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いじめ防止基本方針


いじめ防止基本方針


高知県立高岡高等学校 定時制

はじめに

 いじめは、いじめを受けた子どもたちの教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。
 近年、いじめにより重大な事案が発生し、大きな社会問題となっている。それだけでなく、いじめがきっかけで心を痛めている子どもたちも少なくない。
 このようないじめの背景には、暴力、体罰、児童虐待、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどといった子どもに関わる大人の問題が根底にあり、他人の弱みを笑いものにしたり、暴力を肯定していると受け取られるような行為を許容したり、異質な他者を差別したりといった大人の人権感覚の欠如が大きく影響していると思われる。
 一人でも多くの子どもをいじめから救うためには、子どものモデルとなるべき大人一人ひとりが、お互いの違いを認め合い、自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることができるような人権感覚を育むと同時に、「いじめは絶対許されない」、「いじめは卑怯な行為である」という認識と「いじめはどの子どもにも、どの学校でも、起こりうる」という意識を持ち、それぞれの役割と責任を自覚しなければならない。
 また、いじめの解決を通して、子どもたち一人ひとりが「夢」や「志」を持ち、その現実に向けて自分の力を思う存分発揮できる学校作りや、さらには心豊かで安全・安心な社会作りを、学校、地域、家庭が一体となり主体的に進めなければならない。
 本校では、「熱意・創意・誠意」を校訓に、「豊かな人間性の育成」を教育目標の一つとしており、その目標を実現するために、人権教育の推進・充実に重点をおいて取り組んでいる。いじめは重大な人権侵害であるという認識のもとに、ここに学校いじめ防止基本方針を定める。


第1 いじめの防止等の対策に関する基本理念

 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童生徒に関係する問題であることに鑑み、児童生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行わなければならない。
 いじめ防止等のための対策は、全ての児童生徒がいじめを行わず、及び他の児童生徒に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童生徒の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童生徒の理解を深めることを旨として行われなければならない。
 いじめの防止等の対策は、いじめを受けた児童生徒の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。

第2 いじめの定義

 「いじめ防止対策推進法」において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のない時は、未成年後見人)をいう。
○ 個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた児童生徒の立場に立つ。
○ 「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努める。
○ 当該児童生徒の表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認する。外見的にはけんかのように見えることでも、いじめられた児童生徒の感じる被害性に着目して見極める。
○ いじめの認知は、特定の教職員のみによることなく、「いじめ防止等対策検討委員会」を活用して組織的に行う。
○ 「いじめ」の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められた場合は、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報のうえ、警察と連携した対応を取ることが必要である。


第3  いじめの理解

 いじめは、どの子どもにも、どの学校でも、起こりうるものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの児童生徒が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また、「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。
 また、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級や部活動等の所属集団の構造上の問題(例えば無秩序性や閉塞性)、「観衆」としてはやし立てたり面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることが必要である。


第4 いじめ防止等対策検討委員会

 当委員会は、学校が組織的にいじめの問題に取り組むに当たって、中核となる役割を担う。当委員会は、いじめの防止等の中核となる組織として、的確にいじめの疑いに関する情報を共有し、共有された情報を基に、組織的に対応する。いじめに係る疑いがある時には、当委員会が組織的にいじめであるかどうかの判断を行う。
情報の収集と記録、共有を行う役割を担うため、教職員は、ささいな兆候や懸念、児童生徒からの訴えを、抱え込まずにすべて当委員会に報告・相談する。加えて、当委員会に集められた情報は、個別の児童生徒ごとなどに記録し、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図る。
また、当委員会は、学校の学校基本方針の策定や見直し、学校で定めたいじめの取組が計画どおりに進んでいるかどうかのチェックや、いじめの対処がうまくいかなかったケースの検証、必要に応じた計画の見直しなど、学校のいじめの防止等の取組についてPDCAサイクルで検証を担う。

①委員会の役割

○ いじめ防止基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間指導計画の作成・実行・検証・修正 →別紙1
○ いじめの防止等の対策の取組に関するチェックリスト(教職員用、児童生徒用、保護者用等)の作成・検証・修正 
○ いじめに関する校内研修の企画・検討
○ いじめの相談・通報の窓口としての役割
○ いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う
○ いじめの疑いに係る情報があった時には緊急会議を開いて、いじめの情報の迅速な共有、関係のある児童生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携といった対応を組織的に実施する。
○ 重大事態が発生した場合、学校がその調査等を行う組織の母体とする

 ②委員会の構成員

構成する教職員は、校長、教頭、生徒指導主事、人権教育主任、養護教諭で、外部の委員としては、心の教育アドバイザー、土佐警察署生活安全課少年係、その他関係の深い教職員とする。

 ③委員会運営上の留意点

当委員会を実際に機能させるに当たっては、心の教育アドバイザー等の外部専門家の助言を得る。
なお、重大事態の調査のための組織について、学校がその調査を行う場合は、この委員会を母体としつつ、当該事案の性質に応じて心の教育アドバイザー等の専門家を加えるなどの方法によって適切に対応する。

第5 いじめ防止のための取組

<学校づくり・授業づくり>

○ すべての児童生徒が安心・安全に学校生活を送ることができ、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加・活躍できる学校づくりを進めていく。
○ 居場所づくりや絆づくりをキーワードに学校づくりを進めていく。
○ わかる授業づくりを進め、すべての児童生徒が参加・活躍できる授業の工夫改善を図る。

<集団づくり・生徒理解>

○ すべての児童生徒に集団の一員としての自覚や自信を育む。
○ 互いを認め合える人間関係・学校風土を児童生徒自らが作りだしていく。
○ 障害(発達障害を含む)のある児童生徒についての理解を深める。
○ 児童生徒自らが人と関わることの喜びや大切さに気づいていくことや、互いに関わり絆づくりを進めていくことができるような学校行事等を計画する。
○ 学級活動、ホームルーム活動の時間など、ホームルーム単位の指導を、児童生徒のいじめが起きやすい時期(4月下旬や9月上旬など)を踏まえ、年間指導計画に位置づけたうえで、どの学年、どの学級においても必ず指導がなされるような指導計画などを考える。

<生徒指導>

○ チャイムが鳴ったら着席するという習慣や、授業中の正しい姿勢の徹底、発表の仕方や聞き方の指導など、学校として揃えていくべき事柄を確認する。
○ いじめている児童生徒や、周りで見ていたり、はやし立てたりしている児童生徒を容認することがないようにする。
○ 児童生徒自身が、いじめの問題を自分たちの問題として受け止め、自分たちでできることを主体的に考えて、行動できるように働きかける。
 

<教職員の資質能力の向上>

○ 授業を担当するすべての教職員が公開授業を行い、互いの授業を参観し合う機会を、いじめ防止のための年間指導計画に位置づけ、実施していく。
○ 教師の不適切な認識や言動、差別的な態度や言動が、児童生徒を傷つけたり、他の児童生徒によるいじめを助長したりすることがないようにする。
○ 「いじめられる側にも問題がある」かのように受け止められかねない認識や言動を示さない。
○ すべての児童生徒がいじめの問題への取組についての意義を理解し、主体的に参加できる活動になっているかどうかを、教職員はチェックするとともに、陰で支える役割に徹する。


第6 いじめの早期発見、早期対応等

(1)いじめの発見

○ いじめの早期発見は、いじめへの迅速な対処の前提であり、すべての大人が連携し、児童生徒のささいな変化に気付く力を高めることが必要である。(教育相談体制や生徒指導体制の充実、教職員の資質の向上のための研修やアンケートについて等を実施)
○ 児童生徒の変化等に気づいた情報について、確実に共有するとともに、速やかに対応する。
○ 気になる変化が見られた、遊びやふざけのようにも見えるものの気になる行為があった等の場合、たとえば5W1H(いつ、どこで、誰が、誰と、何を、どのように)を付箋紙等に簡単にメモし、職員がいつでも共有できるようにしておく(個人情報の管理に注意することも盛り込む)。
○ 得られた目撃情報等を毎日集約し、必要に応じて関係者を招集し、その後の対応を考える体制をつくる。  
○ 出席をとるときに一人一人の顔を見て声を聞く。
○ 保護者にも協力してもらい、家庭で気になる様子はないかを把握する。
○ 積極的に保護者からの相談を受け入れる体制や、地域の方から通学時の様子を寄せてもらえる体制を構築する。
○ 普段から児童生徒の生活を把握するための健康アンケートや定期的な個人面談を行う。
○ 児童生徒が教職員に相談してくれた場合に、その思いを裏切ったり踏みにじったりすることのないよう気をつける。
○ やっとの思いで相談したのに、うるさがられたり、後で話を聞くと言って対応してもらえなかったりする等がないようにする。
○ 校舎内に相談箱を設置したり、相談電話等を活用したりする。
○ 特別な調査等のみに依存することなく、教職員が普段から生徒への態度や関わり方を見直す。

(2)いじめの対応

○ 速やかに組織的に対応し、被害児童生徒を守り通す。
○ 加害児童生徒に対しては、当該児童生徒の人格の成長を旨として、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導する。
○ いじめ防止等対策検討委員会が、いじめとして対応すべき事案か否かを判断する。
○ 判断材料が不足している場合には、関係者の協力のもと、事実関係の把握を行う。
○ いじめであると判断されたら、被害児童生徒のケア、加害児童生徒の指導など、問題の解消まで、当委員会が責任を持つ。
○ 問題の解消とは、単に謝罪や責任を形式的に問うことで達成されるものではない。
○ 加害児童生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、十分な果を上げることが困難と考えられる場合や、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められる場合には、県教育委員会とも連絡を取り、所轄警察署と相談して対処する。
○ 児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。
○ ネット上のいじめには必要に応じて地方法務局の協力を求めたり、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報したりするなど、外部の専門機関に援助を求める。
○ いじめが「重大な事態」と判断された場合には、県教育委員会からの指示に従って必要な対応を行う。
○ 児童生徒の人格の成長に主眼を起き、問題の再発を防ぐ教育活動を行うことが問題の解消になるという考え方で動き、その後の経過も見守り続ける。
○ いじめを見ていた児童生徒に対しても、自分の問題として捉えさせるような教育活動を行う。
○ 学校における情報モラル教育を進める。


第7 同窓会や地域の関係団体及び保護者・地域住民等との連携について

①同窓会や地域の関係団体との連携促進 

○ 同窓会や地域の関係団体と連携し、いじめ問題の背景となっている子どもを取り巻く諸問題や、子どものサインに気づく方法等に関する研修を行う。
○ いつでも悩みを相談できる県内の教育相談事業に関わる広報カードやチラシ等を配付し、周知する。

②地域とともにある学校づくり

○ 学校と保護者・地域住民等が一体となって地域の子どもを育み、いじめ問題の解決を進めていくために、学校のいじめ問題の取組について検証する。


第8 重大事態への対処

(1)重大事態の発生と調査

学校は、「重大事態」に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、重大事態委員会を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う。
調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供する。
①重大事態の報告
学校は、重大事態が発生した場合には、直ちに県教育委員会に報告し、その事案の調査を行う主体の判断を仰ぐ。
②調査の趣旨等
重大事態の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行う。
重大事態への対処に当たっては、いじめを受けた児童生徒やその保護者からの申立てがあったときは、適切かつ真摯に対応する。
③調査を行うための組織について
重大事態であると判断したときは、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに、重大事態委員会を設ける。
この組織の構成については、弁護士や精神科医、学識経験者、心理や福祉の専門家等の専門的知識及び経験を有する者であって、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保するよう努める。
④事実関係を明確にするための調査の実施
調査は、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、いつ(いつ頃から)、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や児童生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を、可能な限り網羅的に明確にする。