視覚障害とは

視覚障害とは?

「見えない」または「見えにくい」状態で、全盲と弱視に大別されています。
視覚障害者の9割近くは弱視で、光も全く感じない場合を全盲としています。一般的には、弱視の存在があまり知られていません。
 
一口に弱視と言っても、視野狭窄や白濁等の状態によってそれぞれに見え方や配慮内容は違います。また、見えない、見えにくいことによる二次的な障害を想像することは容易ではありません。
視覚障害は「情報の不足」「行動の制限」を伴いますので、これらが絡み合って、移動の困難、文字の読み書きの困難、日常生活行動の困難などが生じてきます。
 
例えば、視野狭窄がある場合は移動に困難を伴うことが多く、白濁がある場合は羞明(まぶしさ)を感じたり、文字の読み書きが難しいことがあります。
そこで、その人の見え方によって補助具を利用したり不便さや困難さを補うために作業技能を向上させるための技術を習得するための練習を行ったりしています。
 
【視野狭窄】
中心暗転(視力の一番よい部分が欠けている)がある場合は、文字を拡大しますが、周辺視野が欠けている場合は、文字を大きくし過ぎると全体像が把握しづらいことがあります。
視野が狭いと歩行速度にも影響しますし、視野が欠けている側の壁や物にぶつかったりすることがあります。このような時には、白杖歩行や屋内歩行の技術を身につけておくと便利です。
 
【白濁】
羞明(まぶしさ)を感じるため、白黒反転の教材を使うとまぶしさが軽減されます。また、全体像はぼんやりと把握できますが、細かいところが見えにくいため補助具(ルーペ、単眼鏡、拡大読書器)を使用して見えにくさを補います。
 
弱視の見え方

補助具や便利グッズの紹介

① 拡大読書器
教科書や新聞記事の文字をテレビ画面に大きく映し出します。最近は携帯用の小型(化粧ポーチ程度の大きさ)拡大読書器も開発されました。
② ルーペ
虫眼鏡と同様の機能を持ちますが、拡大率は大きくその種類も多様です。白濁や高度近視の方には有効です。
③ 単眼鏡
双眼鏡と同じ機能をもち、のぞくレンズが単一です。大きさは10cm以下の小さいものもあり携帯して持ち歩くのには便利です。授業で黒板の文字を読んだり、バスの行き先や信号の色を見るとき等に使います。
④ 音声パソコン
パソコンで書いた文字やメールできた文章をパソコンで読んでくれます。音声の大きさや種類、読むスピードは選べます。特に、全盲の方は、新聞記事を読んだりメールやインターネットで情報収集ができ世界が広がっていきます。
⑤ 音声時計
音声で時間を知らせます。これと同じように音声の電卓や湿度計、温度計、体重計等もあります。
⑥ 音声電磁調理器
スイッチを押すと「電源が入りました」「温度は180度です」と音声で知らせてくれます。火を使わないで調理をすることができますが、安全に調理をするには練習が必要です。
⑦ 視覚障害者用まな板や軽量器
表と裏が白と黒に分かれています。大根やかぶ等の白い食材を切るときには黒い面を使うとコントラストがついて見えやすくなります。また、同じ理屈で黒いしゃもじもあります。軽量器は容器のへこみを押すと10cc、15ccと計りたい量がでてきます。
⑧ 点字タイプライター
点字を書く機械で、パーキンスやテラタイプ等色々な種類があります。点字は6点で構成されていて、6点の組み合わせで、カナ文字や数字、英語などを表します。
⑨ 遮光眼鏡
羞明(まぶしさ)を防ぐ眼鏡です。太陽の光の中でも一番まぶしさを感じる青色の光を防ぎます。白濁がある場合や角膜に異常がある場合は、遮光眼鏡をかけることで眼を保護しまぶしさを抑えることができます。
⑩ 書見台
眼圧がかかるとよくない緑内障の人や眼を近づけて見る人が使います。これ使うことで眼圧がかかりにくくなり、姿勢もよくなります。
 

視覚障害者の歩行環境について

① 視覚障害者用点字ブロック
一般的には「点字ブロック」という名前で浸透しています。線状ブロック(誘導用)と点状ブロック(警告用)があります。
全盲の人は、白杖の先から得られる情報でブロックをガイドにし、弱視の人も路面とブロックのコントラストを見える情報として使いガイドにして歩いています。
そのため、シンプルで分かりやすい敷設のものが使いやすいです。横断歩道上には路面と同系色の「エスコートゾーン」が敷設されている場所もあります。
② 音響信号
南北は「ピヨピヨ」東西は「カッコー」で全国統一化されています。音響信号にも種類があり、両側で同時に鳴く「同種同時方式」と交互に鳴く「同種鳴き交わし方式」、また南「ピヨ」北「ピヨピヨ」と鳴く「異種鳴き交わし方式」があります。
③ PICS(ピックス)
信号機に設置されている音声案内の装置です。横断位置で白杖が反射すると「円満橋交差点。信号は赤です。」「信号が青にかわりました。」と音声で知らせてくれます。
本校周辺では、円満橋交差点、山の端交差点、旭ソーレ前交差点の3箇所に設置されています。
④ 歩行者信号延長ボタン
交通量が多い横断歩道に設置されており、信号が青の時間を延長する装置です。歩行者の横断時間が2~5秒延長されます。
本校周辺の電車通りや幹線道路にも設置されていますが、設置している位置によっては押す練習が必要な場合もあります。
 

本校の教育

本校は、弱視から全盲までの幼児児童生徒が対象です。
一人一人の視覚障害の状態に配慮した施設設備、教材教具が揃っていて、個別指導計画に基づく専門的な教育を行っています。具体的には、見えにくさや見えないことを補う手段や技法を習得するための自立活動の時間が設けられています。

自立活動は、それぞれの幼児児童生徒の実態に応じて、学習指導要領に示された5つの内容から精選していますが、視覚障害に配慮した内容として「点字」「歩行」「パソコン」「日常生活技術」など、卒業後の将来を見据え個別の指導計画を立てて教育支援を行っています。
特に、中途視覚障害者は、病状の進行と将来的な不安があると思いますが、心理的なサポートも含めた指導を学校全体で共有しながら支援します。
高知県立盲学校の特徴について以下に記述します。
 
① 相談支援センターの設立
校内外の視覚障害者に対する相談、支援体制を全校で取り組んでいます。
② ひまわり教室
就学前の視覚障害児の教育相談を行っています。
③ 幼稚部
早期教育を目的とし、視覚障害に特化した専門教育を行います。
④ 本科保健理療科・専攻科理療科
職業自立をめざして生活していく力をつけるため「あんま、鍼、灸、マッサージ」の国家資格取得に向けた専門教育を行います。
⑤ 治療奉仕
あんま、鍼、灸、マッサージ実技のスキルアップを目的に県内企業や福祉施設等で実習を行います。
⑥ マスタープラン検討委員会
盲学校の課題や今後のあり方について検討していく委員会を設置しています。
⑦ 医療、福祉、労働との連携
ルミエールサロンや眼科、福祉、労働機関と連携をとり、幼児児童生徒をトータル的にサポートします。
⑧ 進路連絡会
今後、増加していく重複生徒の進路開拓を目的とした連絡会で、福祉、労働、行政、保護者が構成メンバーになっています。
⑨ 専門研修グループ
歩行、点字、弱視、重複、日常生活技術の専門性向上のための教職員の研修を毎月行っています。
⑩ ボランティア講座の実施
視覚障害教育の理解啓発に向け一般ボランティアの育成を目的に平成22年度は7回の実技講座と講義を実施します。
対象は、一般、高校生、専門学校生、大学生です。
⑪ ポリンクラブ
障害児童生徒の余暇活動を支援するため、PTAが主体となり、毎月第三土曜日にトランポリン教室を開いています。
対象は、本校以外の幼児児童生徒にも広げており、地域の特別支援教育をうけている学齢者も参加できます。
 

医療・福祉との連携

生徒の生活をトータル的にサポートするために、本校では医療、福祉機関と連携をしています。
本校には、高知県障害福祉課が管轄する「ルミエールサロン」が常設機器展示室として設置されています。そこには、上記で紹介したような視覚障害者にとって便利なグッズや補助具が展示されており、視覚障害者生活訓練指導員が相談業務も行っています。
また、医療機関からの紹介でルミエールサロンを訪れる人も多く、中には本校の入学につながったケースもあります。