いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。

3、いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

 

第2章 いじめの定義

 

 いじめ防止対策推進法において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

具体的ないじめの態様

・冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる

・仲間はずれ,集団による無視をされる

・軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする

・ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする

・金品をたかられる

・金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする

・嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする

・パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる等

〈運用上の注意点〉

○ 個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた児童生徒の立場に立つ。

○ 「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努める。

○ 当該児童生徒の表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認する。外見的にはけんかのように見えることでも、いじめられた児童生徒の感じる被害性に着目して見極める。

○ いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、校内に設置した「いじめ防止対策委員会」を活用して組織的に行う。


第3章
いじめの理解

 

 国の基本方針では、いじめは、どの子供にも、どの学校でも、起こりうるものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの児童生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。
 国立教育政策研究所によるいじめ追跡調査の結果によれば、暴力を伴わないいじめ(仲間はずれ・無視・陰口)について、小学校4年生から中学校3年生までの6年間で、被害経験を全く持たなかった児童生徒は1割程度、加害経験を全く持たなかった児童生徒も1割程度であり、多くの児童生徒が入れ替わり被害や加害を経験している。
加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級や部活動等の所属集団の構造上の問題(例えば無秩序性や閉塞性)、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。

 

第4章 いじめ防止対策委員会

 1 はじめに

  当該委員会は、学校が組織的にいじめの問題に取り組むに当たって中核となる役割を担う。当該組織は、いじめの防止等の中核となる組織として、的確にいじめの疑いに関する情報を共有し、共有された情報を基に、組織的に対応する。いじめに係る疑いがある時には、当該組織が組織的にいじめであるかどうかの判断を行う。

情報の収集と記録、共有を行う役割を担うため、教職員は、ささいな兆候や懸念、児童生徒からの訴えを、抱え込まずにすべて当該組織に報告・相談する。加えて、当該組織に集められた情報は、個別の児童生徒ごとなどに記録し、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図る。

また、当該組織は、各学校の学校基本方針の策定や見直し、各学校で定めたいじめの取組が計画どおりに進んでいるかどうかのチェックや、いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証、必要に応じた計画の見直しなど、各学校のいじめの防止等の取組についてPDCA サイクルで検証を担う。

 

(1)名称 「いじめ防止対策委員会」(企画委員会をもって本委員会に当てる)

(2)構成員

   校長、教頭、教務、研究主任、養護教諭、生徒指導主事、人権教育担当、

特別支援教育コーディネーター、該当担任

(必要に応じて:道徳教育推進教師 情報教育担当、SSWSC、担任 他)

 (3)役割

@ いじめ防止基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間指導計画の作成・実行・検証・修正 

A いじめの防止等の対策の取組に関するチェックシート(教職員用、児童生徒用、保護者用等)の作成・検証・修正 

B いじめに関する校内研修の企画・検討

C いじめの相談・通報の窓口としての役割

D いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う。

E いじめの疑いに係る情報があった時には緊急会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある児童生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する。

F 重大事態の調査のための組織は、須崎市教育委員会の判断を仰ぎ、重大事態委員会を設ける。

G その他いじめ防止及び対応等に関すること。

  (4)委員会の開催は、学校長と連携して、委員長が主催する。

  (5)当委員会の委員長は、生徒指導担当者がその任に当たる。

  (6)委員長は、会の進行及び全体を統括する。

 

A 取り組み状況の把握と検証(PDCA)

    いじめ防止対策委員会は、年6回(各学期に2回)、検討会議を開催し、取り組みが計画どおりに進んでいるかの確認、いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証、学校基本方針や計画の見直しなどを必要に応じて行う。

 

 

第5章 いじめ防止のための取り組み

1 学校づくり・授業づくり

@ すべての児童生徒が安心・安全に学校生活を送ることができ、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できる学校づくりを進めていく。

A 居場所づくりや絆づくりをキーワードに学校づくりを進めていく。

B わかる授業づくりを進めるとともに、すべての児童生徒が参加・活躍できる授業となるよう工夫する。

C すべての児童生徒が授業に参加でき、授業場面で活躍できるように授業改善を目指す。

D 教科の観点からだけではなく、生徒指導の観点から授業参観し合い、全教職員で、わかる授業づくりに取り組む体制をつくっていく。

E 日々の授業の中で当たり前に発言したり聴いたりする姿勢を育てていく。

 

2 集団づくり・生徒理解

@ すべての児童生徒に集団の一員としての自覚や自信を育む。

A 互いを認め合える人間関係・学校風土を児童生徒自らが作りだしていく。

B 障害(発達障害を含む)のある児童生徒についての理解を深める。

C 児童生徒自らが人と関わることの喜びや大切さに気づいていくことや、互いに関わり絆づくりを進めていくことができるような学校行事等を計画する。

D 学級活動の時間など、学級単位の指導を、児童生徒のいじめが起きやすい時期(4月下旬や9月上旬など)を踏まえ、年間指導計画に位置づけたうえで、どの学年、どの学級においても必ず指導がなされるような指導計画などを考える。

 

3 生徒指導

@ ゼロスタートの習慣や、授業中の正しい姿勢の徹底、発表の仕方や聞き方の指導など、学校として揃えていくべき事柄を確認する。

A いじめている児童生徒や、周りで見ていたり、はやし立てたりしている児童生徒を容認することがないようにする。

B 児童生徒自身が、いじめの問題を自分たちの問題として受け止めること、そして、自分たちでできることを主体的に考えて、行動できるような働きかけること。

 

4 教職員の資質能力の向上

@ 授業を担当するすべての教職員が公開授業を行い、互いの授業を参観し合う機会を、いじめ防止のための年間指導計画に位置づけ、実施していく。

A 教師の不適切な認識や言動、差別的な態度や言動が、児童生徒を傷つけたり、他の児童生徒によるいじめを助長したりすることがないようにする。

B 「いじめられる側にも問題がある」かのように受け止められかねない認識や言動を示さない。

C すべての児童生徒がいじめの問題への取組についての意義を理解し、主体的に参加できる活動になっているかどうかを、教職員はチェックするとともに、陰で支える役割に徹する。

 

 

第6章 PTAや地域の関係団体等と連携について

1 PTAや地域の関係団体との連携促進 

@ PTAや地域の関係団体と連携し、いじめ問題の背景となっている子どもを取り巻く諸問題や、子どものサインに気づく方法等に関する研修を行う。

A いつでも悩みを相談できる県内の教育相談事業に関わる広報カードやチラシ等を配付し、周知する。

2 地域とともにある学校づくり

@ 学校と保護者・地域住民等が一体となって地域の子どもを育み、いじめ問題の解決を進めていくために、開かれた学校づくり推進委員会とともに、学校のいじめ問題の取組について検証する。

 

第7章 重大事態への対処

1 重大事態の発生と調査

学校は、「重大事態」に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、重大事態委員会を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う。

調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供する。

@ 重大事態の報告

学校は、重大事態が発生した場合には、直ちに須崎市教育委員会に報告し、その事案の調査を行う主体の判断を仰ぐ。

 

A 調査の趣旨等

重大事態の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行う。

重大事態への対処に当たっては、いじめを受けた児童生徒やその保護者からの申し立てがあったときは、適切かつ真摯に対応する。

 

B 調査を行うための組織について

重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに、重大事態委員会を設ける。

この組織の構成については、専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)に参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努める。

 

 

C 事実関係を明確にするための調査の実施

調査は、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や児童生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にする。

 
 

第8章 年間計画  

 

 

 

 

 

 

学期

低学年

1年・小2年

中学年

小3年・小4年

高学年・中学生

小5年・小6年・中1〜3

学校全体

及び教職員に関すること

一学期

 

○学級・学年開き(各学年)

○保護者への相談窓口周知

○児童生徒への相談窓口周知

○児童生徒理解シートによって把握された児童の状況の集約

 

○学級・学年開き(各学年)

○保護者への相談窓口周知

○児童生徒への相談窓口周知

○児童生徒理解シートによって把握された児童の状況の集約

 

学級・学年開き(各学年)

○保護者への相談窓口周知

○児童生徒への相談窓口周知

○児童生徒理解シートによって把握された児童の状況の集約

 

○第1回 いじめ・不登校・児童虐待防止対策委員会(年間計画の確認、問題行動調査結果を共有)

○「学校いじめ防止基本方針」の周知

○児童生徒理解研修

○PTA総会等で「学校いじめ防止基本方針」の趣旨説明

○いじめアンケート

○いじめアンケート

○いじめアンケート

○校内研究授業(わかる授業づくりの推進)(1学期中)

生活アンケート

 

生活アンケート

 

○生活アンケート

○小中合同給食

 

○保護者懇談

(家庭での様子の把握)

 

○保護者懇談

(家庭での様子の把握)

 

○保護者懇談・個人面談

(家庭での様子の把握)

非行防止教室

○第2いじめ・不登校・児童虐待防止対策委員会

(進捗確認)

○児童生徒理解研修

夏休み

 

 

 

 

○夏季校内研修「いじめ防止対応について」

二学期

 

 

○小中合同運動会

 

 

○小中合同運動会

 

 

○小中合同運動会

 

○上半期のいじめ状況調査

○第3回いじめ防止対策委員会(状況報告と取組みの検証)

10

○小中合同文化祭

 

○小中合同文化祭

 

○小中合同文化祭

 

11

生活アンケート

 

生活アンケート

 

アンケート「安全で安心な学校を過ごすために」実施

 

○文化祭発表

12

 

○保護者懇談

(家庭での様子の把握)

 

○保護者懇談

(家庭での様子の把握)

 

○保護者懇談

(家庭での様子の把握)

 

 

○第4回いじめ・不登校・児童虐待防止対策委員会(2学期の集約)

冬休み

 

 

 

 

三学期

 

 

 

○いじめアンケート

 

 

○いじめアンケート

 

 

○いじめアンケート

○第5回いじめ防止対策委員会

 

 

 

 

 

 

 

○第6回いじめ・不登校・児童虐待防止対策委員会(年間の取組みの検証)

○保護者懇談・個人面談

 

○保護者懇談・個人面談

 

○保護者懇談・個人面談

 

 

 

春休み

 

 

 

 

 

第9章 具体的ないじめ防止

 1 基本的な考え方

いじめの未然防止にあたっては、教育活動の場である学校・学級において、人権尊重が徹底し、安心・安全な環境であることが求められる。そのことを基盤として、人権に関する知的理解及び人権感覚を育む学習活動を各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じ、総合的に推進する必要がある。

特に、児童生徒が、他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を身につけ、対等で豊かな人間関係を築くための具体的なプログラムを作成する必要がある。そうした取り組みの中で、児童生徒の信頼ある人間関係づくりや人権を尊重した集団としての質を高めていくことが必要である。そのために、「いじめ防止対策委員会」を設置し、いじめの未然防止に向けた取り組みを検討し、全教職員が一丸となって取り組むとともに、校内支援チームを発足し迅速な対応を行う。

「いじめ防止対策委員会」での年間計画や校内研修の実施計画をもとに、それぞれの学年、部会で具体的な取り組みや活動を行う。実施した活動は「いじめ防止対策委員会」にて実施方法や活動内容を報告し、「いじめ防止対策委員会」で課題を共有し、今後の取り組みや活動について再度企画立案し直すなど、PDCAサイクルを重視し実行していく。

 

 
 

全ての児童生徒が、安心・安全に学校生活を送るために、全教職員がいじめについての基本的な考え方を共有し、いじめは絶対に許さないという考えのもとで、すべての教育活動を行う。そしていじめの未然防止に向けて、「いじめ防止対策委員会」で検討された指導方針をもとに、各教科や総合的な学習の時間、道徳や特別活動や学校行事等を通じて、いじめをしない、させない、ゆるさない集団づくりを行っていく。その際、特に人権教育と関連させて取り組みを行っていく。また、いじめをゆるさないという感覚を、教職員だけでなく児童生徒や保護者にも啓発していくことが大切であり、学校と家庭とのより一層の連携を図っていく。

 

 2 いじめの防止のための措置

  (1) 日頃からいじめについての共通理解を図るため、教職員に対してはいじめに対する考え方や未然防止の実施方法、いじめ事案への対応方法等について校内研修を実施する。児童生徒に対しては、いじめをしない、させない、ゆるさない集団づくりを実施する。

※いじめに関するアンケート調査の実施

※あたたかい学級づくりQ−U調査の実施(5月・11月の2回実施)

 

  (2) いじめに向かわない態度・能力を育成するために、自他の存在を認め合い、尊重し合える態度を養うことや、児童生徒が円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育てることが必要である。

    そのために、学校行事や特別活動、総合的な学習の時間等を通じ、児童同士がコミュニケーションを図る場面を積極的に作るなど、学年に応じた多様な活動方法を検討し実施する。

 

  (3) いじめが生まれる背景を踏まえ、指導上の留意点としては、教育活動全般において、児童生徒の様子を観察し、その様子を踏まえて常に教育活動を改善して行くことが肝要である。

    ○分かりやすい授業づくりを進めるために、授業づくり部会及び学力支援を中心に「わかる授業」づくりを目指した授業方法の研究や研修会を行い、絶えず研鑽と修養に努め実践する。

    ○児童生徒一人ひとりが活躍できる集団づくりを進めるために、なかまづくりや自主活動の工夫をする。縦割り班活動をとおして異学年交流も進めて行く。

○ストレスに適切に対処できる力を育むために、相談活動やカウンセリングに努める。

○いじめを助長するような教職員の不適切な認識や言動等、指導の在り方に注意を払う

ため、校長、教頭、各主任等が教職員の日常の教育活動について、連携、協力する。

また、教職員同士が授業等をお互いに観察し、適切な指導助言を行う。教職員の不適

切な言動等がないように校内研修会を実施する。

  (4) 自己有用感や自己肯定感を育むために、授業で児童生徒一人ひとりが活躍できるような場を作る等、日々の授業での活動を考え、実践していく。さらに特別活動や学校行事での取り組みでも、自己有用感や自己肯定感を育むねらいを念頭におき、日々の教育活動を行う。

 

  (5) 児童生徒が自らいじめについて学び、取り組む方法として、道徳の時間や人権教育を通じて学ぶ機会を作っていく。また、いじめアンケートの実施から、いじめに特化した学びを深め、広めていく取り組みを実施していく。

 

3 早期発見

 1 基本的な考え方

いじめの特性として、いじめにあっている児童生徒がいじめを認めることを恥ずかしいと考えたり、いじめの拡大を恐れるあまり訴えることができないことも考えられる。また、自分の思いをうまく伝えたり、訴えることが難しいなどの状況にある児童生徒が、いじめにあっている場合は、隠匿性が高くなり、いじめが長期化、深刻化することがある。

それゆえ、教職員には、何気ない言動の中に心の訴えを感じ取る鋭い感性、隠れているいじめの構図に気づく深い洞察力、よりよい集団にしていこうとする熱意のある行動力が求められる。

 

  ○(児童生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないこと)

   児童生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないことが大切であり、教職員、特に日常多くの時間を共有している学級担任が、そのような兆候を見逃さないようにすることが大切である。しかし、担任だけでは多くの児童生徒を観察することは難しいし、担任が不在の所(休み時間等)で事案が起きている場合がある。そのため、全ての教職員が、全ての児童生徒に対して絶えず児童生徒が示す小さな変化を見逃さないようにする意識を持つことが大切である。担任も、自分が担任している児童生徒だけでなく、全ての児童生徒の様子を観察することが大切である。

 

  ○(教職員が積極的に児童生徒の情報交換を行い、情報を共有すること)

   絶えず教職員が積極的に児童生徒の情報交換を行い、情報を共有することで、今後の対応方法について検討し、実施することができる。児童生徒の様子を観察することについても、様々な場面で関わる全ての教職員が意識して観察することができ、重大事案に至る前に状況に介入できることにつながる。情報交換の場については、定期的な学年会議の場や生活指導部会だけでなく、気になる様子等があったときには、職員朝礼をはじめ、すぐに職場で情報共有することが大切である。

 

 2 いじめの早期発見のための措置

  (1) 実態把握の方法として、定期的なアンケートは、全学年生対象のいじめアンケー

トを実施する。また、全校児童生徒を対象に生活アンケートを6月と11月に実施

する。定期的な教育相談期間を設ける。日常の観察として、授業時間はもとより児

童生徒との休み時間での活動にできる限り参加し、授業では見られない児童生徒の

様子の把握に努める。

 

  (2) 保護者と連携して児童生徒を見守るため、児童生徒理解シートや家庭訪問、懇談会をもとに児童生徒の家庭環境や、家庭での様子を把握し、学校での様子や行動の観察から、保護者と連絡を取り合うようにしていく。また、保護者からも家庭での様子で少しでも変わったところがあれば連絡をしてもらえるように、日頃からの良好な関係づくりに努める。

 

  (3) 児童生徒、その保護者、教職員が、抵抗なくいじめに関して相談できる体制として、まずは児童生徒からの相談に関しては担任を基本としながらも、授業等で関わりのある教職員や過去に担任だった教職員、そして生徒指導や養護教諭が窓口として挙げられる。特に養護教諭は児童生徒との関係からも相談窓口となりやすく、担任と共に重要な鍵となる。保護者からの相談に関しても担任を基本としながら、学年主任や生徒指導担当、教頭、養護教諭が窓口として挙げられる。教職員に関しても、まずは当該学年担任を基本としながら、従来からの生徒指導部会や「いじめ防止対策委員会」、教頭、校長への相談もあげられる。いずれにせよ、児童生徒や保護者にとっていじめに関する相談をしやすい体制を整え、誰が相談を聞いても学校として情報を共有し、しっかりと対応できるように努めていく。

 

  (4) 学校だよりや地域への通信、各学級通信等により、相談体制を広く周知する。

「学校教育自己診断」、「学校経営計画」や「いじめ防止対策委員会」、「学校評価委員会」などでの確認により、基本方針の運営が適切に機能しているかなど、定期的に体制を点検する。

 

  (5) 教育相談等で得た児童生徒の個人情報については、その対外的な取扱いについては、慎重に取り扱い、外部に漏れることのないように厳重に管理する。情報を開示するような場合は、必ず校長、教頭に相談し、「いじめ防止対策委員会」で検討した上で対応する。

 

4 いじめに対する考え方

 1 基本的な考え方

いじめにあった児童生徒のケアが最も重要であるのは当然であるが、いじめ行為に及んだ児童生徒の原因・背景を把握し指導に当たることが、再発防止に大切なことである。近年の事象では、いじめた児童生徒自身が深刻な課題を有している場合が多く、相手の痛みを感じたり、行為の悪質さを自覚することが困難な状況にある場合もある。よって、いじめた当事者が自分の行為の重大さを認識し、心から悔い、相手に謝罪する気持ちに至るような継続的な指導が必要である。いじめを受けた当事者は、仲間からの励ましや教職員や保護者等の支援、そして何より相手の自己変革する姿に、人間的信頼回復のきっかけをつかむことができると考える。

そのような、事象に関係した児童同士が、豊かな人間関係の再構築をする営みを通じて、事象の教訓化を行い教育課題へと高めることが大切である。

 

 2 いじめ発見・通報を受けたときの対応

  (1) いじめの疑いがある場合、ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わる。

遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止めたり、児童生徒や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴し対応する。その際、いじめられた児童生徒やいじめを知らせてきた児童生徒の安全を確保するよう配慮する。

 

  (2) 教職員は一人で抱え込まず、速やかに同僚や管理職に報告し、いじめ防止対策委員会と情報を共有する。その後は、当該組織が中心となって、速やかに関係児童生徒から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。

 

  (3) 事実確認の結果、いじめが認知された場合、管理職が教育委員会に報告し、相談する。

 

  (4) 被害・加害の保護者への連絡については、家庭訪問等により直接会ってより丁寧に行う。

 

  (5)いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められるときは、いじめられている児童生徒を徹底して守り通すという観点から、関係機関(所轄警察署及び児童相談所、市教育委員会、福祉事務所等)と相談し、対応方針を検討する。

なお、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに須崎市教育委員会に報告し、適切な対応を実施する。

 

5 いじめられた児童生徒又はその保護者への支援

  (1) いじめた児童生徒の別室指導や出席停止などにより、いじめられた児童が落ち着いて教育を受けられる環境を確保し、いじめられた児童生徒に寄り添い支える体制をつくる。その際、いじめられた児童生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、いじめ防止対策委員会が中心となって対応する。状況に応じて、スクールカウンセラーの協力を得て対応を行う。

   また、該当学級のサポートが必要とされる場合は、サポートチームを発足させ、該当学級の支援を行う。

 

6 いじめた児童生徒への指導又はその保護者への助言

  (1) 速やかにいじめを止めさせた上で、いじめたとされる児童生徒からも事実関係の聴取を行う。

いじめに関わったとされる児童からの聴取にあたっては、個別に行うなどの配慮をする。

 

  (2) 事実関係を聴取した後は、迅速にいじめた児童生徒の保護者と連携し、協力を求めるとともに、継続的な助言を行う。

 

  (3) いじめた児童生徒への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。

なお、いじめた児童生徒が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、当該児童生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。

その指導にあたり、学校は、複数の教職員が連携し、必要に応じてスクールカウンセラーの協力を得て、組織的に、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。

 

 7 いじめが起きた集団への働きかけ

  (1) いじめを見ていたり、同調していたりした児童生徒に対しても、自分の問題として捉えさせる。

そのため、まず、いじめに関わった児童生徒に対しては、正確に事実を確認するとともに、いじめを受けた者の立場になって、そのつらさや悔しさについて考えさせ、相手の心の悩みへの共感性を育てることを通じて、行動の変容につなげる。

また、同調していたりはやし立てたりしていた「観衆」、見て見ぬふりをしていた「傍観者」として行動していた児童生徒に対しても、そうした行為がいじめを受けている児童生徒にとっては、いじめによる苦痛だけでなく、孤独感・孤立感を強める存在であることを理解させるようにする。

「観衆」や「傍観者」の児童生徒は、いつ自分が被害を受けるかもしれないという不安を持っていることが考えられることから、すべての教職員が「いじめは絶対に許さない」「いじめを見聞きしたら、必ず先生に知らせることがいじめをなくすことにつながる」ということを児童生徒に徹底して伝える。

 

  (2) いじめが認知された際、被害・加害の児童生徒たちだけの問題とせず、学校の課題として解決を図る。全ての児童生徒が、互いを尊重し、認め合う集団づくりを進めるため、担任が中心となって児童生徒一人ひとりの大切さを自覚して学級経営するとともに、すべての教職員が支援し、児童生徒が他者と関わる中で、自らのよさを発揮しながら学校生活を安心してすごせるよう努める。

そのため、認知されたいじめ事象について地域や家庭等の背景を含め児童生徒理解に努め、いじめに関わった児童生徒の指導を通して、その背景や課題を分析し、これまでの児童生徒への対応のあり方を見直し、良好な人間関係を再構築していくことができるよう適切に支援する。

 

 8 ネット上のいじめへの対応

(1) ネット上の不適切な書き込み等があった場合、まず学校として、問題の箇所を確認し、掲示板等のURLを控え、その箇所を印刷・保存するとともに、いじめ防止対策委員会において対応を協議し、関係児童生徒からの聞き取り等の調査、児童生徒が被害にあった場合のケア等必要な措置を講ずる。

 

掲示板等への誹謗・中傷等の対応について

 

  (2) 書き込みへの対応については、下記の手順で対応していく。

   ○パソコンでのインターネット上のいじめについて

   @「ネット上のいじめ」の発見

     「ネット上のいじめ」に関する情報は、教職員よりも児童生徒や保護者、地域の方、卒業生の他、一般市民からの情報提供によることもあるため、以下の点に留意し、情報収集を行う。

     →情報提供者本人から直接聞き取りを行い、必ず記録をとる。

     →情報提供者の連絡先を確認し、情報源(情報提供者)の守秘を約束する。

 

   A書き込み内容の確認と保存

     書き込みがあった掲示板等のURLを控え、書き込みをプリントアウトする等して、内容を保存する。

     →パソコンから見ることができない場合は、携帯電話から掲示板等にアクセスする。

     →誹謗・中傷等の内容のプリントアウトが困難な場合は、デジタルカメラ等で撮影する。

     書き込みの内容が緊急を要する場合(殺人予告、爆破予告、自殺予告等)は、関係機関に直ちに連絡する。

     →犯罪にかかわるケース…警察(被害の児童生徒・その保護者から被害届)

     →生活指導事案、人権侵害事象…教育委員会

 

B掲示板等の管理者に削除依頼及び開示請求

     基本的には、被害の児童生徒が学校の協力を得ながら依頼及び請求を行う。(学校が代理で行うことはできるが、その場合には管理者への対応の情報提供となり、管理者に対応の義務を負わせることができない。)

     →掲示板等のトップページを表示し、「管理者へのメール」や「お問い合わせ」の表示を検索する。

     →該当箇所をクリックし、管理者にメールを送るページ欄に、件名、内容等の事項を書き込み送信する。(個人の所属・氏名等を記載する必要なし。)

 

   C掲示板等のプロバイダ(掲示板サービス提供会社等)に削除依頼。

     管理者への連絡先が不明や、削除依頼しても削除されない等の場合、プロバイダへ削除依頼を行う。管理者やプロバイダへ依頼しても削除されない場合、依頼メールの不備を点検後、メールを再送する。それでも削除されなかった場合、警察や法務局・地方法務局に相談する等して、対応方法を検討する。

 

   ○携帯電話やスマートフォンでのメール、LINE等によるいじめについて

@SNS等によるいじめの発見

     携帯電話やスマートフォン等のSNS上の「ネット上のいじめ」に関する情報は、児童生徒や保護者からの情報提供によることが多くあるため、以下の点に留意し、情報収集を行う。

     →情報提供者本人から直接聞き取りを行い、必ず記録をとる。

     →情報源(情報提供者)の守秘を約束する。

 

   A書き込み内容の確認と保存

     書き込みがあった箇所を控える。誹謗・中傷等の内容のプリントアウトが困難な場合が多いと思われるので、デジタルカメラ等で撮影する等して、内容を保存する。

     →書き込みの内容が緊急を要する場合(殺人予告、爆破予告、自殺予告等)は、関係機関に連絡する。また、書き込んだ相手が児童生徒でない場合も、関係機関に連絡する。

 

 

   B書き込んだ相手に対しての対応

書き込んだ相手が児童生徒でない場合

     →関係機関と連携し対応していく。

     書き込んだ相手が児童生徒の場合

     →相手が他校の場合、相手の学校と連携を取りながら、教育委員会とも連携し対応していく。

     →相手が自校の場合、当該児童や保護者に聞き取りを行い、内容を確認し、書き込み内容を削除させる。その後の対応や指導については、他のいじめ事案と同様に行う。

 

  (3) 情報モラル教育の推進については、情報教育担当者が中心となって年間計画を立案し、「いじめ防止対策委員会」で検討した上で学年の状況や発達段階に応じて実施していく。

 

4)その他

  過去の事例をみると、いじめの被害者が以前は加害者であったり、また、いじめの加害者が以前は被害者であったりすることがある。

特に以前被害者であった児童生徒が加害者となっていた場合、過去のいじめの被害者となっていた件についても丁寧に対応していく必要がある。グループ内で標的とされる児童生徒が代わっていき、とりわけグループ内のほとんどが加害者であり被害者であるという場合もある。

その点から考えても、未然防止に対しては、日頃の児童生徒の人間関係や学校生活の様子などをつぶさに観察していく必要がある。学校教育全般を通じて、コミュニケーション力の育成、規範意識(いじめはいけないこと)の醸成、「早やね・早おき・朝ごはん」などの生活習慣の確立、学力向上、人権教育を中心とした集団づくり、道徳に力を注いでいくことが重要である。

  また、小学校高学年以上になれば携帯電話やスマートフォンに興味、関心が強まり、その所有率が高くなることから、これらに関連したいじめが多く発生する場合もある。今後は、情報教育や情報モラル教育を推進していくとともに、保護者への啓発も一層大切になってくる。学校と保護者、保護者同士の連携も図りながら、有効なコミュニケーションツールとして活用を促していく。