盲新聞を作りました!
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3.「盲」の教材・教具について
3.「盲」の教材・教具について
全盲の児童生徒は『触察』を通して「知る」から「わかる」世界へ進むことができます。そのためには、触覚教材の準備が重要になります。
※触察―指先や手から得られる情報を基に指先や手を動かしながら、指先や手の位置関係や軌跡などを総合的に組み合わせて物を理解しようとする触り方(高村2008)
【引用文献】高村明良(2007):盲学校における図形指導の基礎,「視覚障害教育ブックレット vol.6」, 28-34,ジアース教育新社.
1 立体模型(3Dプリンター作成)
3Dプリンターの普及により、従来の二次元的な凸教材だけでなく、よりイメージを持ちやすい三次元教材を比較的手軽に作成することができるようになりました。例えば、写真のエッフェル塔のように、実際に触って確認することができないものは縮小し、セミのように動くものや、又、細かな部分がわかりにくいものは拡大することで、全体像をつかんだり、様々な情報を得たりすることができます。これにより、知識とあわせてイメージを確立していくことができます。
(セミ 縦16.5 cm × 横13.7 cm,エッフェル塔 縦8 cm × 横3 cm)
2 『受粉』に関係する花のつくり(理科)
触れることで、『おしべ』と『めしべ』のつくりと、はたらきの理解を促す教材を作りました。
ストローを茎に見立てました。ストローを下からたどっていくと、おしべに見立てた針金が6本出ています。針金の先には、やくに見立てた厚紙をつけました。やくは簡単に取れるようにホットボンドで軽くつけました。やくの内側には花粉に見立てた小さなビーズを貼りました。花粉がぽろぽろとれるように、両面テープでつけました。おしべが出ている茎のすぐ上に子房に見立てた、キルティングの布があります。布の中には胚珠に見立てた大きなビーズをつけました。キルティングの子房を上にたどっていくと、柱頭に見立てた綿があります。柱頭のねばねばした感触を再現するために、綿は両面テープで覆いました。
3 時間割ボード(自立活動)
実態に応じ、具体物等に触って学習内容をイメージできる物や素材で時間割を表し、見通しを持って活動できるようにするための教材です。写真は、具体物を触って分かる段階から、平面の物に触れて分かる段階に移行中の生徒用に作成した時間割ボードです。生徒によって、一日の授業を全て示すと情報量が多すぎる場合は、写真のように分けて示すこともあります。写真は午後部分の時間割を示していて、左から給食(スプーン)、5時間目音楽(カスタネット)、6時間目自立活動(ビーズ通し)、帰りの会(生徒のかばんの生地に似た布の一部)のカードとなっています。
4 理療科学習用立体模型(全身骨格模型、経穴模型(腕の部分))
全身骨格模型は、人の全身の骨の形を再現した模型です。それぞれの骨は金具で連結されており、肩や肘などの関節は動かすこともできます。全身の骨を見たり触ったりして、一つ一つの骨の形や位置関係、関節の動きなどを学習しています。筋肉の学習をする際には、弱視の人にも見てわかりやすいように、筋肉の位置に赤や黄色のカラーテープを貼っています。それを見たり触ったりすることにより、骨のどこに筋肉が付着しているのか、筋肉の収縮によって関節がどのように動くのかということを触って確認できます。
経穴模型は、体の表面にある経穴(つぼ)の位置を触って確認するための模型です。経穴の位置は米粒程度に小さく盛り上がっており、経穴が属する道(経脈)は線状にへこんでいるので、全盲の生徒でも簡単に触って確認することができます。写真は、腕の部分のみを撮影していますが、実物の模型では全身にある360個以上の経穴の位置を触って確認できます。